車検費用を抑えることができると話題のユーザー車検に挑戦しようとしている方の中には、こんな考えがあるのではないでしょうか。
「ちゃんと合格することができるのか」
「落ちた場合はどうすればいいのか」
「少しでも合格する確率を上げるためにはどうしたらよいのか」
何事もそうですが、初めて何かを行う際には、知りたい情報と、様々な心配ごとが入り混じってしまうものです。
そこで今回は、車検に合格する確率を上げることができ、落ちてしまった場合の受け皿となることのできる「テスター屋さん」について紹介していきたいと思います。
テスター屋とは
車検場の近くには、通称テスター屋と呼ばれる予備検査場があります。
民間の整備関係者の方や、ユーザー車検に慣れっこの皆さんにとってはお馴染みの施設です。
ここには陸運支局内の検査コースにある検査機器と同等の機器が揃えられており、本番の車検を受ける前に、あらかじめ本番の検査と同等の検査(測定)を受けることができる民間の施設で、別名「予備検査場」とも言われています。
皆さんにわかりやすくするため、敢えて検査と言っていますが、正確には検査コースにある各種測定機器を揃えているという形態で、「検査」ではなく測定と調整をしてくれる施設なので「テスター屋」と呼ばれています。
このテスター屋は元々、一般の整備業者さん向けに、効率よく持ち込み車検業務が行えるように始まったサービスでした。
しかし、最近ではユーザー車検を受ける方の数が増加するにつれて、一般の方でも利用しやすくなってきただけではなく、大きな規模で営業しているようなテスター屋さんでは、合格しやすくなるようなアドバイスまでしてくれるようなところもあります。
ただし、もともとは業者さん向けの営業をしていたこともあり、中には一般の方お断りとしているところや、いわゆる接客業的な対応をしていないテスター屋さんもまだまだ多く存在しますので、ご注意ください。
料金体系
車検費用を少しでも安くするためにユーザー車検を選択しているにも関わらず、あまり高い金額をテスター屋さんに払っていては意味がありません。
そこで、まずはテスター屋さんの料金についてみていきましょう。
ただし、この料金についてはかなり幅があるのが現状ですので、あくまで目安としてご覧ください。
フルコース
本番車検の内容のうち、サイドスリップ、制動力測定(ブレーキ)、スピードメーター、排気ガス、光軸(ヘッドライト)の5項目を、すべて確認できる内容が、通称フルコースやフルセットと呼ばれています。
上記に挙げた5項目は、測定機器がなければ正確な値を知ることがほぼ不可能な項目ですし、初めてユーザー車検を受けるという方は、本番前の疑似体験という意味でもオススメです。
料金は3,000円~5,000円というところが多く、なかには2,000円という破格なところから、8,000円程度のところまであります。
予備検査で8,000円を支払ってしまうと、せっかくのユーザー車検のメリット薄くなってしまいますので、事前によく確認しておくと良いでしょう。
部分的な測定
上記のようにすべてを行わず、心配なところのみ、または不合格になったところのみの測定と調整を行うこともできます。
具体的な金額は以下の通りです。
・サイドスリップ測定・調整:2,000~3,500円
・制動力測定(ブレーキ):1,500円~3,000円
・スピードメーター測定:1,500円~2,500円
・排気ガス測定:1,500円~2,500円
・光軸(ヘッドライト)測定・調整:1,500円~2,500円
テスター屋の利用方法
テスター屋さんは別名予備検査とも呼ばれていますので、一般のかたの中には、本番前に利用するものだと思っている方も少なくありません。
しかし、テスター屋さんの利用方法は、その名の通り検査前に予備的に利用する方法と、不合格になった項目のみ修正(調整)するという2通りのやり方があります。
ここでは、その2つの利用方法について見ていきましょう。
検査前に利用する
これはその名のとおり、本番の車検に臨む前にテスター屋さんに立ち寄り、前もって予備検査を受ける方法です。
事前に予備検査を受ける場合には、本番の予行練習の意味も含めてフルコースを利用する方法と、特に落ちやすいヘッドライトやサイドスリップのみを検査しておく部分利用があります。
メリット
どんなに調子の良い車でも、1回で車検に合格するとは限りませんので、前もって検査を行い簡単な調整をしておくことで、車検に合格する確率を上げることができます。
また、初めてユーザー車検に挑戦する方にとっては練習にもなり、場合によっては合格しやすくなるようなアドバイスをしてくれる場合もありますので、本番の検査コースでの運転ミスや操作ミスで不合格になるということは防ぐことが可能です。
そして、万が一簡易的な調整では改善できない箇所が発見された場合には、整備してくれる工場を探すなど事前に準備をすることができます。
デメリット
正確にはデメリットと呼べないかもしれませんが、何もしなくてもあっけなく合格してしまう可能性があるのが車検です。
業者に車検を委託することに比べれば安くできますが、やはり費用の負担が増えてしまうことは確かです。
また、ほとんどのテスター屋さんが、万が一本番で落ちてしまった際、当日であれば無料で再調整などを行ってくれますが、予備検査ですべて合格になったからといって、必ずしも本番の車検で合格する保障はありません。
不合格になった後で利用
もう一つの方法が、ダメ元で本番の車検を受け、不合格になった項目だけを調整するやり方です。
予行練習のようなことはできませんが、一般の整備業者さんはもちろん、多くの方が落ちた場合の対処法として利用しています。
私個人の意見としては、不合格になった項目のみを調整するほうが、無駄がなくお得であると思いますのでオススメです。
メリット
一番のメリットは落ちた項目のみであるため、余計な出費や時間を防ぐことができます。
デメリット
フルコースで受けるよりも単価は高めに設定されているため、事前にフルコースで予備検査を受けるよりも多めに費用が掛かります。
また、不合格が判明した後に行うことになるため、時間的な余裕はあまりありませんので、事前にテスター屋さんの情報は調べておくのがオススメです。
できること、できないこと
テスター屋さんでは、ヘッドライトの光軸調整とサイドスリップの調整、灯火類の電球交換程度であれば、その場で対応してもらえます。
しかし、テスター屋さんは整備工場ではないため、電球類を除く部品交換を伴うような整備作業を対応してもらうことはできません。
また、簡易的な調整ができないような状況、例えばサイドスリップを調整するためのタイロッドが腐食により固着してしまっているような場合も同様です。
基本的にテスター屋さんは、車検に合格できるようにサポートをしてくれる場であって、整備工場ではありません。
よって、あくまで予備的な保険程度に考えておきましょう。
テスター屋さん以外の方法は?
あまり知られていないことですが、上記の不合格後の調整であれば、数が限られているテスター屋さんで、わざわざ調整を行わなければならないということではありません。
陸運支局の近隣には、テスター屋さんよりも一般の整備工場も多く存在し、ヘッドライトの光軸調整やサイドスリップ調整などはもちろん、テスター屋さんでは対応できないような内容でも、整備工場であれば対応できるというケースもあります。
もちろん、すべての整備工場が、そういったユーザー車検に落ちた車に対応してくれるとは限りませんし、整備内容や、もともと抱えている仕事量などによっては、その場で対応できないことも珍しくありません。
しかし、検査場が混雑する繁忙期などではテスター屋さんも同様に混雑していますし、テスター屋さんで対応できないことも何とかできる設備が整備工場にはあります。
なかなか飛び込みで初めての整備工場は緊張するかもしれませんが、非常に有効な手段のひとつですので試してみてください。
まとめ
テスター屋さんを活用することでユーザー車検に合格する確率は高くなりますし、不合格になった際の受け皿としては十分に活用できます。
しかし、本番の車検を行う陸運支局は国、テスター屋さん(予備検査場)は民間の施設です。
つまり全くの別物であるため、予備検査場で合格できる結果が出たとしても、本番の車検で合格できるとは限りません。
予備検査という響きを聞くと、何となく本番前に受けなくてはならないような気がするかもしれませんが、実際にテスター屋さんを利用するか否かは完全に利用者の任意です。
何より予算や車の状態などを考慮した上で、必要ないと思えば無理をして受ける必要は全くありませんので、あくまでユーザー車検を受かりやすくするための一つの選択肢として覚えておいて損はありません。
もしも不安がある方は、利用してみてください。