自動車を購入すると、納車までに1週間から2週間程度待たされたことはないでしょうか?その一方で、「乗って帰れます」などと宣伝をしている軽自動車専門店も一部の地域では存在しています。
なぜこのような差が生まれるのかを解明するためにも、車の名義変更にかかる費用と日数・必要書類について詳しくご説明してきます。
普通車の名義変更にかかる費用と日数の概要
普通車の名義変更には大きく分けて、車庫証明の取得と運輸支局での名義変更という2ステップが必要です。では、それら2つに分けて、かかる費用と日数をご説明していきます。
車庫証明の取得
普通車の名義変更には、必ず車庫証明が必要です。通常、車を購入した際に、販売店から車庫証明を取ってくるようにお願いされます。
販売店に委任状を渡して手続きを依頼することもできますが、代行手数料が別途発生するので注意が必要です。
販売店からしても、この車庫証明がないと名義変更できないため、ユーザー側がどのタイミング車庫証明を取れるかが、納車日を決める重要なファクターになってきます。

この車庫証明の取得手続きは、次の4ステップとなります。
- 自動車の保管場所の確保(自宅にスペースがない場合は、月極め駐車場などを契約します)
- 書類の準備(インターネットや最寄りの警察署の窓口でもらった書類に記入します)
- 管轄する警察署へ申請(平日の日中に車庫を管轄する警察署へ行って申請を行います)
- 警察署で受取り(3日程度で車庫証明が出来上がります)
まず、自動車の保管場所の確保は、次の点に注意する必要があります。
- 保管場所の使用権原を有していること
- 駐車場、車庫、自宅内の敷地であり、道路以外の場所であること
- 保管場所が使用の本拠の位置から直線距離で2キロメートル以内であること
- 自動車を道路から出入りでき、自動車全体を収容できること
なお、警察署での申請に必要な書類は、次のとおりです。
- 自動車保管場所証明申請書
- 保管場所標章交付申請書
- 保管場所の所在図・配置図
- 保管場所使用権原疎明書面(自認書)
※保管場所を借りている場合、「保管場所使用承諾証明書」が必要となります。
必要な日数は道府県によって異なるものの、最短でも申請日を入れて3日となります。土日を挟んだりすると、最大で6日程度かかってきます。また、手数料は都道府県によって異なるものの、合計で2,500円程度の費用が必要です。
したがって、第一段階の車庫証明の取得だけでも1週間近くかかってしまうのが実情です。
普通車の名義変更には、かならず車庫証明の提出が必要ですので、買って即日で乗って帰るということは普通車に限れば通常あり得ません。
名義変更
車検が残っているケースを前提に話をすると、車庫証明が取得できたら、基本的には運輸支局で名義変更を行うのみです。通常は販売店が名義変更を行いますが、手続き自体は誰でもチャレンジが可能です。
まず、所有者本人が行う場合の名義変更に必要な書類は、次のとおりです。
- 譲渡証明書(旧所有者の実印の押印があるもの)
- 旧所有者の印鑑証明書
- 新所有者の印鑑証明書
- 旧所有者の委任状(旧所有者の実印の押印があるもの)
- 車検証
- 新使用者の車庫証明書
- 手数料納付書
- 自動車税・自動車取得税申告書
- 申請書(第1号様式)
書類に不備さえなければ、窓口の混雑具合にもよりますが、30分程度で新しい車検証が発行されます。
かかる費用としては、印鑑証明書の取得費用300円程度、移転登録手数料が500円程度、ナンバープレート代(変更がある場合)が1,500円程度となります。こうして、晴れてその自動車の名義があなたに書き換えられます。
軽自動車の名義変更にかかる費用と日数の概要
軽自動車の名義変更は、普通車の場合と順序が異なります。まずは名義変更を行った上で、一部の地域に関しては保管場所の届け出を行うという手順です。
それら2つに分けて、かかる費用と日数をご説明していきます。事前に車庫証明を取得する必要がないことや、実印(印鑑証明)の必要がないことを考えると、普通車に比べて手続きは簡単です。
買った車にもよりますが、住民票の写しなどを予め用意していれば、買ったその日に名義変更をすることも不可能ではありません。
名義変更
軽自動車の名義変更は、運輸支局ではなく、軽自動車検査協会で行います。必要な書類は次の通りです。
- 自動車検査証(車検証)
- 使用者(所有者)の印鑑(自動車検査証記入申請書または申請依頼書の使用者の欄に押印したものでも可)
- 使用者の住所を証する書面 (住民票の写し、印鑑証明書)
- 旧所有者の印鑑(自動車検査証記入申請書または申請依頼書の旧所有者の欄に押印したものでも可)
- 自動車検査証記入申請書(軽第1号様式または軽専用第1号様式)
- 軽自動車税・自動車取得税申告書
書類に不備さえなければ、窓口の混雑具合にもよりますが、30分程度で新しい車検証が発行されます。かかる費用としては、住民票の写しの取得費用300円程度で、ナンバープレート代(変更がある場合)が1,500円程度です。なお、申請手数料は無料です。
保管場所の届出
軽自動車の場合は登録自動車と違い、自動車保管場所証明書の申請をする必要はありませんが、保管場所の位置(駐車場)を管轄する警察署長への届出が必要となります。
ただし、適用地域と呼ばれる地域以外のユーザーは手続きをする必要はありません。大まかに言うと、東京や大阪の中心から30km圏内にある市、県庁所在地の市、人口10万人以上の市などが保管場所の届出が必要な対象地域になります。
なお、軽自動車の自動車保管場所届出に必要な書類は次のとおりです。
- 自動車保管場所届出書(3枚綴り)
- 自認書(自分の土地を利用する場合)または使用承諾証明書(自分の土地ではない場所を利用する場合)
- 保管場所の所在図・配置図
- 自動車検査証
かかる費用は、標章の交付手数料500円となり、管轄の警察署に書類を持ち込むと、当日に標章が交付されるケースが通常です。
軽自動車の場合で、適用地域外に住んでいるユーザーが住民票の写しや認印を持っているケースであれば、自動車販売店で購入して、最短1時間程度で名義変更が完了します。
中には、新古車の軽自動車を取り扱っていて、軽自動車検査協会の近くに店舗を構えていれば、買ったその日に乗って帰ることも不可能ではありません。
イレギュラーケース
これまで、通常ケースでの名義変更にかかる費用と日数、必要書類についてご説明してきました。ただし、個別のイレギュラーケースでは、名義変更にかかる費用と日数、必要書類についても多少の違いが出てきます。
それでは、それらの特別ケースについてご説明をしていきます。
車検証記載の旧所有者の住所が印鑑証明書と異なる場合
これは、旧所有者が引っ越しなどで住所を変更している場合には、旧所有者の住民票が別途必要になります。
この住民票の意味としては、車検証記載の住所から、現住所(印鑑証明書の住所)までの繋がりを証明するということです。
もし複数回の引っ越しをしている場合は、繋がりの確認ができる複数枚の住民票(除票)、もしくは戸籍の附票(住所の変更履歴が記載された戸籍謄本の附票)が別途必要となります。
車検証記載の旧所有者の氏名が印鑑証明書と異なる場合
結婚などで旧所有者の氏名が変更している場合、旧所有者の戸籍謄本が別途必要になります。なお、この戸籍謄本は、車検証記載の氏名から、現在の氏名(印鑑証明書の氏名)への変更が記載された戸籍謄本が必要となります。
希望ナンバーを取りたい場合
希望ナンバーとは、自動車のナンバープレートに自分の希望する番号を選ぶ場合です。新車ディーラーなどはサービスで行ってくれたりすることもありますが、通常のナンバーよりやや高めの料金がかかるのが特徴です。
希望ナンバー取得までの流れとしては、まず、実際の名義変更よりも前に希望番号申込サービス(一般社団法人 全国自動車標板協議会ホームページ)より申込みを行います。
一般希望番号の場合は、申込完了メールに記載された支払期限までに交付手数料を支払います。1111や7777などの抽選対象希望番号の場合は、後日メールにて抽選結果が送られてくるので、当選した場合は、抽選結果のメールに記載された支払期限までに交付手数料を支払います。
抽選対象希望番号の場合は、毎週日曜日までの申し込み分を月曜日に抽選し、メールにて抽選結果が送られてきます。したがって、申し込みから当選まで最大1週間程度の時間がかかります。
もし落選した場合、再抽選の申し込みをすることもできます、さらに1週間程度の日数が必要となるので注意が必要です。
その後、入金確認メール記載された交付可能期間内(1ヵ月)に、希望番号予約センターへ希望番号予約済証を取りに行き、名義変更手続き時に提出します。
まとめ
以上、普通車と軽自動車の大きく2つに分けて、名義変更にかかる費用と日数、必要書類についてご説明してきました。
普通車の場合には、車庫証明という手間のかかる手続きがあるたため、最短でも3日以上は日数がかかってきます。
一方の軽自動車は、住民票さえ持っていれば、すぐに名義変更を行うことも可能です。ナンバーの変更がなければ、名義変更自体にはさほど費用はかかりません。
こうした手続きをもし、自分でできれば、車購入のトータルの費用を大きく抑えることも可能となってきます。書類さえ揃えて、日中に時間が取れるのであれば、誰でも手続きは可能ですので、ぜひともチャレンジしたい手続きです。