軽自動車を所有し、違う車への乗り換えを考えている人にとって軽自動車の査定相場や売却事情は気になるところだと思います。
率直に言ってしまうと車種によってバラツキは大きいというのが実情です。
その背景には様々な問題があります。今回、軽自動車特有の売却事情、また一般普通車との売却事情の違いについてお話しいたしますので参考にして頂ければと思います。
軽自動車は値崩れしづらい
車種を問わず軽自動車という大きな枠で見た時に軽自動車は普通自動車に比べてよほど大きな問題がない限り急激な値崩れはしません。
一般的に普通自動車は新車購入から3年経過すると車種や状態にもよりますが査定額は目に見えて下がります。新車購入価格の半値以下になることも珍しくありません。
その反面、軽自動車は維持費の安さ・技術の進歩による大幅な燃費の改善などにより未だその人気は衰えないため普通自動車のような急激な値崩れは起きづらくなっています。特に維持費の安さは大きなメリットと言えるでしょう。
2015年4月以降に新車登録された軽自動車に限り軽自動車税が7200円から10800円に増税されましたがそれでも次に安い排気量1リットル以下普通乗用車の29500円に比べると明らかに安いと言えます。
更には安全面や装備においても今では普通車にも劣らないレベルまで向上されています。そういった点も人気を後押しする要因になっていると言えます。
軽自動車の買取相場が急激に下落するケースとは?(特例編)

三菱自動車による謝罪文(公式サイトより)
前項で、「軽自動車という大きな枠で見た時では新車購入から3年が経過しても急激な値崩れはしない」というお話をしましたがもちろん例外もあります。
連日ニュースやメディアで取り上げられていたので記憶に新しいかと思いますが2016年4月20日、三菱自動車による燃費偽装が発覚しました。
OEM供給先である日産からの指摘により発覚したこの事件は中古車市場にも大きな影響を与えたのは言うまでもありません。
この事件により三菱ekワゴン・ekスペース、そして日産デイズ・デイズルークスは新車3年未満にも関わらず急激な値崩れを起こすこととなりました。
これは燃費偽装事件により対象車種の中古車市場における需要と供給のバランスが崩れ、極端に供給過多の方へ流れてしまったためと言えるでしょう。
しかし、これは特別な例です。過去何十年を遡ってもこのようなケースは非常に稀です。
メーカーサイドによる大きな問題が起こると、もちろん世論は動くため相場を大きく狂わすことになります。
ですが、言い方を変えれば世論が動かないような出来事、事件がない限り軽自動車の急激な値崩れはないとも言えます。
軽自動車の買取相場が下落するケースとは?(一般編)
一般的に軽自動車の買取相場が下落する原因
- 不人気車(市場ニーズがない)
- 修復あり車
- 激しい錆や腐食がある車
- 冠水車(水没車)
- 室内の汚れやにおい(特にタバコ、動物)
- 故障車(不動車)
- カスタムカー(業者によっては価買取のケースもあり)
特別な事件でもない限り軽自動車は普通自動車に比べ急激な値崩れはしづらいという話しをしてきましたが、それでも値崩れするケースは他にもあります。
ここでは通常考えられる値崩れについてお話ししてきたいと思います。
値崩れするケースはいくつもあるので比較的新しい車両(新車登録から5年未満)に焦点を当てて進めていきます。
やはり、ここでも需要と供給のバランスが1つのポイントとなります。
1.不人気車
軽自動車自体に人気があることは間違いのない事実ですがそれでも人気のない車種というのは存在します。
各車種別の人気の有無についてはまた別の機会にしますがここで言えるのは人気の有無は時期的な側面、そして地域的な側面もあるためこの車種は人気があってこの車種は人気がないとは一概には言い切れないということです。
さらに言えば、ボディカラーによっても変わりますしグレードによっても変わります。
2.修復歴あり車
修復歴の有無も査定額を変える大きなポイントです。どの程度の修復歴かにもよりますが特に大損事故を経ている車両は敬遠されるため査定額が下がる原因となります。
また、大きな事故までいかなくても例えば、外装の著しい凹みや傷だらけの車両も査定に影響を与えます。
3.錆、腐食
沿岸部にお住まいの方や職場が沿岸部にあるという人は注意して下さい。というのも沿岸部は潮風の影響を受けるため車のボディーを腐食させます。
昨今、外装には樹脂素材が採用されるようにもなりましたがボディー本体は鉄の集合体であることは変わりません。
薄い錆程度であれば大きな問題にはなりませんが著しい腐食まで進んでしまうと大幅な減額の対象となります。
4.冠水車(水没車)
冠水車とは洪水などである一定のラインまで水に浸かってしまった車両のことを指します。
水に浸かってしまうと後々、電気系統のトラブルやエンジン不調など様々な不具合の発生につながります。
そうなるとクレームも多くなるため査定時において大幅な減額対象となります。
5.室内の汚れや臭い(タバコ、動物)
査定士によっては室内の汚れや臭いを重視する人もいるくらい重要なポイントです。特にタバコの臭い、動物臭は減額の対象となります。
6.故障車(不動車)
新車登録から比較的新しい車両であれば査定に大きな影響を与えるほどの故障は少ないでしょう。
もちろん、故障部位によって変わってきますがメーカーの保証範囲内であれば無償で修理をしてもらい査定を受けるようにしましょう。
基本的に不具合は減額の対象となります。また、不動車である場合は、廃車を含めた検討などが必要となってきます。

7.カスタム車両
軽自動車の場合、カスタム車両は紙一重です。ディーラーはカスタム車両を嫌うため減額対象となりますが業者によってカスタム車両はプラス査定を受けることもあります。
ディーラー、中古車販売店、買取店含めそれぞれ得意、不得意があるため高値で買い取りしてもらうために複数社から査定を受けることをおすすめします。
これらに共通する事とは何でしょう?わかりますか?答えは「求める人が少ない」「クレームになる可能性が高い」です。
つまり需要が少ない上、仮に売れてもクレームになる可能性が高く自社の信用を下げるかもしれないという事ですね。
考えてみれば当然ですがあえて修復歴のある車を買いたい人はいないでしょうし、腐食車、冠水車、故障車を購入したい人もいません。
買い取る側も商売ですの売れる事は当たり前として、できるだけ利益をとりたいものです。
売る際に明らかにマイナスとなることに対してわざわざリスクを負ってまで高い値段で買い取ろうとはしません。
特に軽自動車の場合、利益率より回転率重視で買い取りしている業者が多いです。
当然、求める人が少ないとわかっている欠点のある車両が減額対象になるのは自然の流れになるのかなと思います。
軽自動車は国内での流通が主である
中古車市場において普通自動車は海外へ輸出されることは以前から珍しいことではありませんでしたが日本で生産された軽自動車は排気量や耐久性、そして関税などの問題で海外へ輸出されることはほとんどありませんでした。
しかし、海外からも高評価を得ている日本生産の軽自動車を必要とし輸入する国も出てきたことでこれまで国内での流通がほとんどだった軽自動車も海外へ輸出されるようになりました。
けれども海外へ軽自動車を輸出するためにはいろいろな縛りがあることと「必要としてくれる国がまだまだ少ない」ため国内での流通が主と言えます。
もし、今後日本で生産された軽自動車の輸出台数が増えるようであれば査定時の価格も跳ね上がるかもしれませんね。
ここまで中古車市場における軽自動車の売却事情についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
メディア等で様々なことを言われておりますし車種によって事情が異なりますが軽自動車は普通自動車に比べて維持費等お金がかかりにくいことは変えようのない事実でありまだまだ人気があると言えます。
今後、海外への輸出販路が拡大すればそれこそ買い取りを強化する業者も増えるため需要が増えることも期待できそうです。