車検費用を安くできる究極の方法として知られるユーザー車検。
そんな究極の方法に、今度こそ挑戦しようと思っている方も多いのではないでしょうか?
けれど、万が一不合格になってしまったら、余計に手間と費用が掛かるのが心配になって、なかなか勇気が出ない方も多いはずです。
実際、車検には保安基準という法律によって決められた基準がある以上、何をやっても合格しないことも珍しくありません。
しかし事前にしっかり準備をし、車検に落ちてしまう恐れがある項目をあらかじめ把握しておけば、余計な費用や時間をかけないようにすることができます。
このページでは、メーター回りや操作系に関する項目に焦点を当て、特に指摘されやすいポイントや、指摘された際の対象方法を紹介していきます。

ユーザー車検で検査される内容
ユーザー車検は、どのような項目であっても、必ず項目ごとに検査する内容が決まっているため、事前に確認する内容を絞っておくことが大切です。
では、実際のユーザー車検では、メーター廻りや操作系のどういう点が検査されるのかを見ていきましょう。
メーター廻りや操作系の検査内容
まず、メーター廻りや操作系の検査が行われるタイミングは、検査ラインに入る前、外観検査後に、検査官に車内を検査されるのと同時に行われます。
その際に、メーター廻りや操作系についてどのような点が指摘されやすいのかを見ていきましょう。

メーター内警告灯
実は2017年2月1日より、「警告灯(メーター内のインジケータランプ)が点灯又は点滅している自動車は車検の審査を行わない」と発表されました。
これにより、今までいわゆるグレーゾーンであった内容に、きちんと線が引かれることになりましたので、詳しく解説していきましょう。
ちなみに、警告灯の色には意味があり、それぞれの色は国際規格(ISO)で決められています。
赤色は危険、黄色は注意、緑色は安全を意味し、水温や油温に関しては、赤色が高温、青色が低温となります。
下記にはまず、点灯もしくは点滅状態では検査を受けられないと、明確に示された5つの項目を紹介していきましょう。
前方エアバッグ
これは運転席や助手席の前方にあるエアバックの警告灯です。
この警告灯が点灯している状態の時はエアバックシステムのどこかに不具合が起きており、エアバックの作動をキャンセルしている状態を示しています。
そのため、警告灯が点灯している状態では、万が一の際にエアバックが作動しません。
よって点灯していると、危険な状態であると判断されてしまいます。
警告灯の色は赤色で、正常な状態ではイグニッションスイッチONで点灯し、エンジンが始動すると1~3秒程度で消灯しますので、点いている場合は要注意です。
側方エアバッグ
サイドエアバックや、カーテンエアバックと呼ばれる横方向のエアバックが装備されている車両には、フロントのエアバックとは別の警告灯が備え付けてある場合があります。
警告灯点灯時は前方エアバックと同様に、作動がキャンセルされている状態ですので、衝突時などに側方エアバックが作動しません。
警告灯の色は赤色で、正常な状態ではイグニッションスイッチONで点灯し、エンジンが始動すると1~3秒程度で消灯します。
ブレーキ
サイドブレーキ(パーキングブレーキ)を作動させているときに点灯する(!)のランプです。
サイドブレーキを解除しているにも関わらず、このランプが点灯していた場合は、ブレーキオイルの液量が規定量以下になっていることを示しています。
そのためブレーキパッドが過度に摩耗しているか、ブレーキオイルが漏れていることが考えられ、最悪ブレーキが全く効かなくなる可能性があり大変危険です。
警告灯の色は赤色で、サイドブレーキ(パーキングブレーキ)作動時に点灯し、解除すると消灯します。
ABS
ABSのシステムに何らかの不具合があることを示しています。
アンチロックブレーキシステムの略。急ブレーキや摩擦の低い路面などでブレーキを踏んだ際に、車輪のロックを低減する装置のこと。
このランプが点灯や点滅をしている時は、ABSの作動がキャンセルされている状態を示しているため、いざという時の急ブレーキでタイヤがロックしてしまい、思うようにコントトールできない可能性があるため危険です。
警告灯の色は黄色で、正常な状態ではイグニッションスイッチONで点灯し、エンジンが始動すると1~3秒程度で消灯します。
原動機
一般的にエンジンチェックランプ、またはエンジン警告灯と呼ばれるランプです。
このランプが点灯している状態というのは、エンジンに関わるセンサーやアクチュエーターなどの電子部品に不具合が発生していることを示しています。
故障している部位にもよりますが、点灯している状態でエンジンが作動していれば、フェールセーフという何らかの保護機能が働いている可能性が高いです。
そうなると出力の低下や燃費の悪化、排気ガス濃度の変化などが起きている可能性がありますので、早めに整備工場へ相談することをオススメします。
警告灯の色は赤色で、正常な状態ではイグニッションスイッチONで点灯し、エンジンが始動すると1~3秒程度で消灯します。
その他の警告灯
点灯していることで車検を受けることすらできないとされている警告灯は上記の5つですが、その他に車検で指摘されることがある警告灯がありますので紹介します。
シートベルト警告灯
これはシートベルトを装着していない場合に点灯し続ける警告灯ですが、車検ではきちんと点灯するかが検査されます。
つまり、シートベルトを装着していない状態で点灯していなければ不合格となってしまうわけです。
普段から確認できるものですので、点いていない場合はディーラーに持ち込んで修理しましょう。
Dレンジランプ(変速機警告灯)
メーカーにより表示の仕方が違いますが、ミッションに関わる電子部品に不具合が発生している時に、シフトインジケーターのDマークが点滅したり、専用の警告灯が点灯したりします。
Dレンジマークが点灯しているにも関わらず走行できている場合は、何らかのフェールセーフが働いている可能性があり、正常な変速ができていない状態です。
もし、そのような症状が出ている場合は、速やかに整備工場などで点検されることをオススメします。
スピードメーター
メーター類で車検に大きく関係する項目としては、スピードメーターがあります。
これは検査終盤に行うスピードメーターの誤差の検査に関係してくるのですが、スピードメーターテスター上で走行し、スピードメーターが40kmを指した時に、測定スイッチを押すかパッシングを行うことで、実際の速度と、スピードメーターが示す速度の誤差を測定するという検査を行います。
その際に、以下のような保安基準が関わってきます。
31km/h以上42.5km/h以下
31km/h以上44.4km/h以下
上記に示した範囲内でなければ、車検に合格することはできません。
誤差の出る原因はいくつか考えられますが、最も多いのが、規定外サイズのタイヤなどを装着している場合です。
その場合、速度に大きな誤差が生じる可能性がありますし、もちろんスピードを計測しているセンサーやスピードメーター本体に不具合がある場合も、正常な速度が計測できなくなります。
また、あまりないことですが、保安基準では「運転者が容易に走行時における速度を確認できるものでなければならない。」とあるため、スピードメーターの上にシールを貼っていたり、カバーに著しい損傷があったりすると指摘され、最悪の場合には不合格になる可能性がありますので覚えておきましょう。
操作系
操作系と聞いてもあまりピンとこない方もいらっしゃると思いますので、ここでは特に指摘されやすい個所に絞って紹介していきます。
ハザードスイッチ
ハザードスイッチには必ず2重の三角マークがあると思いますが、長年の使用で印刷や塗装がすれて判別できない状態になっていると、指摘される可能性があります。
ヘッドライトスイッチ/ウインカースイッチ
現在、新車で販売されている国産車のほとんどの車種では、ウインカースイッチ(レバー)にヘッドライトのスイッチが付いていると思います。
しかし、スモールとヘッドライトを示す印字が消えてしまっている場合、指摘される可能性が高いです。
ハザードもそうですが、共通して言えることは、走行の安全を確保するために必要な装置の操作に必要なスイッチ類については、そのスイッチが何であるかを明確に示す必要があります。
いつも乗っているご自分の車ですので、ハザードもヘッドライトも特に気にすることなく操作できると思いますが、保安基準では運転する人を限定しているわけではありません。
そのため、誰が初めて乗っても迷わず操作できることが求められますので、覚えておきましょう。
もしも指摘されてしまったら
もし運悪くメーター廻りや操作系で指摘を受けてしまったら、ほとんどの場合その場で対応することは不可能ですし、どの不具合も部品の調達や修理にある程度の時間が必要です。
また、特に警告灯類については、転倒している状態でも問題なく走行できてしまうこともあるため、そのままにしているケースも見受けられます。
場合によっては放置したことによって症状が重症化し、修理費が膨らんでしまう可能性も十分考えられますので、安全な運航のためにも、車検に合格するためにも、発見した場合は早めに整備工場などに相談するようにしましょう。