長年大事にしてきた車でも、年数が経ち古くなってしまえば、いずれ買換え無ければならない時が訪れます。
その大きな節目となるのが、新車で登録されてから10年目と言われ、翌年に来る11年目の車検を継続するか買い替えるかはとても大きな問題です。
そこで、今回の記事では、新車登録から10年目を迎えた車を継続するのか買換えるのかを見極めるポイントについてお話していきます。
10年超えると車検は1年ごとなの?
結論から言いますと「昔はそうでしたが、今はNo。車検は最低2年ごと」となります。
95年の法改正により、初年度から10年以上経った自家用乗用車の車検は2年に変更されました。
自家用乗用車の車検は新車から1回目が3年、その後は5年、7年とずっと2年ごとに訪れ、短くなることはありません。
ところが、「車は10年を超えると車検が1年ごとになるんでしょう?」という質問をされることがあります。
先述したように、10年以上経過かした自家用乗用車の車検が2年に延長されてから20年以上が経過していますが、いまだに10年を超えると1年ごとになると思っている方は少なからずいらっしゃるようです。
国産車だけでなく、現在日本で使用されている車は、この20年で目覚ましい進化を遂げ、燃費や安全性はもちろん、耐久性も飛躍的に伸びているのです。
20年以上前であれば、10年以上経った自家用乗用車は、当然故障しやすくなるという観点から、車検が1年ごとになるというのも仕方のないことかもしれません。
しかし、ここまで車が進化した現状においては、2年という車検期間ですら短すぎるという意見があるほどなのす。
車の耐用年数は何年?
車だけでなく、皆さんが普段使用している電化製品などにも、耐用年数というのが定められています。
これは税法上、法人や個人事業主の方が確定申告の経費として車の購入費用を計上するために定められており、自家用乗用車の耐用年数は、新車で購入した場合6年です。
耐久性が向上しているのに短すぎないか?と思われたかもしれませんが、これはあくまで、反復的に利用された場合、その物(車)の価値が何年で償却できるかを表しています。
よって、6年以上経った車が使えない、価値が無いということではありません。
では、実際新車から何年で廃車されているかというと、自動車検査登録情報協会が公開している2016年のデータによると、自家用乗用車(普通、小型計)は、平均で12.76年となっています。
参考までに違う年のデータもご紹介すると、20年前の1996年は9.27年、統計を取り始めた1979年は7.86年でした。
以上のデータからもわかるように、車の耐久性は20年前と比べて約3.5年、37年前と比較すると約5年伸びているのです。
最近の車は壊れにくくなったのか?
上記で述べたように、車の耐久性は向上しているように思えますが、現場の整備士的な感覚で言えば、それほど向上している感覚はありません。
では、なぜ廃車されるまでの年数が伸びたのかというと、修理に掛かる費用が安くなったことと、いわゆる経済不況があると考えられます。
景気の問題については、この記事内でお話することではないため深堀はしませんが、景気が良くなければ当然車を買い替えようという意識は低くなるのは当然です。
次に、修理費用が安くなったという点ですが、20年前と比較して、故障した箇所を「修理」するのではなく、故障した部品を「交換」するということが増えてきました。
その結果、車を修理する整備士の腕も、それほど高いものが求められなくなり、作業にかかる時間も短縮された工賃も安くなってきたのです。
20年前と比べれば、車の耐久性自体もある程度向上しているのは当然ですが、それ以上に、例え故障しても、比較的安価で修理しやすくなったことが、車の寿命を延ばしてきた主な要因と言えるでしょう。
車検or買換えのポイントは走行距離で決まる
万が一故障しても比較的修理して乗り続け易くなったと言える現代の車ですが、車検を取る(継続する)か、買換えるかを判断する際、年数ではなく走行距離を重視することがポイント。
現代の車は、素材や製法が向上したことにより、経年変化による劣化がしにくくなっています。
もちろん年数が経てば、ボディや内装などは紫外線によって色あせ、日々の使用による汚れなどが目立ってきてしまいますが、汚れただけでは、車に乗れなくなるということではありません。
一方、エンジンやミッションなどの機関系に関して言えば、当然ながら使えば使うほど傷んでいくものです。
万が一エンジンが故障して動かなくなってしまった場合、そのまま使用することはできませんし、故障内容によっては数十万円以上の修理代がかかることがあります。
つまり、年数がただ古くなるのに比べて、走行距離が増えることの方が、より買換えの可能性が高くなると言えるのです。
10万kmが売却決断ポイント
年数ではなく、走行距離を基準に買換えを考えた場合、1つの基準になる距離は10万kmです。
もちろん、メンテナンスの仕方や使い方によって個体差は有りますが、10万kmがターニングポイントになる理由は、日本人が1年間に走る平均走行距離が関係しています。
日本人が1年間に走る走行距離の平均は、およそ1万kmとされており、これは、私たち自動車整備士や自動車メーカー、さらにはタイヤなどのパーツメーカーでも参考にしている数字です。
1年1万kmとした場合、ちょうど10年を迎えるころ、走行距離も10万kmに達することになります。
また、10万kmを超えると、車種によってはタイミングベルトの交換をしなくてはなりません。
現在市販されている国産車では、タイミングベルトを使用している車種は少なくなりましたが、交換する場合は数万円~10万円程度の費用が必要です。
日本は島国であり、欧米に比べて、1回に走る距離が短いとされ、さらに、市街地などでは渋滞も多く、車に掛かる負担が大きいという特徴があります。
そのため、10年10万kmで買い替えるということが一般的になり、自動車メーカーや部品メーカーも、10年10万kmまでは品質を保てるように設計しているのです。
その結果、上記でお話した、廃車されるまでの平均年数(12.76年)、および、10年10万kmというのが一つの節目になっていることがお分かりいただけると思います。
走行距離は売却価格にも影響する
車を買い替える際、それまで乗っていた車を、廃車ではなく下取りや買取に出すという方が多いと思いますが、その際の査定額には、年数よりも走行距離が大きく関係してきます。
わかりやすくホンダオデッセイを査定に出した場合で、走行距離と年数の関係をご紹介しましょう。
仮に5年経過し、2万km以内の場合は査定時に+95点(95,000円)ですが、逆に2年経過で5万km走行している場合は、-180点(-180,000円)になってしまいます。
ただし、あまりに走行距離が少なすぎる場合でもマイナス評価になることがありますが、どちらにしても、走行距離が査定額に与える影響はとても大きいのです。

10年目ならばまず法定点検を受けてみる
10年目の車ということは、次の年は11年目の車検を迎えることになります。
車検を取るためには、最低限必要な整備が発生してしまい、乗り続けるためには、高額な整備代がかかってしまうかもしれません。
そこで、1年後に訪れる11年目の車検に備えて、予め車の健康状態を把握しておき、11年目の車検を通すか、それとも11年目の車検までに買い替えるかを判断する基準にするといいでしょう。
そのためには、簡易的な点検ではなく、ディーラーや整備工場で行う法定点検をオススメします。


今後の維持費を考慮しよう
11年目の車検を取るか、乗り換えを検討するかを判断する基準は、今後の維持費を勘案して決めるようにします。
前項でお話したように、法定点検を実施することで、簡易的な点検では発見できないような不具合を発見できるだけでなく、将来修理が必要になりそうな箇所を知ることが可能です。
もちろん不安であればその時の点検と同時に修理しても良いですし、様子を見れるのであれば修理をしないという選択もできます。
点検の結果出された見積金額や、担当した整備士などの話を聞き、これからさらに乗り続けるためにはどの程度の出費が予想されるのかを把握しておくことが大切です。

継続か買換えかは余裕を持って決めよう
車が古くなれば、修理しなければならないことも増え、修理費もかさむことになりますが、だからと言って買換えるためにも費用が掛かります。
車は生活に欠かせない道具ではありますが、しっかりと買換えやメンテナンスの計画を立てておくことが大切です。
上記のように点検を受けてみる、または買取店などで査定をしてもらうなど、次の車検まであと1年ある10年目だからこそ、1年間の猶予期間を有効的に使いましょう。
まとめ – 車は年式より走行距離で車検と売却判断を
日本は自動車先進国の1つであるにも関わらず、車検制度に関しては、20年以上ほとんど変わっていません。
近年政治の世界においても、車検制度の抜本的な改革が議論されていると聞きますが未だ具体的な話はニュースにもなっていないのです。
20年という時間は、国産車輸入車世界中問わず、燃費、安全性はもちろん、耐久性も飛躍的に進化し続けています。
その結果、近年販売されている車は、修理とメンテナンスを続けていれば、20年20万kmでも十分使用することが可能なのです。
そのため、今後発生するかもしれない修理費と、車を買換える費用を比較し、継続と買換えで、どちらがこれからの生活に合っているのかを見極めることが大切です。