車を持つ人であれば、避けては通れない車検。
どうせなら少しでも安く終わらせたい、納得した車検を受けたいと、誰しもが思うことでしょう。
そのために最も重要になってくるのは、良い業者に依頼することです。良い業者を見極めるためには、いくつかポイントがあります。
中でも比較的判断しやすいポイントになるのが、「見積書」です。
今回は、お財布に優しい、納得した車検を受けるために欠かせない業者選びにおける、見積書での判断のポイントや注意点などを紹介していきます。
良い業者を見極める見積書の見方
広告はあくまで広告
新聞の折り込み広告やインターネットには、「格安車検」や「地域最安値」などという魅力的で、いかにも車検を安く受けられるような印象のキャッチコピーをよく見かけます。
そして、いざ安さに期待して車検に出してみたら、想像していた金額よりかなり高額になってしまった、なんてケースも少なくありません。
もちろん、広告やインターネットでは、お客さんを呼び込むためのツールである以上、目を引く金額を提示する必要があることは間違いではないです。
何より、車の状況によっては、広告の金額とほぼ変わらない金額で車検を終えることだって可能ですので、ウソではありません。
しかし、どんなに距離の走っていない車であったとしても、ものである以上は必ず劣化します。
例えば、エンジンオイルは距離ではなく1年以上たっていれば酸化し、確実に性能は劣化しているため交換することが推奨されますし、タイヤは溝があっても経年劣化によるヒビ割れが酷ければ交換が必要です。
そのため、提示される見積書をしっかりと理解することが重要になってきます。
見積書の重要性
実際の車検において、広告のような金額で終えることは、なかなか難しいのが現状と言わざるを得ません。
そこで、安く納得した車検を行うために重要になってくるのが、見積書です。
ユーザーが業者(ユーザー代行を除く)に車検を依頼した場合、整備事業者は必ずユーザーに対して見積書の提示と、説明が義務付けされています。
そして、通常はその見積書をもとに相談をし、実際の整備内容を決めていくことになるわけです。
見積書に書かれている内容は下記になります。
- 法定費用
- 業者に支払う基本料
- 保安基準不適合箇所や依頼した整備
- 予防整備などが含まれている追加整備費用
つまり、広告やインターネットで見た金額と比較して、実際にはいくらかかるのかがこの時点でハッキリします。
従って、ここで提示される見積書は、その車検が満足して安心できる結果になるかどうかの、最も重要なポイントと言っても過言ではありません。
見積書の見かたや注意点
業者から提示される見積書がいかに重要かわかったものの、見積書の中には専門用語が数多く書かれているため、一般の方にとっては少々わかりにくいです。
よって、ここからは見積書の見かたと注意点を具体的に解説していきましょう。
見積書の見かた
車検の見積書は業者ごとに様々な様式があり、縦型のものや横型のものなど様々です。
そのため、一見すると非常に分かりづらそうですが、実はどんな書き方や様式であっても、ある程度の決まりのようなものがあり、同じように書かれています。
顧客・車両情報
大抵の場合、見積書の最上段に書かれているのがコレです。
顧客の氏名・住所・電話番号、車体番号や登録番号(ナンバー)・初年度登録・車両型式・走行距離などが記載されています。
見積書は、人間で言えばカルテのような役目もあるものです。
顧客と車両に間違いがあってはならないため、多くの情報が記載されています。
作業名・数量・部品名および交換工賃
見積書のメインとなる部分です。
大抵は左側に作業内容や交換部品の名称、その右隣りには数量(工数)、一番右側には作業にかかる工賃が記載されています。
車検以外の整備見積でも同じような書式で書かれる部分で、見積書の中でもっとも大きなスペースがとられている部分です。
諸費用
メインの見積項目に該当しない項目が記載され、車検では一般的に、重量税・自賠責・印紙代の法定費用と、車検手続き代行手数料などが記載されていることがほどんどです。
場所は下記の小計欄と隣り合わせに、用紙の最下部に書かれていることが多い項目になります。
小計欄
見積書の下部に書かれていることが多く、全ての部品代、全ての工賃、全ての諸費用を項目ごとに合計した小計が記載されています。
なお、外税表記の見積書の場合は、ここに消費税が記載されます。
見積総額
他の文字に比べて太字で書かれていたり、大きく書かれていたりと一番目立つように記載されています。
そのため記載される場所が違ったとしても、どこに書いてあるかわからないと言ったようなことはないでしょう。
それぐらい重要な項目になります。
見積書の注意点
書き方が業者ごとに違うように、書かれる名称にも違いがあります。
見積書は基本的には大きく分けて3つに分類することができますので、各項目について詳しく解説していきましょう。
業者に支払う基本料
大抵はメインとなる場所の最上段に書かれていることが多く、24か月点検料や保安確認手数料(完成検査料)、下廻り洗浄など、各業者が独自に定めた項目で、金額は工賃欄に書かれています。
保安基準不適合箇所や依頼した整備と予防整備
一番項目数が多くわかり辛いかもしれませんが、大抵は一定の法則を持って書かれています。
まず上段に記載されるのが、車検を通すために行わなければならない、いわゆる不適合項目です。
次に書かれることが多いのは、車検と一緒に依頼した項目、そして、工場からの推奨項目と言った順番で書かれています。
法定費用や代行手数料の諸費用
この欄でポイントとなるのが、法定費用と書かれているか諸費用と書かれているかです。
法定費用とは、重量税・自賠責・印紙代の3点のみとなりますので、車検代行手数料や代車代などがこの欄に記入されている場合は、「諸費用」と書かれています。

見積書から見る、良い業者の見分け方
一見すると見るのも嫌になってしまいがちな見積書ですが、上記のように要点を抑えてしまえば、若干ですが分かりやすくなると思います。
そして見積書の見方がわかってきたら、次は見積書をもとにした、良い業者・悪い業者を見分けるポイントについて見ていきましょう。
良い業者の見積もり
良い業者の見積もりには、以下のような特徴があります。
見積書が見やすいか
金額には直結しないと思われるかもしれませんが、必須項目と推奨項目、依頼項目などをただランダムに羅列せず項目で分けてあるか、適度な行間を取り、見やすくなっているかは重要な判断基準です。
何故なら読み手に対する配慮のない見積書を見せられたら、読む側からすればこんなに苦痛なことはありません。
きちんと納得した車検を受けるのであれば、まずは見積書が見やすいか否かが最初のチェックポイントとなります。
適度な文字数
具体的な数字はともかく、あまりに詳しく書きすぎてしまって文章が長くなってしまっていては、やはり見る気がなくなってしまいます。
内容が不足していて、口頭で補足しなければいけない内容があまりに多いようでは、一般の方にきちんと伝えるのは難しいです。
そのため、簡潔で、要点を捉えている文章が書いてある見積書を出してくる業者は、読み手に優しい良い業者と言えます。
悪い業者の見積もり
悪い業者の見積もりには、以下のような特徴があります。
項目が入り混じっている
ごく稀に、必須項目と依頼項目、推奨項目がバラバラに入り混じっているような見積を目にすることがあります。
もし、こうした見積を出してくる業者に出くわしてしまったら、依頼を出すのはやめましょう。
書いてある内容が同じでも、きちんと伝わらなければ、見積書ではなくただのメモです。
必要項目の抜けが多い
特に初めて見積だけを依頼された場合にありがちですが、顧客情報と車両情報がほとんど記入されていないことがあります。
正直なところ、無料でかつ短時間で見積書を作成しなければならない場合や、車検を受けてもらえるかわからない初めてのお客様に、個人情報をすべて伺うことは難しいと言えます。
しかし、名前とナンバーや車体番号など、誰のどの車かを特定できる最低限の情報がなければ、見積書の体を成していないと言わざるを得ません。
こうした基本的なことができない業者では、車検に預けること事態に不安が残りますので、避けたほうが無難です。
まとめ – 見積り書から業者の誠実さを図ることができる
これまで見積書の見方を通して、良い業者を選ぶ方法を紹介してきましたが、最後に強くオススメしたいのが、複数業者に見積りを取るという方法です。
最終的に満足のいく車検を行うためには、良い業者に出すことが肝要ですが、良い業者は自分たちのサービスや価格をユーザーにしっかりと理解してもらうため、きちんとした見やすい見積書を提示してくれます。
それすらできない業者に依頼すれば、依頼した後の作業の質や安心感が大きく違ってくるばかりか、作業に入った後で、アレやコレやと追加整備が発生し、想像していた金額よりも遥かに高くなってしまうなんてことになりかねません。
そのため相見積を取る際には、提示された総額だけではなく、分かりやすく見やすい、丁寧な見積書を提示してくる業者を強くオススメします。
