車検費用を安くできる究極の方法として知られるユーザー車検。
そんな究極の方法に、今度こそ挑戦しようと思っている方も多いのではないでしょうか?
けれど、万が一不合格になってしまったら、余計に手間と費用が掛かるのが心配になって、なかなか勇気が出ない方も多いはずです。
実際、車検には保安基準という法律によって決められた基準がある以上、何をやっても合格しないことも珍しくありません。
しかし事前にしっかり準備をし、車検に落ちてしまう恐れがある項目をあらかじめ把握しておけば、余計な費用や時間をかけないようにすることができます。
このページでは、内装に関する項目に焦点を当て、特に指摘されやすいポイントや、指摘された際の対象方法を紹介していきます。

ユーザー車検で検査される内容
ユーザー車検は、どのような項目であっても、必ず項目ごとに検査する内容が決まっているため、事前に確認する内容を絞っておくことが大切です。
では、実際のユーザー車検では、内装のどういう点が検査されるのかを見ていきましょう。
検査官が確認するポイント
まず、室内やシートなど内装の検査が行われるタイミングは、検査ラインに入る前、外観検査後に、検査官に車内を検査されます。
それではここから、ユーザー車検の検査で、室内やシートなど内装についてどのような点が指摘されやすいのかを見ていきましょう。
発煙筒
一般的な火薬を使用する発煙筒には使用期限があり、製造から4年間となっています。
また、最近増えつつある電池式の発煙筒(正確には非常信号灯)には使用期限がありませんが、電池切れなどで作動しない状態では車検に通りません。
普段使用することはないため忘れがちですが、事前にしっかり確認し、有効期限切れや電池切れなどがないかの確認しておきましょう。
電池切れの場合は電池を用意し、期限切れの場合は、検査場近くの整備振興会やホームセンターなどでも購入可能ですので調達してください。
シフトレバー
マニュアル車で、なおかつ社外品のシフトレバーに交換されている方は注意が必要です。
マニュアル車のシフトレバーにはシフトパターンを記している必要があり、社外品の場合は、シフトレバーの近いところにシフトパターンが記載されたシールなどを貼る必要があります。
シフトパターンのシールは検査場近くの整備振興会などで購入可能ですので、ない場合には必ず貼っておきましょう。
ヘッドレスト
ヘッドレストに関しては、平成24年7月1日以降に登録された車両については、運転席と助手席の両方にヘッドレストが必要になります。(平成24年6月30日以前の車両は運転席のみ必要)
付いていないのはもちろん保安基準不適合のため不合格になってしまいますが、特に注意が必要なのはヘッドレストモニターです。
市販されているヘッドレストモニターの中には保安基準適合品もありますが、私の知る限り数は少なく、販売価格も高いものとなります。
つまり、ほとんどのヘッドレストモニターは車検不合格と思っていただいてよいと思いますので、車検前に純正に戻すなどの対処をするのがオススメです。
シート
純正品のシートそのままという方は全く問題ありませんが、社外品のシート、特にフルバケットタイプのシートに交換されている場合は注意してください。
バケツ型の座席という意味を持つ座席のことを指す。左右のへりを極端に高めることで、肩や尻を深く包み込んで身体を固定する機能が高められている。
何故なら、車検で不合格になる可能性がが高くなってしまうからです。
もちろん、フルバケットシートだから絶対に不合格というわけではなく、車検を通すためにはいくつか条件があります。
まず、乗車定員が2名のロードスターやMR-Sなどの車両では、ほぼ間違いなく車検に通りますが、後部座席がある車両では、後部座席に座る人を保護するため、シート背面に緩衝材などの衝突保護の処理がされていなくてはなりません。
また、2ドアの場合には、衝突保護の処理がされていたとしても、後部座席の人がスムーズに脱出できなくなるため、助手席側をフルバケットシートにすると車検不合格になります。
社外装備品
内装関連で指摘される可能性が高いのは、社外のアクセサリーや装備品です。
まず多いのが、助手席前のダッシュボードなどに取り付けるインテリアテーブルです。
テーブルに関しては率直に申し上げてグレーとしか言いようがありませんが、法律的には、衝突などの際に乗員の安全を脅かすものは保安基準不適合になります。
私が以前勤務していた車検工場では確実に不合格と判断するようにしていましたし、陸運支局でも検査する検査官によって判断が分かれることがありますので、事前に外しておいたほうが無難です。
また、最近はシガーソケットなどから電装品の電源を引いている方も多く見受けられますが、後から追加する配線があまりに多く、ブレーキペダルやシフトレバー、ウインカーレバーなどの操作を妨げる状態では指摘を受けることがあります。
そのため、配線類はきれいに処理しておくことがオススメです。
保護仕切棒
これはハイエースやキャラバンなどの最大積載量が501kg以上の貨物車には必要で、普段あまり荷物を積んでいない方は取り外したままになっている方も多いかと思いますが、車検の前には戻しておきましょう。
中には紛失してしまう方もいらっしゃいますが、新品は数万円しますので注意しましょう。
また、専用品ではなく、いわゆる突っ張り棒で車検に通ったなどという情報もあるようですが、それはあくまで検査官の見落としの可能性が高いだけであり、現在は純正品でなければまず車検に通ることはないと思って間違いありません。
内張など
ドアや天井などの内張を軽量化などの目的で剥がしていたり、または、経年劣化で剥がれてしまったりしている場合もあるかと思いますが、特に前席周りでは指摘されてしまう可能性があります。
不合格になる理由は、内張が剝がれていると、本来露出することのない金属などの突起物が露出してしまい、その状態では万が一の事故の際、その突起部分によって乗っている人の被害が拡大する可能性があるためです。
しかし、どの程度ならOKで、どこからがNGかという基準は特になく、検査官の主観的要素が多分にあるため判断が難しく、内装の内張に破損がある場合は事前に整備工場などに相談してみることをオススメします。
車内の荷物
これは車検で不合格になるという内容ではありませんが、車内の荷物が満載の場合、検査ラインに入る前に全て下ろすように指示される可能性が高いです。
法律によって車検を受ける時は、車の状態にも規定があり、その状態を「検査時車両状態」といいます。
検査時車両状態とは、燃料や油脂類は満タンで人も荷物も載っていない「空車状態」に、運転者が一人(55kg)乗った状態のことです。
つまり、荷物を載せていてはいけないということになりますが、実際の検査では50kgまではOKとか100kgまでOKとかいろいろな情報があります。
しかし、何を積んでいるかによっても見た目と実際の重量に差ができますので、見た目で満載の状態は避けておくほうが無難です。
グレーゾーンが多い内装
室内やシートなどの内装については、いわゆるグレーゾーンといえる項目が多く存在します。
前項目でもいくつかグレーゾーンであることは案内していますが、グレーゾーンが多くなる理由は、エンジンなどのアフターパーツなどと違って部品単価や作業工賃が安く、気軽に取り付けられる商品が多いため、全てを適合・不適合と区分けすることが不可能だからです。
したがって、合否の判断は「運転手の視界を妨げてはならない」「人の安全を確保しなければならない」という2つの基準から鑑みて判断されます。
あくまで取り付けている方のみが対象になりますが、ユーザー車検で指摘される可能性があるグレーな項目をいくつか紹介していきます。
カーテン
フロントガラス、運転席、助手席以外はまず問題ありませんが、一番多いのは運転席と助手席のカーテンです。
現状の判断基準は「窓に貼り付けるタイプや窓ガラスに接触する物はNG」というのが、多く聞かれる基準になりますので、付けている場合は外しておきましょう。
ネオン管(車内)
リアガラスや、バックドアのガラス面を斜めに遮るように設置されているネオン管の場合ですが、保安基準上、後ろのガラスなので特別禁止している法律はありません。
しかし、夜間走行時に光がフロントガラスに反射し、運転の妨げになる場合や、強い光が周囲(他車)に影響が及ぶ懸念があると判断されると不合格になりますので注意しましょう。
棚やラック
これはバンタイプの車を持っている方に多いのですが、自作の棚や市販されている家庭用のラックを荷台に乗せている場合は注意が必要です。
まず棚やラックは、しっかり固定するため、車体のどこかと溶接やボルトなどで固定してしまうと「構造物」となってしまい、場合によっては構造変更をしなくてはいけなくなることがあります。
また、溶接やボルトなどで固定はしていなくとも、明らかに重量がありそうな場合は検査前に下ろすように言われる可能性が高いです。
上記に挙げた3つ以外にもグレーゾーンと言えるものはまだまだ存在しますが、ユーザー車検で確実に合格したいのであれば、「純正の状態」に戻す以外ありません。
ですので、簡単に外せるアクセサリー類などは事前に外し、荷物なども極力おろしておくようにしましょう。