車検を最も安く済ませられる可能性があるのは、間違いなくユーザー車検です。
しかもユーザー車検はナンバーに関係なく全国どこでも受けることができるうえ、一度やり方をマスターしてしまえば、そんなに難しいものではありません。
そう聞くと今すぐにでもユーザー車検を始めてしまいたくなりますが、何事も焦りは禁物。
しっかり準備をし、落ち着いてユーザー車検を受けることが、合格への近道なのです。
今回は、ユーザー車検をする前にしておくべき準備や、事前に車をチェックするポイントなどを紹介していきましょう。
ユーザー車検を受ける前にチェックすべきこと
ユーザー車検当日は予約時間が決まっていることもあり、当日になってからでは間に合わないことも珍しくありません。
まずは、当日までにやっておくべきことを見ていきましょう。
必要書類の確認
まず、確認しておくべき内容は必要書類が揃っているかどうかです。ユーザー車検を始める前に、必要な書類を一度確認しておきましょう。
- 車検証
- 自動車税納税証明書(継続検査用)※特定の条件でのみ不要
- 自動車損害賠償責任保険証明書
- 自動車検査票
- 自動車重量税納付書
- 継続検査申請書
- 定期点検整備記録簿
※自賠責保険証明書、自動車検査票、自動車重量税納付書、継続検査申請書は当日でOKです。
※定期点検記録簿については、検査後に点検を受ける場合は不要です。

ユーザー車検の予約
ユーザー車検を受けるためには、希望の日付と時間に合わせて検査ラインの予約をする必要があり、普通車・軽自動車でそれぞれ予約するホームページが違いますので注意してください。
また、予約は2週間前から可能です。
普通車の予約は「独立行政法人 自動車技術総合機構」の専用ページから行います。
軽自動車の予約は「軽自動車検査協会」の専用ページから行います。
そして、予約が完了すると予約番号が発行されますので、忘れずにメモなどを取っておきましょう。
検査場の業務時間
陸運支局は、土日、祝日と12月29日から1月3日まではお休みです。また、検査ラインは午前と午後、計4ラウンドに区切られています。
申請の受付時間と検査ラインの検査時間がそれぞれありますので、下記表をご覧ください。
午前 | 午後 | |||
1ラウンド | 2ラウンド | 3ラウンド | 4ラウンド | |
受付時間 | 8:45~10:00 | 10:00~11:45 | 12:45~14:00 | 14:00~15:45 |
検査時間 | 9:00~10:15 | 10:30~12:00 | 13:00~14:15 | 14:30~16:00 |
このように、自分の都合のいい日を予約することになりますが、書類の準備など何かとやることが多いため、特に初めて挑戦する方は、2ラウンドの予約を取り、早朝から落ち着いて準備をされることをオススメします。
混雑状況
登録台数の多い3月と9月はどこの陸運支局も大変混雑しますし、週末やゴールデンウィークなどの連休前や年末も混雑します。
特に登録台数の多い首都圏では、予約が大変取りづらくなってきているのが現状です。
したがって、上記のように予約は2週間前から取ることができますので、できる限り早く予約を取るようにしましょう。
愛車の状態を確認
車検直前ではなくとも、愛車の状態は日常点検や、日々の洗車などで常日頃から気にかけておくことが何より大切です。
しかし、ユーザー車検での合格率を少しでも上げるためには、事前に普段では確認していないようなところまで確認し、万が一車検に通らない箇所を発見した際には、車検当日までに修理をすることが必要になります。
そのためには、車検の2~3週間前には一度、自分の車の状況を確認しておきましょう。
車検に合格できるかをチェック
ここから一般の方でもできる、ユーザー車検の合否に関わるチェックポイントについて紹介していきましょう。
なお、事前チェックはしっかり念入りに行うことに越したことはありませんが、誰でも安全にできる内容に限定し、ジャッキアップやリフトアップなどの、危険を伴うような内容は敢えて記載していませんので、ご了承ください。
外周り
まずは、実際のユーザー車検でも最初にチェックされる項目である、車の外周りから見ていきましょう。
灯火類に破損・点灯具合
まずは灯火類からです。
ヘッドライト、ウインカー、ポジションランプ、スモールランプ(テールランプ)、ナンバー灯、フォグランプ(該当車のみ)などの灯火類に割れや破損がないか、すべて正常に点灯するかを確認します。
保安基準では取り付けられているこれらの灯火類は、すべて点灯しなくてはいけません。
また、上記に挙げた灯火類以外のランプは「その他の灯火」にあたり、車検に通るものと通らないもの(取付けているだけで違反になるもの)があります。
外装(ボディ)の破損の有無
続いては外装です。外装は、車を1周回って確認をします。
多少ぶつけて凹んでいる程度では問題ありませんが、大きく変形し、外に飛び出してしまっているような場合は突起物とみなされ車検に通りません。
また、バンパーやミラーなどがきちんと取り付けられてなくてはいけませんし、各ドアが外側から開けられなくてはいけないので注意が必要です。

ワイパー、ウインドウ ウォッシャー
ワイパーやウインドウ ウォッシャーも検査の対象になります。
ワイパーに関しては、しっかりと水が掃けることが必要であるため、ワイパーゴムの切れ、ブレードやアームの変形があると車検に通らない可能性が高いです。
ウインドウ ウォッシャーは、きちんとガラスに向けて噴射されているか確認します。

ガラス類
フロントガラスをはじめ、すべてのガラスにヒビ割れ以上の破損が1か所でもある場合は車検に通りません。
また、フロントガラス、左右フロントの窓ガラスに決められたもの以外のステッカーやフィルムなどが貼ってある場合は剥しておきましょう。
タイヤの状態
パンクなど空気が抜けていないか、溝は1.6mm以上残っているか、大きなヒビ割れや変形などの破損はないかを確認します。
また、社外のホイールなどに換えている場合は、ボディからタイヤ(ホイール)がはみ出していないかもチェックされますので調整が必要です。

内装
内装も外周りと同時に、最初の段階で検査を受けます。
メーター類
メーター類に関しては、シートベルト警告灯などのメーター内にあるすべての警告灯が正常に点灯するかを検査します。
また、エンジンやABS、エアバックなどの警告灯については、エンジン始動後にきちんと消灯するかを確認します。

パワーウインドウ
運転席と助手席のパワーウインドウは、きちんと開閉できなくてはいけません。
その他
走行時はもちろん、衝突などの万が一の時などに、乗員に危険が及ぶ恐れのあるものは車検に通りません。
代表的なものでは、後付けのテーブルや大きすぎる後付けモニター、ヘッドレストモニターなどが不合格になる可能性があります。

エンジン
エンジンのかかり具合や調子が悪かったり、明らかな異音がしたりする場合は不合格になる可能性があります。
エンジンを停止した直後は各部が熱くなっている可能性があるため、確認する際は火傷などに十分注意してください。
油脂類
油脂類とは、エンジンオイル、ミッションオイル、ブレーキオイル、ウォッシャー液、冷却水などです。
車検では汚れではなく、量の確認がされることがありますので、規定量が入っているか確認しておきましょう。
ベルト類
ベルト類は、見た目でわかるようなヒビや亀裂がないか確認します。
当然ですが、ヒビや亀裂があれば車検に通りませんので、ある場合は交換しておきましょう。
オイル漏れ/冷却水漏れ
エンジンルームを見て、オイルや冷却水が明らかに滴になっている状態では漏れと判断され、不合格になります。

その他
バッテリーなどの部品が確実に固定され、破損などがないか確認します。

下回り及び足回り
リフトアップなどをせずに、確認できる範囲で紹介していきます。
オイル漏れ/冷却水漏れ
車の下を覗き、もしあれば懐中電灯などで照らしてみて、オイルや冷却水の漏れが無いかを確認しましょう。
マフラー
まず音を聞いて、排気漏れなどがないかを確認します。
明らかに大きな音がしている場合や、排気口ではない場所から排気音がする場合は排気漏れの恐れがありますので注意しましょう。
また、手で揺すりしっかりと取り付けられているかを確認します。
エンジンを停止した直後はマフラーが熱くなっている可能性があるため、火傷などに十分注意してください。
ブーツ類
前輪駆動車と4輪駆動車の場合は、左右どちらかにハンドルを目いっぱい切り、ドライブシャフトブーツに切れやグリス漏れがないかを確認してください。
この時、一緒にタイロッドエンドブーツやロアボールジョイントブーツなどを点検することができますので、切れやグリス漏れがないかを確認しましょう。
法定点検
これは少々反則というか、車検費用を安くすることにあまり繋がりづらいかもしれませんが、やはり整備工場で法定点検を受けるというのも1つの方法です。
法律上、車検(検査)とは別に法定点検を受けることは義務とされているため、検査前に点検をしなかったとしても後日、法定点検をする必要があります。
もちろん法定点検は整備工場で行わなくとも、法律上は問題ありません。
しかし、安全という観点からみると、どうしても一般の方が点検するには不可能な場所があります。
それはブレーキ回りです。
ある程度の工具と、平らな場所が確保できればやってできないことはないかもしれませんが、ブレーキの整備ミスは即大事故に直結しますので、あまりオススメできません。
もし安全・安心のために検査後、整備工場などでの法定点検を考えているのであれば検査前に法定点検をしてもらい、後日ユーザー車検に持ち込むほうが賢いやり方です。

まとめ
ユーザー車検は車検費用を抑えるだけでなく、自分の車に対する安全意識の向上にも繋がるとされていますので、ぜひ一度は挑戦してもらいたいものです。
初めて挑戦される方は、書類の準備を始め少し面倒ではありますが、本記事を参考にして早めに準備をし、万全の態勢でユーザー車検に挑戦してみてください。