「今回の車検も、前回までの車検に掛かった費用と同じくらいだろうと予想していたら、倍以上の見積金額がでてビックリしてしまいました…」
そんな経験がある方も少なくないと思いますし、もしかしたら、この記事をご覧の方の中にも、今まさに高額な車検見積に悩んでいるという方もいらっしゃるかもしれません。
新車で購入してから初めての車検や、5年目で走行距離が3万km程度の車であればそれほど心配する必要はありませんが、距離と年数が増すごとに車検費用が膨らむ可能性が高くなります。
車は言葉を話さないため、普段全く気が付かなくとも、車検のときに大きな不具合が発見されるということも珍しくないのです。
そこでこの記事では、なぜ予想以上の車検見積が出てしまうことがあるのか、また、車検見積が高いと感じた場合は、具体的にどのようにすれば良いのかについて、詳しく解説していきたいと思います。
まずはなぜ車検代が高額になってしまったのかを知ろう
車検に掛かる費用の内訳は、どこで車検を行ってもかかる法定費用と、店ごとに異なる手数料や点検料、その他車検を通すために必要な整備料金となっています。
ただ漠然と高いと思っているだけではなく、必ずかかる法定費用以外の費用がいくらで、どの程度高いのかを分けて考える必要があるのです。
なぜ店ごとに点検料が違うの?
車検を業者に依頼した場合、ユーザー車検代行業者を除き、必ず法定点検を同時に実施しなくてはなりません。
整備工場の点検料は、その他の整備工賃と同様に、想定される点検に掛かる時間を基準に設定されています。
各工場にはレバレートと呼ばれる1時間当たりの整備工賃が決められており、国産車ディーラーでは7,000円~9,000円、一般の整備工場で5,000円~8,000円程度が相場です。
つまり、法定点検が1時間30分かかると想定されている場合、国産車ディーラーで約12,000円~15,000円、一般整備工場で、約8,000円~12,000円程度が点検代としてかかることになるのです。
実際の法定点検は1時間もかからないのでは?と思った方もいらっしゃると思いますが、あくまでマニュアルに沿って1項目ずつ点検していった場合に掛かる時間を想定してますので、実際の点検時間より長く設定されています。
保安基準不適合箇所がある
国が定める最低限の安全基準とも言えるのが保安基準ですので、保安基準に適合しない箇所がある場合には修理を行わなければ車検を通すことはできません。
見積説明の際には、工場から保安基準に適合していない箇所の説明はあるはずですので、もしも良く分からなければなんでも質問してみましょう。
推奨項目や予防整備項目がある
整備工場では、車検後も安心して乗ってもらうため、また、次回の車検までのあいだに保安基準に適合しなくなる恐れのある項目を推奨整備項目として案内しています。
作業を行わなくとも車検を通すことはできますので、そのままでも構いませんし、例えばバッテリーやエンジンオイル、タイヤなどはカー用品店などで単体購入する方が割安になる可能性もあります。
どこまで車検と一緒に作業するかは、工場の整備士と良く相談し決めるようにしましょう。
車検見積が高い場合の具体的な対処方法
では、実際に車検見積が高いと感じた場合、どのように対処すれば良いのかについて解説していきたいと思います。
本当に必要な整備項目かをよく確認し、価格交渉する
車検の見積もりには、どうしても一般の方には分かりにくい専門用語が並んでしまっていると思いますし、言葉で説明されても良く分からないことも多いでしょう。
上記でもお話したように、整備しなくては車検を通すことができない項目が存在しますので、保安基準に適合しない項目は整備しなくてはなりません。
ただし、見積もりで提示された整備方法は1つとは限らず、解決するためには複数の整備方法がある可能性があります。
例えば、新品部品を使用せずに中古パーツやリビルトパーツを使用することで、部品代を7割~半額程度に抑えることができるかもしれません。
工場によっては中古パーツやリビルトパーツの使用を拒む工場もあるため、担当の整備士と良く相談する必要があります。
推奨項目や予防整備を省く
作業を行わなくても車検に影響しない項目であれば、一緒に作業しないことで、車検費用を圧縮することができます。
先述したように、エンジンオイルやバッテリー、タイヤ、ワイパーなどの消耗品は、カー用品店やインターネットなどで格安で入手することができます。
ただし、項目によっては車検作業と同時に行うことで作業工賃を安くできる項目が含まれている可能性があるため、車検と同時に作業することで安くなるのか、それともいつ作業しても変わらないのかをよく確認しましょう。
車検業者を変更する
どんなに作業項目を削ったとしても、法定点検やその他の手数料が割高な工場ではそれ以上安くすることはできません。
また、工場によっては保安基準よりも厳しい社内規定を設けていることがあり、保安基準では問題無くとも、社内規定に適合しなくては作業しなくてはなりません。
そこでどうしても予算が合わないという場合は、車検工場を変更するしかないのです。
車検工場は他の小売業とは違うため、ユーザーから工場を変えたいと言われれば引き留めるようなことはありませんので、遠慮なく変更したい旨を申し出ましょう。
ただし、タイヤを外し、ブレーキの分解点検まで行っている場合には点検料の全額か、もしくは、点検料の一部を支払う必要はありますので注意が必要です。
予想外の高額車検見積を避けるコツ
車検当日に見積額が高いからといってどうにかしようと思っても時すでに遅し、ということになってしまいます。
予想外に高い見積にならないようにするためには、前もって様々なことを心掛けておくことが大切です。
日ごろのメンテナンスが大切
近年の車は基本性能が向上し、一昔前の車と比べて故障し辛くなってきました。
ですが、エンジンオイルの交換や、タイヤの空気圧調整など、ちょっとしたメンテナンスを怠ると、さまざまな部品の寿命を縮めてしまう可能性があります。
また、そういったメンテナンス作業は、自分の車になにか不具合が起きていないかを確認することができるため、車検以外で早期発見、早期治療を行うことができ、結果的にお得にすることができます。

予約は余裕を持って!車検は面倒だからと先延ばしにしない
例えば上記でお話したように、どうしても見積金額が合わず、仕方なく工場を変更しようとしても、明日車検が切れるという状態では新たに工場を見つけるのは難しいでしょう。
車検は満了日の1か月前から受けることができますので、時間的な余裕を持って予約し、車検を受けるようにしておけば、万が一工場を変更するときでも慌てることがありません。
また、工場によっては、早く予約することで割引してくれる可能性もありますので、早めに行動することがオススメです。

無料見積と有料見積の違いを知ろう
「車検無料見積!」などという看板やチラシの広告を見たことがあると思いますが、実際の車検で行う点検作業は無料で行うことができません。
何故ならば、法律で定められた点検項目の中には、ブレーキに関する点検項目が含まれているからなのです。
どんな車であろうとも、ブレーキを分解しなければ完ぺきな確認や点検はできず、分解を行わずにできる点検は、あくまで見た目だけの目測でしかありません。
そして、整備工場などでは、ブレーキなどの重要保安部品を分解する際、必ず分解整備記録簿か、点検整備記録を発行しなくてはならず、無料で分解作業を行うことができないのです。
つまり、無料の車検見積というのは、リフトアップをしてもタイヤを外さず、あくまで概算の見積でしかないと理解しておきましょう。
一括比較サイトなどを活用する
いつも同じ工場に車検をお願いしているという方も少なくないかもしれませんが、各整備工場は車検に関するさまざまなサービスや割引などを独自に用意しています。
また、冒頭でも触れたように、整備工場には予め決められている作業工賃があるため、どんなに安くしようと交渉しても限界があるでしょう。
もちろん車検で行う作業というのは、そのまま安全に直結する内容ですので、価格と品質の両方を見極めることが大切です。
ところが、自宅の近くで車検をお願いできる整備工場やガソリンスタンドをすべて把握しているという方はほとんどいらっしゃらないでしょう。
さらに、どこの工場が、大体いくらで車検をやってくれるのかということまでを把握することは不可能と言わざるを得ません。
そこで、インターネットの一括比較サイトなどを活用し、ある程度事前に車検に出せる工場を把握し、比較しておくことが大切なのです。
