「車検期日が迫っているとはわかっていても、仕事が忙しくついうっかり車検が切れてしまった。」
「普段あまり車を使わないため、気が付いて時には車検が切れていた。」
など、必ず訪れることが分かっていてもついつい車検を切らせてしまうというのは、それほど珍しいことではありません。
しかし、車検が切れたままでは車を移動することができず、車検業者にまでもっていくことも不可能。
そんな時に役立つのが「仮ナンバー」です。
この記事では、仮ナンバーの基本から取り扱いの注意や取得方法まで詳しく解説しています。
仮ナンバーとは
うっかりしていたら車検が切れてしまった場合に、車検場や車検工場まで自走して車を移動する際に使用するのが通称「仮ナンバー」です。
正式には「臨時運行許可番号表」と言い、普通車であれば通常のナンバーが国(軽自動車は都道府県)の管轄であるのに対し、仮ナンバーの管轄は市区町村となります。
臨時運行許可番号表などと難しいことを言われると、なんだか取得するだけでも大変そうに思えてしまうかもしれませんが、必要書類が揃っており、使用目的が正当な物であれば誰でも申請し、取得することが可能です。
交付されるナンバープレートは、白地に黒の文字番号と市区町村名が書かれ、赤斜線が入っており、自動車販売業者や自動車回送業者が使える通称「回送ナンバー」とは区別されています。
車検切れでの公道走行は厳禁!
皆さんご存知のことと思いますが、故意ではなくつい車検が切れてしまったという場合で、さらに1日しか超過していないとしても、車検が切れた状態で公道を走らせてはいけません。
万が一そのまま公道を走行してしまうと、道路交通法違反の「無車検車運行」となり、違反点数6点に加え6カ月以下の懲役または30万以下の罰金刑が課せられてしまいます。
さらに、自賠責保険の保険期間が切れていた場合、「無保険車運行」とされ、違反点数6点に加え12カ月以下の懲役または50万円以下の罰金。
もしも療法違反していた場合には、最低でも免許停止は免れず非常に重たい罪になってしまうのです。
また、当然1日でも車検の切れた車で公道を走ることは御法度ですが、もしも半年間車検が切れている車両の場合、どんな不具合が突然起こるかわからず、安全という観点からも決して許されることではありません。
仮ナンバーの取得方法
では、ここからは実際に仮ナンバーを取得する方法や、必要書類について解説していきます。
自分で仮ナンバーを取得する場合
申請先は、お住いの市区町村役場で行い、その際必要になる書類は以下の通りです。
- 車検証(または、抹消登録証明書などその車を証明することのできる書類)
- 自賠責保険省の原本(ただし、仮ナンバー発行日から1か月以上有効な物)
- 申請者の印鑑(認印可)
- 運転免許証
- 発行手数料(750円前後、自治体により異なる)
上記に書類を役場へ持っていき、「自動車臨時運行許可申請書」に、使用の目的、経路、連絡先などを記入し窓口に提出しましょう。
必要書類と内容に問題が無ければ、それほど時間を要すること無くその場で発行してもらえます。
当然ですが、仮ナンバーを発行するためだからと、車検が切れている車で役所に出向いてはいけませんので、公共の交通機関を利用するか、知人などに乗せていってもらってください。
業者にお願いする場合
仮ナンバーの申請に自分でいくのは不安、または面倒くさいという場合には、業者に依頼することをできます。
ただし、仮ナンバーの申請だけを代行してくれる業者などは無く、車検場に持ち込んで検査しなければならない、認証工場やユーザー車検代行業者に車検とセットで依頼しなくてはいけません。
必要書類については、車検時に必要な書類と発行手数料、および、業者に払う代行料となります。
料金については、定めている業者は少ないため、各業者に確認するしかありませんが、通常数千円~1万円程度はかかると思っておきましょう。
仮ナンバーの取り付けの注意点
自分で仮ナンバーの申請を行い、無事発行してもらうことができたら、次は仮ナンバーを車に固定しなくてはなりません。
巷では、「仮ナンバーは助手席などすぐ提示できるように積んでいれば良い」「ダッシュボードに置いておくだけばOK」といったことが言われていますが、厳密に言えばどちらも違反になってしまいます。
実際、仮ナンバーを助手席に置いている状態で警察に止められても、厳重注意で済んでしまうことがほとんどです。
しかし、道路運送車両法・施行規則第7条(自動車登録番号標の取り付け位置)では、「自動車登録番号標の取付けは、自動車の前面及び後面の見やすい位置に確実に行うものとする」と規定されているため、仮ナンバーはしっかりと固定することが必要です。
また、きちんと固定せず、万が一紛失してしまうと、弁償金をしはらわなければなりませんし、手続きなどがかなり面倒なことになってしまいます。
そこで、ここからは、効率が良く尚且つ確実な仮ナンバーの固定方法について触れていきたいと思います。
フロントナンバー
フロントナンバーは2本のボルトで止まっているだけですので、既存のナンバーを取り外し、仮ナンバーをもともと使用していたボルトで固定すれば問題ありません。
しかし、ここで問題になるのが、近年ディーラーなどでオプションとして販売されている、ナンバー盗難防止ボルトで取り付けられている場合です。
ディーラーで新車購入された場合は専用の取り外し工具が渡されていることはありますが、中には専用工具が存在しないものや、中古車で購入し、付属していないなどということもあるでしょう。
その場合は、ネジを破壊して、通常のボルトに交換するか、仮ナンバーをテープなどで既存のナンバーの上から固定するようにします。
仮ナンバーの取付け方には特に規定があるわけではありませんので、落下しないよう、しっかりと取付けましょう。
リヤナンバー
軽自動車であれば、フロントナンバーと同様に2本のボルトを外し付け替えれば問題ありませんが、普通車(登録車)は左側のボルトが封印されています。
仮ナンバーを取り付けるために誤って封印を破損させてしまうと、再封印の手続きを陸運局で行わなければならず、手数料と余計な手間がかかってしまいます。
そこで、リヤに仮ナンバーを取り付ける場合は、封印されていない右側のボルトのみ、しっかりと固定しましょう。
もしも不安な場合や、盗難防止ボルトなどで外せない場合は、テープなどでしっかりと固定するようにしましょう。
仮ナンバー利用時に注意することとは?
上記では、仮ナンバーの取付け方の注意点についてお話してきましたが、仮ナンバーが市区町村からの借り物である以上、注意しなくてはいけないポイントがあります。
仮ナンバーの使用には制限がある
仮ナンバーは、あくまでも車検が切れた車や、登録が抹消されている車両を臨時で運行するためであり、使用には正当な理由が無ければなりません。
つまり、普段使わない車で、その時だけ買い物やお出かけに使いたいからという理由では、仮ナンバーの使用は認められていないのです。
そして、運行する地域や経路も申請しているため、申請経路外で万が一見つかってしまうと、「無車検車運行」ということになってしまいます。
返却期日は厳守する
仮ナンバーは最長で5日という使用期限があり、使用目的などによって役所から指定されます。
通常、車検切れで車検取得のために仮ナンバーを取得するためには、2~3日というのが多いようです。
そして、仮ナンバーは、期日の末日から5日以内に返却しなくてはならず、万が一期日を過ぎてしまうと道路交通法違反となり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられてしまう可能性がありので、注意が必要です。
仮ナンバーを取得しない方法もある
ついうっかり車検を切らせてしまっても、仮ナンバーを取得することで、車検業者まで移動できますし、ユーザー車検に持ち込むこともできます。
しかし、記事内でも触れてきたように、仮ナンバーはあくまで臨時の許可証でしかありませんし、取得には相応の手間と労力が必要です。
そこで、無理に仮ナンバーの取得をするのではなく、自宅まで車を引き取りに来てくれる業者に車検を依頼するという方法があることも忘れてはいけません。
今はパソコンやインターネットを使い、自宅近くの車検業者を検索できますので、車検が切れている旨を伝え、積載車での引き取りを行っている業者に車検を依頼してみてはいかがでしょうか。