アバルト車に乗っている方で車検を受けようと考えている場合、まず依頼先の候補に上がるのは購入した店舗か、近所のアバルトディーラーだと思います。
けれどディーラーの車検には、どうしても高くなるというイメージが否めません。
一般的に、アバルトをはじめとする輸入車の車検費用は車両価格の10分の1が相場であるという定説が、出回っています(あなたもどこかで耳にしたことがあるのでは?)
そのせいで、ディーラーでの車検を躊躇している方もいるのではないでしょうか?車両価格が200万円ならば車検費用は20万円、300万円ならば30万円と、相当に高額が予想されます。
こういった、輸入車のディーラー車検にまつわる価格相場の定説は本当なのでしょうか?
しかし、ディーラーの車検が他の整備工場などと比べて高いのには、相応の理由というものがありますし、アバルトオーナー独特の心理というものも大きく価格に関係してきます。
その点を理解すれば、きちんと納得して車検を通すことに繋がるというものです。
そこで今回は、アバルト系列ディーラーでの車検の詳細と、実際の相場について紹介していきますので、ディーラーで車検を受ける方は参考にしてみてください。
アバルトディーラーでの車検

引用:http://www.abarth.jp/
自動車メーカーにとって大切なアフターサービスは数多くありますが、中でも一般ユーザーの関心が最も高いのが車検です。
まずは、日本でアバルトの正規輸入元である、FCAジャパンの車検やアフターサーサービスへの考え方、取り組みを見ていきましょう。
アバルト車に特化したエキスパートが整備
割高だと知りながら、アバルトディーラーに車検をお願いする理由。
それは、アバルト車と毎日向き合っている整備士が居るという絶対的なアドバンテージに他なりません。
自動車整備士は、整備士学校を卒業するか、たたき上げて育成を行うかした後、国家試験をクリアすれば国家資格整備士になることができます。
しかし問題は学校を卒業し、整備士資格を取ったあとです。
資格を持っているのは運転免許を持っているのと同じように、持っていて当り前のことでしかなく、真の価値を持つのはディーラーや一般の整備工場に就職し、実際に使用されているお客様の車に触れてからになります。
そして毎日どころか、毎分毎秒に蓄積されていく経験が整備士の糧となっていき、整備士の価値を定めていくのです。
アバルトディーラーに勤務する整備士は、毎日アバルト車に触れているため、どの工場の整備士よりも、アバルト車に特化した知識と技術を身に付けています。
また、整備の知識や技術力の向上を目指す定期的な研修と、それを確認するための独自の資格制度や、サービス力と技術力の向上のため、全国正規ディーラーのサービスマンを対象に「サービススタッフコンテスト」を開催しているのです。
そのため、ちょっとした愛車の心配事から点検・整備に至るまで、安心してなんでも相談できるようになっています。
専用診断機と専用工具を完備
アバルト車には、電子制御式システムや電装系統の情報など、クルマ自体の状態を知ることができる自己診断システムと、さらにその情報を外部の専用診断機へ伝えるための自己診断コネクターを備えています。
現代の自動車はいわば走る最新コンピューターで、エンジン、ミッションはもちろん、エアバックやABSなどの安全装置、さらにはエアコンナビなどの快適装備にまで及ぶほどです。
そして、それぞれのコンピューターは相互通信を行い、常に互いにデータのやり取りを行いながら自動車を制御し、運転者の操作に応えています。
そのため、一度どこかの電子デバイスに不具合が生じてしまうと、あらゆる機構に影響を及ぼし、さらに故障原因が非常に特定し辛くなってしまうのです。
アバルト正規ディーラーに常備されている専用診断機(wi TECH Plus)ならば、例えば一時的な異常で表示灯や警告灯が点灯しすぐに消えた場合でも、異常が起きた状況を記憶。
後日、専用診断機に接続することで発生当時の状況を知ることができ、的確かつ迅速な診断と整備を行うことができます。
そしてアバルト正規ディーラーには、アバルト車またはそのモデル専用の工具も完備していますので、作業効率が高く、迅速で確実な車検や整備を受けることができるのです。
常に最新情報を維持
今の世の中は多くの情報が常に溢れ出し、世の中の様々な物が進化しています。
それは自動車も同じで、常に世界中のアバルト車のトラブルをはじめとした様々な情報が集められ、その情報を元に制御プログラムの更新や、各部品の改良が常に行われているのです。
アバルト正規ディーラーにはイタリアからの最新情報がいち早く届き、より性能の高い新製品がイタリアで承認されると、日本のすべてのアバルト正規ディーラーに通達されていきます。
次の交換時期を迎えた時には改良品を充当することが可能になるなど、常に最新情報と最適な方法による点検整備を受けることができるのです。
メーカー推奨点検
車検は通してしまえば終わりではなく、車検終了後の安全にまで気を配ってこそ、正規ディーラーの提供する車検です。
さらに、アバルト正規ディーラーでの車検は車検に合格するだけでなく、経験豊富な専任テクニシャンによる車検整備(24か月点検)を実施しています。
しかも車検検査項目に加え、アバルトが定めたメーカー推奨点検個所も点検整備するため、安心度が高いのはもちろん、アバルト車本来のパフォーマンスを維持するためには欠かせない点検が受けられるのです。
安心のサポート

引用:http://www.abarth.jp/
新車登録から3年100,000kmまではメーカーの基本保証が付帯されるため安心ですが、その保証をきちんと機能させるためには、正規ディーラーでの点検が必須条件になります。
また、これから3年目の初車検という方は、その初車検を正規ディーラーで受けることにより、車検点検時に発見されるかもしれない不具合や不良箇所の修理を、メーカー保証として扱ってもらえるかもしれません。
さらに、追加の保証料を支払えば、メーカーの基本保証を1~2年延長することができる「EXTENDED WARRANTY」があります。
これに加入しておけば「輸入車は故障が多いと聞くのでちょっと心配」という方も安心して、長くアバルト車に乗ることが可能です。
そしてもう一つ、アバルト正規ディーラーで車検を受けると、FCAプレミアム プラスが付帯されます。
これは、落書きやいたずらによるボディへの損害、飛び石等の飛来物によるフロントガラス・リアガラスへの損害、タイヤがパンクした際の損害を、次回車検満了日までの2年間、計2回無償提供するサービスで、防ぎきることのできない、まさかの損害に安心です。
万全の備えをしておくのであれば、加入しておいて損のないサービスとなっています。
アバルトディーラー車検基本料金

引用:http://www.abarth.jp/
ここからは気になるアバルトディーラーの車検費用について、国産車(ディーラー)との違いを比較しながら見ていきましょう。
比較対象とするのは、アバルト595、トヨタヴィッツ、マツダデミオ、それぞれ正規ディーラーでの法定費用、追加整備費用を除いた車検基本料金のみを抽出してみました。
トヨタディーラー車検基本料金(ヴィッツ)
24ヶ月定期点検料・・・¥ 19,656
継続検査料・・・¥9,720
手続き代行料・・・¥9,504
合計・・・\38,880
マツダディーラー車検基本料金(デミオ)
24ヶ月点検基本料金・・・\18,380
保安基準検査料・・・¥9,180
車検申請代行料・・・¥8,640
合計・・・\36,200
アバルトディーラー車検基本料金(595)
車検基本工賃・・・\57,240
保安確認検査料・・・¥11,880
検査代行手数料・・・¥10,800
合計・・・\79,920
車両サイズや排気量などを考慮して比較してみましたが、想像以上の金額差となりました。
アバルトとはどういうメーカーかという詳しい内容は後述しますが、簡単に言うとフィアット500をチューニングした車両です。
そのため装備やエンジンなど多くのチューニングが施されており、多少の手間や、プレミアム感が付加されています。
車検総額は上記の店頭表示価格だけで済む?(答えはNo!)
※尚、上記の金額に加えて、必ず支払わなければならない法定費用(自賠責保険2年分、3万3千円程度、自動車重量税2年分、約20,000円~、印紙代等…通常は合計6~7万円前後)がプラスされることを忘れないでください。
※また、上記金額は劣化パーツ交換、消耗品交換などを全く行わなかった場合の金額ですので、実際の車検時にパーツ交換や消耗品交換があった際は、更にその分のパーツ代、消耗品代、工賃が上乗せされていきます(特に輸入車の場合、故障がなくとも、5万~10万円前後の交換費用は見込んでおくべきでしょう)。

なぜ、アバルトディーラーの車検はやたら高いのか?

By: Autoviva
先にふれたように、アバルトはフィアット車をチューニングした車両を取り扱っており、ベンツでいうところのAMGやブラバス、BMWでいうところのアルピナ等に相当します。
従って、もともとのベース車の内燃機関、エクステリア、インテリア全てにおいて、さらにハイエンドにした車両ですから、プレミアムが付くというですが、そのプレミアムの実体とはなんなのでしょうか?
チューニング用純正パーツと純正消耗品が高い
そもそも、アバルトを含む輸入ディーラー車検では、メーカー指定の純正品パーツや消耗品が整備に使用されます。これら純正品は、メーカー本国で生産後に輸入しているものが多く、輸入に当たっては輸送費、税金、人件費その他がかさむため、当然、国内産部品やサードパーティーパーツに比べると、格段と高額です。

引用:http://www.abarth.jp/
ただでさえ高い純正品のパーツや消耗品ですが、チューニングカーであるアバルトはそれぞれのパーツがさらにそれら純正品の中でもハイスペックなものが選りすぐられているため、2重で高額になってしまう運命です。

引用:http://www.abarth.jp/
パーツが高ければ、取り扱いに別途技術を必要とするために工賃も高くなるわけで、結果的に、車検代金に思い切り跳ね返ってきます。
ハイエンド輸入車オーナー独特の「ケチに思われたくない心理」
アバルトのようなハイエンド車両を保有するユーザーは、一般的な国産車ユーザーとは全く考え方が異なっており、車検程度でケチケチするようなユーザーだとして周囲やディーラー担当者に煙たがられることを好みません。
下世話な言い方をすれば、見栄っ張りな方が多いです。
従って、こういう輸入車オーナーの心理をディーラー側も120%理解していますから、「車検では部品交換もしっかりとしておきますね(当然、Noはないですよね)」というスタンスで望まれてしまいますし、ユーザーも「すべてお任せします」と見栄を張りがちです。
結果的に、すぐに交換が不要なパーツや消耗品がディーラーのさじ加減で車検整備細目に加えられることとなり、車検総額が車体価格の10分の1といわれる値段にまで、平気で釣り上げる結果となるのです。
こういった、車検時にディーラー担当者との間で毎回起こる 「微妙な心理戦」が嫌で、車検前にはスパッと車両を売り払って、あっさり別の車を買う人がアバルトをはじめとする輸入車オーナーには大勢いる ことも、よく知っておくべきでしょう。
アバルトの車検代金を安くする方法
アバルトディーラーでの車検は高額な料金と引き換えに、安心感と技術力の高い車検整備を受けることができますが、すべての人が高額な車検を求めているわけではありません。
あなたを始め、できるだけ安く車検代は押さえたいとの本音を持っている方は、珍しい話ではありません。そこで、アバルトの車検代金を安くする具体的方法をお教えします。
1.ディーラー車検を頼む際は、全てをディーラー担当者に一任することなく、パーツ交換や消耗品交換の細目を自分でチェックする。
車検代金を落としてディーラー車検受けるには、「ケチ臭く思われたくない」といったような些少な考えは全て取っ払って、徹底的に車検整備細目について必要、不必要を自分で判断し、はっきりと自分の意志をディーラーに伝えてください。
ディーラー担当者に「すべてお任せします」は絶対に厳禁です。
ブランドマジックに惑わされることなく、エンジンオイルからブレーキオイルの交換有無、万が一パーツ交換が必要な場合は、純正でなくリビルド品やサードメーカーパーツの持ち込みが可能かどうかまでを、しっかりと確認することにより、車検代金をしっかり押さえることができます。
2.車検専門店に相見積もりを出す
ディーラー車検オンリーと考えがちな輸入車オーナーですが、車検専門店からも同時に相見積もりを取っておくべきです。
一昔前は、輸入車に対応できる車検専門店は少数派だったのが実際ですが、近年では多くの車検専門店で、何の問題もなく輸入車の車検受付をしてくれるようになりました。
もちろん、ディーラー車検と違って、車検基本価格も抑えめなうえ、不必要なパーツ交換や消耗品交換も控えてくれますし、はっきりと「不要です」と断りやすい空気を持っています(他の顧客も、みな車検代金を抑えたい人ばかりですので、顧客側がはっきり格安志向意志を伝えることに対しても、店舗側が慣れているので安心です)。
3.買取り価格がまだ高いうちに車両を売却して、高額な車検を避ける。
ご存じのとおり、継続車検タイミングは車両を高く売るためのタイミングでもあります。
ならば、もしも現在のアバルト車両を長く長く維持するつもりがないようならば、車がまだ高く売れるうちに高額で売り抜け、車検費用を回避することでコスト削減をしながら、次の新しい車を購入する資金源とする方法が挙げられます。
勿論、アバルト車両を高額で査定売却する場合は、一括査定サイトなどを利用して複数の買取店から同時に見積もりを取りつつ、最も高額な査定額を出す業者に売却をすることを忘れないでほしいところです。
尚、当方調査でアバルト高額買取が出やすい査定サイトは下記となっています。
高額査定1位:Goo買取
高額査定2位:かんたん車査定ガイド
高額査定3位:ズバット車買い取り比較
アバルトとはどんな車メーカーなのか?

引用:http://www.abarth.jp/
ここからはアバルトがどんなメーカーなのかについて、紹介していきます。
レーサーからメーカーに、そしてレース屋に
創業者のカール アバルト(後のカルロ アバルト)は、最初はバイクのレーシングライダーとして活躍したのち、イタリアに移住します。
その後チシタリアというコンストラクターの技術・モータースポーツ責任者を経て「Abarth & C.」を設立しました。
1950年代にはフィアット車を対象にしたチューニングキットの大ヒットや、数々のレースにおいて輝かしい成績を収め、一躍世界中から注目を集める自動車メーカーへと成長していったのです。
1971年フィアット社に買収されモータースポーツ部門を受け持ち、紆余曲折がありながらも数々の名門チームや車両を手掛け、レース界になくてはならない存在となりました。
日本での歴史
日本でアバルトが正式に導入されたのは2009年と意外と遅く、それもあってか、一部の車好きにのみ認識されている、知る人ぞ知る老舗メーカーとなっています。
日本ではベース車両であるフィアット500は早くから人気に火がつき、かわいい見た目とキビキビした小気味いい走りが注目されていました。
しかし、一度アバルトが手掛けた500は、ノーマルのフィアット500よりも51馬力もパワーアップ(595は75馬力UP、695ではなんと105馬力UP)され、専用の足回りなど多くの部品が変更されています。
これにより第一級の走りの資質を備え、速さと共に、美しいデザインを兼ね備える魅惑の「アバルト・マジック」に触れることができるようになったのです。
まとめ – 継続車検は高額を覚悟するのがチューニングメーカー、アバルトオーナーの宿命。

引用:http://www.abarth.jp/
上記で紹介したように、アバルトはイタリアのメーカーで、かつフィアットのチューニングを行っているため車両の金額と車検の金額が膨大になっています。
つまり、あまりアバルトについて詳しくない方からすれば信じられない車検の金額かもしれませんが、知っている人にとっては適正な金額なのです。
しかも車そのものがかなり特殊であるため、やはりアバルト車の性能をフルに発揮するには正規ディーラーでの整備は欠かせません。
今後もアバルト車に乗り続けていくつもりなのであれば、ディーラーでの車検を受けることを前提に検討してみてはいかがでしょうか?