車検費用を安くできる究極の方法として知られるユーザー車検。
そんな究極の方法に、今度こそ挑戦しようと思っている方も多いのではないでしょうか?
けれど、万が一不合格になってしまったら、余計に手間と費用が掛かるのが心配になって、なかなか勇気が出ない方も多いはずです。
実際、車検には保安基準という法律によって決められた基準がある以上、何をやっても合格しないことも珍しくありません。
しかし事前にしっかり準備をし、車検に落ちてしまう恐れがある項目をあらかじめ把握しておけば、余計な費用や時間をかけないようにすることができます。
このページでは、バンパーに関する項目に焦点を当て、特に指摘されやすいポイントや、指摘された際の対象方法を紹介していきます。

車検におけるバンパーの定義
まず皆さんがバンパーと聞いて頭に思い浮かべているものは、法律で定めている本来のバンパーではなく、正確には「外装パネル」の1つというとらえ方になります。
本来のバンパーの役目を担っているのは、普段皆さんが目にすることがない部分であることがほとんどで、色が塗られた外板であるバンパーの内側にある、レインフォースやサブメンバーと呼ばれる金属でできた骨格が、法律で定めるバンパーです。
しかし、誰でもわかりやすく、さらに混乱を避けるため、レインフォースやサブメンバー覆う外装パネルも総じてバンパーと呼ばれています。
したがって、この記事内では、骨格にあたる本来のバンパーと、それを覆う外装パネルそれぞれについて紹介していくこととしましょう。
検査される内容を把握しておく
どのような項目であっても、必ず項目ごとに検査する内容が決まっているため、事前に確認する内容を絞っておくことが大切です。
また、バンパーは、特別な機器や工具がなくとも誰でも点検できる項目で、特に洗車など日頃のお手入れの時などにでも、グラつきが無いかなど愛車のバンパーを点検しておくことをオススメします。
では、実際のユーザー車検で、バンパーのどういう点が検査されるのかを見ていきましょう。
バンパーが検査されるタイミング
バンパーが検査されるタイミングは、検査ラインに入る前の外観検査の時です。
この時、検査官はヘッドライトをはじめとする灯火類、ワイパーおよびウインドウォッシャー、ホーンの作動具合などを点検しながら車両を一周し、タイヤのはみ出しなどがないかなども併せて外観の検査を行います。
そのため、ユーザー自身が外観検査において何か特別な操作をする必要はありません。
バンパーの典型的な指摘ポイント
純正バンパーが原因で車検に不合格になるとすれば、「破損」しかありません。
判断が分かれるポイント
ユーザー車検でバンパーが不合格になる基準には、数値的なものがあるわけではありませんので、主な判断の基準は検査する検査官個人の主観となります。
そのため、なかなか言葉で表現することは難しいのですが、そもそもバンパーがどういう役割で、主にどんな性能を求められているのかを解説しながら紹介していきましょう。
車枠および車体として
外装パネルの一種としての要素もあるバンパーは、保安基準では「車枠および車体」に該当します。
ちなみに保安基準には難解な記述がありますので要約して説明しますが、「バンパーなどの外装部品は、大きな破損などがなく、グラグラせずにしっかり取り付けてあること」という条件を満たしていなければなりません。
歩行者保護
保安基準には歩行者を保護する規定があるため、バンパーにおいてはこの歩行者保護の観点から不合格になる可能性が一番高いと言えます。
歩行者保護とは、万が一に歩行者を接触や衝突した際に、歩行者が受ける被害を拡大させないことが求められ、近年の高級車(ベンツやジャガー)のボンネットマスコットがなくなったのも、歩行者保護が強化された影響です。
車検で指定されやすいのは左右の取り付け部が外れ浮いている状態の時で、考え方としては、歩行者の衣服に引っかかり転倒や、または直接的にけがを負わせる恐れがあるからになります。
似たようなところでは、フェンダーやドアなどが衝突などで変形し、鋭利に尖ってしまった場合なども指摘を受けることがありますので注意しましょう。
突入防止装置としての役割
これは、みなさんの目に触れている外装パネルではなく、内側の骨組みのことを指し、リヤバンパーがこの突入防止装置の役割を果たします。
目的としては、追突などをされた場合、追突してきた方の車が、前の車の下に潜り込む(突入)することを防ぐことが目的です。
そのため、ほとんどの車はフロント骨組よりも、リヤの骨組みのほうが頑丈に作られています。
車検に関しては、乗用車で、大幅な改造などを行うことをしなければ触ることのない部分であるため、まず問題ありません。
万が一指摘されてしまったら
万が一バンパーの破損などで、車検不合格となってしまった場合ですが、大きな破損や割れはその日のうちに対処することが厳しく、さらに最近のバンパー薄い樹脂でできているため補修などはできず、バンパーの交換が必要です。
バンパーの端が取れてしまっている程度であれば、ビスやクリップなどの簡易的な補修で対処できる可能性がありますので、近くの整備工場などに相談してみましょう。
社外バンパーについて
ここまで触れてきた内容は、あくまで純正バンパーを想定した内容でしたが、純正バンパーでは、ごく一部の特殊な場合と大きな破損がない場合は、ほとんど問題なくユーザー車検に合格できます。
ところが、純正ではなく社外バンパーの場合には少々注意が必要ですので、ここからは社外バンパーについて触れていきましょう。
外寸
きちんとメーカー名があり、特別車検に関する注意書きの無い商品であれば、まず問題ないとは思いますが、社外バンパーの中には、デザインの都合で車体の大きさが変わってしまうものがあります。
保安基準では、全長で±30mm、全幅で±20mmの範囲であれば車体のサイズが変わっても問題ありません。
しかし法律上の解釈では、この値を少しでも超えるサイズの変更は、構造変更が必要です。
特に注意していただきたいのは、軽自動車と、5ナンバー枠いっぱいで作られているハイエースなどが該当します。
例えば200系ハイエースを例に挙げると、4ナンバーの200系ハイエースの全長は、4695mmで、4ナンバー(5ナンバー)枠で決められている全長は4700mmです。
つまり5mmしか余裕がないため、全長が構造変更の必要のない±30mmの範囲に収まる+10mmのバンパーであっても、4ナンバーの枠を超えてしまい、1ナンバーにしなくてはいけません。
また、最近の軽自動車も軽自動車規格で定められた大きさ目一杯に作られているため、大きく張り出したパンパーなどを取り付けた場合、軽自動車ではなく小型車になり白ナンバーになってしまいます。
ただし、実際に検査場で全長を測られることは滅多になく、よっぽど派手な改造をしていて、検査官に目を付けられなければ問題なく通ることが多いです。
最低地上高
最低地上高は、よく質問を受ける項目であるため説明しておこうと思いますが、結論から先に言うと、最低地上高にバンパーや、付随するスポイラーは全く関係ありません。
そして最低地上高に関して言えば、どれだけ低くとも車検で指摘されることはまずありませんが、あまり低くなりすぎてしまうと、当然段差などで接触し、破損しやすくなってしまいます。
そのため、破損の仕方によっては、他の交通に対する危険を伴う突起物とされてしまう場合や、全長が基準を超えてしまうなどの理由で不合格になる可能性がありますので注意しましょう。
まとめ
冒頭でも触れているように、ユーザー車検においてバンパーの合否に関する基準は、全長、全幅などの大きさを除いて、決められた数値があるわけではなく、破損などをしている場合で、尚かつ歩行者や他の交通の妨げになる場合や、危害を与えてしまう恐れがある時のみです。
また、合格か不合格の基準は担当する検査官の主観に頼る部分が大きいため、万が一バンパーに気になる破損がある場合は、事前にディーラーなどの整備工場に相談しましょう。