車検費用を安くできる究極の方法として知られるユーザー車検。
そんな究極の方法に、今度こそ挑戦しようと思っている方も多いのではないでしょうか?
けれど、万が一不合格になってしまったら、余計に手間と費用が掛かるのが心配になって、なかなか勇気が出ない方も多いはずです。
実際、車検には保安基準という法律によって決められた基準がある以上、何をやっても合格しないことも珍しくありません。
しかし事前にしっかり準備をし、車検に落ちてしまう恐れがある項目をあらかじめ把握しておけば、余計な費用や時間をかけないようにすることができます。
このページでは、カーナビ、モニターに関する項目に焦点を当て、特に指摘されやすいポイントや、指摘された際の対象方法を紹介していきます。

ユーザー車検とアクセサリー類
カー用品店やホームセンターなどに行けば、芳香剤やドリンクホルダー、携帯電話の充電器やハンズフリー機器など、実に様々な商品が販売されています。
そして、そのほとんどの商品が取付けなどに特別な作業は必要なく、誰でも簡単に取付けし、使用できるものばかりです。
しかし、誰でも簡単に取付けできるということは、付け方を間違えれば運転の妨げになるばかりか、万が一の事故の際など、そのアクセサリー類が原因で被害が拡大することもないとは言えません。
よって、保安基準では個別の商品に対しての決まりはなくとも、これだけは守らねばならないといった規定が存在します。
まずは保安基準の観点から見て、カーナビやモニターなどのアクセサリー類はどのように扱われ、どういった点に注意する必要があるのかを解説しましょう。
前方視界
カーナビやモニターはもちろん、アクセサリー類の多くは運転者が使用することを目的とした商品が多く、運転者の手の届く範囲、または、運転者の視界に入る範囲に取り付けることが多いでしょう。
そこで、まず最も注意しなければいけない内容は、運転者の視界を確保すると言うことです。
それは言い換えれば、運転者の視界を妨げてはいけないということになりますので、例えばダッシュボードに大量のぬいぐるみを置く、ルームミラーに芳香剤だけではなく色々な物をぶら下げるなど、明らかに視界を妨げる状態となっていてはいけません。
車内突起物
次に、芳香剤やぬいぐるみのような車内を飾るもの以外に、ドリンクホルダーや灰皿、携帯電話のホルダーなどの便利グッズを使用している方が多いと思いますが、こういった便利グッズを取り付ける場合にも注意しなくてはいけない内容があります。
それは、車内の突起物になっていけないということです。
突起物とはその名の通り、鋭利なものが突出している状態を刺しますが、ここで言う突起物とは、たとえ尖っていなくても、強く触れた際にけがをする恐れのあるものという捉え方になります。
例えば、ダッシュボードの高い位置に取付けた金属製のドリンクホルダー、スマホやタブレットなどを固定する器具、助手席前方などに取付ける後付けのインテリアテーブルなどは、車内の突起物として指摘されることがあります。
また、万が一にも衝突した際などに、中に乗っている人が強い力で接触した場合などには、衝撃を和らげ、乗っている人の被害を軽減できる構造でなければなりません。
そして、どちらの場合も共通しているのが、取付けられた高さであり、何センチと規定されているわけではありませんが、大人の方が普通に乗車している状態で、胸よりも高い位置にある物は、比較的厳しく見られる傾向にあります。
カーナビと車検
純正オプションで新車の時から取付けられているようなカーナビについては、まず車検で指摘されるようなことはありません。
ユーザー車検で指摘されるとすると、後付けの社外ナビの場合がほとんどですので、具体的どういった内容の指摘をされる可能性があるのかを紹介していきましょう。
取り付け位置
カーナビに関して車検で指摘を受ける可能性が高いのは、取りけられた位置に関することです。
特に注意しなければいけないケースは、「オンダッシュタイプ」と言われるダッシュボードの上に両面テープなどで貼り付けて使用している場合で、本体とモニターが別体のカーナビや、ポータブルタイプのナビなどで、オンダッシュに取付けている方をよく見かけます。
ここで問題になるのが、運転者の視界の確保です。
保安基準では「直前及び側方の視界」という規定があり、運転者が運転席に座った状態で、その自動車の前方から30cm、左側面(左ハンドル車は右側面)から30cm離れたところにある、高さ1m直径30cmの円柱を直視またはミラーなどによって確認できなければなりません。
この高さ1m直径30cmの円柱というのは子供を想定しているのですが、運転者は前方および左側面(左ハンドル車は右側面)に存在する子供を確実に視界の中に捉えられる状態でなくてはならないということです。
そこで、オンダッシュにナビやモニターを取り付けたことによって、必要とされる視界が著しく妨げられてはならず、取付けるナビの大きさや、位置などに注意が必要になります。
モニターと車検
ナビと同様に、最初から純正としてインパネなどに埋め込まれているモニターが車検で不合格になることはありません。
モニターの場合も、後付けのモニターで指摘されることが多く見受けられますので、どういったモニターが指摘をされやすいのか具体的に解説していきます。
不適合とされる確率の高い社外モニター
まず、社外モニターがすべて保安基準不適合というわけではなく、運転者の視界を妨げないことと、乗っている人の安全を脅かさないことを満たしていれば車検上は問題ありません。
しかし、後付けのモニターの中には、ついているだけで不合格とされる可能性が高いものありますので、ここからは付いているだけで不合格とされる可能性のある代表的な後付けモニターを紹介していきます。
ヘッドレストモニター
ユーザーの方から最も多い質問が、ヘッドレストモニターです。
まず、ヘッドレストは保安基準の中では「頭部後傾抑止装置」と呼ぶのですが、平成24年7月1日以降に制作された車の運転席と助手席にはヘッドレストを備えていなくてはいけません。
さらに乗員の頭部が追突などをされた際に後ろに大きく傾かないよう防止し、同乗者も含めたすべての乗員の東部に損害を与えない構造である必要があります。
そこで2つの理由により、社外のヘッドレストモニターは保安基準不適合になる可能性があります。
1つ目は、ヘッドレストごとごっそり社外に交換している場合です。
これはヘッドレストとして求められている機能を有しているかの証明が難しく、市販されている商品の中には性能を証明する書類がついているものもありますので、必ず合格できる保証はありません。
2つ目は純正のヘッドレストを加工してモニターを埋め込んでいる場合です。
この場合は、後部座席の人の安全(当たった時の衝撃)を確保できなくなる恐れがあるため保安基準不適合になります。
サンバイザーモニター
これも意外と質問の多いモニターの一つがサンバイザーモニターですが、検査官が見落とさない限り、ほぼ車検に通らないと思っておいてください。
保安基準不適合になる理由は、衝撃吸収機能を満たせないからということになります。
その他のモニター
社外の後付けモニターは他にも無数に存在するため、すべてについて解説することは不可能です。
しかし上記に挙げた2つのモニターのほかに、ルームミラーモニターについても聞かれることがよくありますが、ルームミラーモニターについては脱落の恐れがなくしっかりと取り付けがされていることと、常軌を逸したサイズでなければ問題なく車検に通ります。
その他に車検で指摘される可能性があるモニターは、大型のモニターです。
内装をカスタムされている方の中には、家庭用の大型モニターを車載用に改造してつけている方がいらっしゃいますが、場合によっては衝突時の衝撃吸収の観点から不適合と判断される可能性がありますので注意しましょう。
まとめ
ナビやモニター、その他のアクセサリー類に関しては、保安基準において、具体的に「ナニがダメ」「コレがダメ」と指定しているわけではありません。
あくまでも「運転に支障を来さないこと」と「乗員の安全を確保すること」を目的とした取り決めであり、その基準を満たしているかどうかがポイントになります。
つまり、ある程度は検査する検査官の主観になってしまう部分もあり、なかなか線が引きづらい面もあるということです。
そのため、商品自体は保安基準に全く問題のない商品であっても、取付け方や取付け位置などによって車検不合格と指摘をされてしまう可能性は否定できません。
もしも、心配であれば取り付けの段階でプロにお願いをするか、ユーザー車検の当日までに、余計なものは外しておくというのも1つの方法です。
迷った場合には、是非とも試してみましょう。