「車検に出せるのは1か月前から」という大まかな原則ルールを皆さんご存知かと思いますが、車検を実施している整備工場やガソリンスタンドなどの店頭、または、インターネットなどで、「車検は45日前(40日前)から受けられる」という文字を見たことがあると思います。
できるだけ前倒しで車検に申し込めば、その分料金が安くなるという話もネットなどでは時々聞こえてきますが、それは本当なのでしょうか?
そもそも正確なところ、車検の前倒し申込みは何日前から行うことができるのでしょう。
この記事では、車検を1か月以上前に受けるにはどうすれば良いか、また、一カ月以上前に受ける場合、どのようなメリットがあるのかについてお話していきたいと思います。
車検を受けることができるのは30日前から
多くの方がご存知のように、一般的に車検に出せるのは、車検証に記載された有効期限の1か月前からとなります。
日本で車を使用するためには、道路運送車両法第66条の定めにより、有効な車検証を車に備え付けていなくてはなりません。
車検証には有効期限があり、いわゆる車検とは、車検証の有効期限を継続する手続きのことなのです。
そして、継続する猶予期間を満了日前1か月とし、その期間内に手続きを行うことで、自家用乗用車であれば2年後、自家用貨物車の場合は1年後の日付のまま更新することができます。


万が一車検証の有効期限が切れてしまったら?
車検を受けず、万が一車検証の有効期限を切らしてしまった場合、有効な車検証を備え付けていないということになり、法律違反となってしまいます。
いわゆる「車検切れ」と呼ばれる状態のまま公道を走行した場合、
- 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
- 違反点数6点(前歴がない場合)
- 30日間の免許停止
といった厳しい罰則を受けてしまう恐れもあるため、車検切れにならないように注意しなければなりません。

車検切れで車検を受ける方法
もしも、車検が切れていることに気が付いてしまった場合、当然できるだけ早急に車検に出さねばなりませんが、車検が切れている状態のままだと公道を自走して車検工場に行くことはできません。
その場合は、仮ナンバーを取得し、一時的に公道を走行できるようにするか、積載車などで引き取ってもらう必要があります。
車検切れの車を車検に出す方法について、詳しくはこちらのページをご覧ください。


1カ月以上前に車検を受けた場合はどうなるの?
車検の継続期間は満了日の1か月前からですが、1か月以上前に継続手続きを行った場合は、次回の車検満了日が更新した日の前日になってしまいます。
分かりやすく、平成29年11月10日に車検満了日を迎える自家用乗用車を例に、下記表をご覧ください。
例1の場合は、満了日のちょうど1か月前に継続手続きをしたため、次回の満了日か変わりません。
一方、例2の場合では、満了日の1か月以上前に継続手続きをしてしまったため、次回の満了日が1か月以上短くなってしまうのです。
法律的には、車検はいつでも受けることが可能で、極端に言えば、車検を受けた翌日であっても車検を新たに受けることができます。
つまり、「車検は満了日の1か月前から受けられる」というよりも、「満了日の1か月前からであれば、満了日が変わることが無い」というのが正確な表現になるのです。
45日(40日)前でも車検が可能?
上記では車検は1か月以上前に継続の手続きをすると車検期間が短くなるとお話しましたが、ある条件を満たすと、45日または40日前に車検を受けることができます。
その条件とは、車検を指定工場に出すことです。
車検をお願いする予定の工場が指定工場か否かについては、工場に直接確認するか、工場に掲げられている青い看板を目印にしてください。
ここからは、なぜ指定工場であれば1か月以上前に車検を受けることができるのかについて解説していきます。

指定工場はなぜ1か月以上前に車検を出せるのか?
指定工場では、なぜ1か月以上前に車検に出すことができるのかと言うことになりますが、指定工場では、完成検査を行い合格と判断すると、保安基準適合証を発行します。
この保安基準適合証は、発効から2週間の有効期限があり、指定工場では、その有効期限の間に陸運事務所(軽自動車は検査協会)へ申請を行い、新しい車検証を発行。
その後、郵送などでユーザーに車検証と、車検ステッカー(検査標章)を送ります。
そのため、車検の有効期限よりも45日前に車検を願いした場合でも、工場が申請を日が1か月前であれば、新たな有効期限の日にちを短くすること無く車検を受けることが可能なのです。
ただし、45日前に受ける場合、工場が申請に行く日がピンポイントになってしまうため、事前に可能か確認する必要があります。
保安基準適合証とは?

フロントガラスに貼られた保安基準適合証
保安基準適合証とは、指定工場の検査員が、完成検査の結果、その車が保安基準に合格していると判断した場合に発行する公文書で、この保安基準適合証を発行すると同時に、保安基準適合標章の発行も行います。
保安基準適合標章は、車のフロントガラスの見やすい場所に掲示することで、公道を走るために携行しなければならない車検証と同じ効力を持つものです。
通常、車検が終了し納車されるタイミングで、担当のサービスフロントか整備士から保安基準適合標章と、後日郵送される新しい車検証と車検ステッカー(検査標章)について説明されます。
現在の保安基準適合標章は小型化され、もともと車検ステッカー(検査標章)が貼られていたフロントガラス上部に貼った状態で納車されますのでそれほど心配いりませんが、公道を走行するために欠かせない大切な書類ですので、無くしたり破損したりしないように注意しましょう。
45日(40日)前に車検を受けるメリットは?
指定工場であれば1か月以上前から車検に出すことができることはお分かりいただけたと思いますが、私たちユーザーにとって、車検に早く出すメリットどのようなものがあるのでしょうか。
ここからは、1か月以上前に車検を依頼するメリットをご紹介していきましょう。
より多くの割引が適用されやすい
ディーラーを含め、車検を受けてくれる整備工場では、早く予約することでより多くの割引される「早期割引」を用意しています。
早期割引は、場合によっては3,000円もの割引が適用されることがあり、お得に車検を受けるためには、是非とも利用したいところですが、工場側にとっても、他社に行かれてしまう前に、早く顧客を囲い込むことができる割引サービスです。
しかし、1か月先ならまだしも、3か月以上先の予定は分からず、早く予約したくともできないという方が大半でしょう。
そこで、多くの工場では、ざっくりとした期間で予約できる「仮予約」を行っており、車検の日が近くなったら本予約に切り替えられるサービスを行っています。
車検の1か月以上前(30日)ではなく、45日前までを候補にすることで、グッと車検の予約がしやすくなり、お得な割引を受けやすくなるのです。
これがネットなどで、あまり事情を知らない方が「たぶん車検は45日前からできる」とざっくり主張している噂の根拠となっているのは、まず間違いないでしょう。

費用に納得できない場合は工場変更が可能
車検の目的は、定期的に検査を受けることで、国が定めた最低限の安全基準に適合しているかを確認するための制度です。
しかし、税金や点検料、さらに整備代と、経済的な負担は決して小さくありませんので、車の安全は確保しながら、できるだけ安く車検を済ませたいものです。
ディーラーや車検専門店、ガソリンスタンドなど、街中には車検をお願いできる店舗がいくつもありますが、依頼する工場によって料金に違いがあり、いざ車検に出してみたら思っていた以上に高額だった、などということもあるでしょう。
内容によっては工場としっかり打ち合わせをしたり、複数業者から車検相見積もりを取ることで、費用を抑えることもできますが、どうしても安くならない場合もあります。
その場合、違う工場に出し直すというのも有効な手段ですが、車検切れ間近のタイミングで工場を変更することはかなり困難であり、下手をすれば余計に高くなってしまう可能性もあるのです。
そこで、万が一納得がいかない見積もりが出てしまっても、余裕を持って工場の変更ができるようにするため、できるだけ早い時期に車検を受けるようにしましょう。

まとめ – 指定工場で45日早期割引があるなら積極利用するべき
車検とは、車検証の有効期限を継続する手続きですが、新車から3年目や5年目で走行距離が少ない車は、多くの場合1日で車検を終えることができるでしょう。

しかし、最低限の安全基準である保安基準が定められている以上、確実に早く終わるという保障は有りません。
そのため、車検証の有効期限の30日前という期間が長いようで、意外と短いと感じることもあるものです。
上記でもお話したように、お得に納得して車検を受けるためには、工場の選定はもちろん、できるだけ余裕を持ったスケジュール調整が不可欠。
もしも、これから受ける車検を指定工場で受けようかとお考えの場合は、工場に確認した上で、早めに受けることをオススメします。