人とは違った個性を出したい、自分好みの見た目に変えたいなど、車を持っていると、やはり愛車の見た目を変更したくなるものです。
車の外装は、すれ違う車や歩行者など、自分以外の誰かに愛車をアピールする効果は非常に大きく、エアロパーツの装着や、ホイールの交換を計画しているという方も多いことでしょう。
この記事では、外装系パーツに焦点を当て、車をドレスアップする際、車検をクリアーするためには、どういった点に注意すれば良いか解説していきます。
エアロパーツの車検合否基準
ドレスアップの定番と言えばエアロパーツを想像される方も多いと思います。
エアロパーツに関しては指定部品に含まれているため、一定の要件さえ満たしていれば、交換や取り付けを行っても、構造変更などの届け出は必要ありません。
取付けの方法は、「固定的取付方法」とされており、これは溶接やリベットを使用せず、ボルトやナット、接着剤などで取り付ける方法のことです。
現在でさまざまなエアロパーツが市販され、純正のスタイリングを際立たせる物から、車のキャラクターを180°変えてしまう物など、一見純正品かと見間違うほどの社外エアロも良く見かけます。
また、純正のメーカーオプションやディーラーオプションなども、一昔前の物に比べれば、デザイン性が格段に向上し、車好きの方の中には、敢えて純正エアロにこだわっているという方もいるほどです。
そんなエアロパーツは、デザイン性や品質が良くなっていくと伴に、高価な商品が増えてきました。
高いお金を出して取付けたエアロパーツでも、車検に通らないようでは再び工賃がかかってしまいますし、車検に通らないということは、普段の走行でも危険ということになってしまいます。
下記より、そんなドレスアップの定番エアロパーツについて解説していきましょう。
フロント/リアバンパースポイラー
バンパーごとすべて交換する、または、純正バンパーの上から被せる形で装着するバンパースポイラー。
装着することで車の全長が変わる場合は、+3cmまでであれば構造変更の届出は必要ありません。
ただし、ポイントとなるのは、フォグランプやマーカーランプなどの機能部品が付いていると、最低地上高9cmが確保されている必要があります。
フロント/リア/サイドアンダースポイラー
一般的なアンダースポイラーには、バンパースポイラーのように機能部品が取付けられていることはほとんどありません。
機能部品が取付けられていない場合は、最低地上高9cmの対象外となり、約5cm確保できていればOK です。
ただし、「前後どちらもバンパーよりはみ出していないこと」「バンパーより低い部分に半径5mm未満の角が無いこと」となっています。
万が一半径5mm未満の鋭角な角がある場合には、60ショアよりも柔らかい素材であることとなっています。
60ショアの固さとは、およそプラスチック消しゴム程度の柔らかさだと思ってください。
リアスポイラー/リアウイング
リアトランクやリアゲートに装着するスポイラーやウイングは、エアロパーツの中では良く問題になるパーツです。
一般的にリアスポイラーと呼ばれるものは、ボディに直接取り付けられている物を指しますので、固定的取付方法で取付けられ、リアバンパーよりもはみ出していなければOKです。
対してリアウイングは、ボディとは別のウイング(羽)を、支柱で支えている構造の物を指し、両翼端が車体の側端から165mm以上内側にあり、ボディと両翼端の隙間が2cm以下とされています。
オーバーフェンダー
タイヤのはみ出しなどを防止するためのオーバーフェンダーは、大前提として、車検証に記載された全幅より、2cm以上大きくなってしまう場合は、構造変更の届け出が必要です。
取付方法は他のエアロパーツと同じく、ボルトや接着剤などを用いた固定的取付方法(溶接やリベット止めはNG)とされています。
ホイールの車検合否基準
あまり車をカスタムする気はないけれど、ホイールぐらいは交換しておこうという方や、ドレスアップが目的ではなく、スタッドレスタイヤと夏用タイヤのために社外ホイールを持っている方など、ホイールは、車のパーツの中でもっとも社外品が多いパーツです。
また、生産技術の向上により、ホイールのデザイン性はとても豊富で、色、形、大きさなど、ホイールを交換するだけで、車の雰囲気をガラッと変えることができます。
ここからはそんな、ホイールはどういった点に注意すれば良いかについて解説していきます。
はみ出し

引用:http://yellowcorn.jp
ホイールを交換する場合、もっとも気を付けなくてはいけないのが、タイヤのはみ出しです。
保安基準では、タイヤやホールなどの回転部分が、車枠からはみ出してはいけないことになっています。
特別大きなホイールじゃなければ問題ないと思われるかもしれませんが、室内を大きく取ったミニバンなどは、タイヤのスペースが小さめに設計されています。
そのため、もともとタイヤが外寄りに付いており、一見地味なホイールであってもはみ出してしまうことが決して少なくありません。
はみ出さないようにするためには、ホイールのオフセットなどを良く確認する必要がありますので、整備工場やカー用品店に良く相談しましょう。
インチアップ
ホイールの径を大きくすることで、デザイン性をアップさせることのできるインチアップですが、あまり大きくし過ぎてしまうと、タイヤの外径も変わってしまいます。
すると、スピードメーターに誤差が生じやすくなり、車検に落ちてしまう可能性がありますので、オフセットと同じく、車とのマッチングに注意しましょう。
バンのホイール交換
乗用車のホイールは、オフセットや外径を気にするだけでOKですが、ハイエースやキャラバンなどのバン(貨物車)は、強度についても気にしなくてはいけません。
重たい荷物を積むことが想定されているバンは、ホイールにも相応の強度が求められます。
そこで、バンでも使用できるホイールには「JWL-T」の刻印が入っている物を使用するようにしましょう。
灯火類の車検合否基準
夜間、街中の光と共に鮮やかな光を纏った車は、インパクトがあり、カッコイイ印象を与える効果は絶大です。
また、灯火類をカスタムすることは、見た目だけでなく、夜間の視認性向上や、自車の存在を他の車両に知らせる効果も期待できます。
しかし、自動車検査員である私の経験上、灯火類はもっとも車検で引っかかることが多いパーツでもあるのです。
せっかく購入したパーツを無駄にしないためにも、灯火類に関する保安基準はしっかりと理解しておきましょう。
ヘッドライト
純正よりも明るいバルブ、青白くファッション性に優れたバルブなど、さまざまな種類のヘッドライトバルブが販売されていますが、車検に合格するためには、まず、明るさと色に気を付けなくてはなりません。
ヘッドライトの色については、2006年1月以降に製造された車は白色のみ、それ以前に製造された車は、白または淡黄色となっています。
次に、明るさですが、保安基準では、ロービーム(すれ違い灯)は6400㏅以上、ハイビーム(走行灯)は12000㏅以上の光度が無ければなりません。
先述した灯火の色とも関係してきますが、ケルビン数が上がっていくと白から青へと光の色は変わっていき、見た目では明るくなったように錯覚してしまいがちです。
しかし、実際の明るさは、ケルビン数(色温度)が上がれば上がるほど、光度(カンデラ)は下がっていく傾向にあります。
そのため、見た目で明らかに青い場合は無論不合格になりますが、6000K以上の色温度のバルブは、色ではなく光度不足により不合格になる可能性が高くなるのです。
ポジションランプ
平成17年12月31以前に製造された車は、白色、淡黄色または橙色とされ、それ以降の車は、白色のみ(ウインカーと連動する場合は橙色可)とされています。
もちろん左右が同じ色でなければいけませんし、明らかに青く見える場合は車検不合格になる可能性が高くなります。
フォグランプ
フォグランプの色は白色または淡黄色で、すべて同じ色でなければなりません。
また、装着できる個数に上限はありませんが、同時に3つ以上点灯する構造場合は車検不合格になります。
社外品を後から付ける方もいらっしゃると思いますが、ヘッドライトよりも高い位置に取付けることも車検不合格になりますので注意しましょう。
その他灯火類
ナンバー灯や、サイドマーカー、デイライトなど、カスタマイズできる灯火類はまだまだあります。
灯火の色味については、検査官や検査員の主観に頼る部分が大きいため、なかなかハッキリとは申し上げられません。
ただし、覚えておいて損が無いのは、車の進行方向に向いている灯火の色は白が基本で、進行方向とは逆の灯火は赤色(ナンバー灯は覗く)、周囲に注意を促すものは橙色です。
そして、もともと装着されている、または純正でオプション設定されている灯火類以外の電飾(ネオン管など)については、検査官や検査員によってある程度バラつきがあるため、不安な場合は、予め確認しておくと安心です。
まとめ
今回の記事でお話した内容は、2017年現在の「保安基準」および「審査事務規定」に基づき、実際の現場での経験を踏まえて解説しています。
車のドレスアップパーツは、どんどん種類が増え、今までなかったような斬新なアイデアやデザインのパーツも多く、車をカスタムする楽しさを十分楽しむことができます。
しかし、今までなかったようなパーツが市販されるということは、将来的に規制の対象になる可能性があることを忘れてはいけません。
「このパーツは車検OKかな?」と不安に思った場合は、陸運支局に問い合わせるか、カー用品店や整備工場に相談してみましょう。