自動車を所有していれば、必ず避けては通ることができないもの。それが車検です。
国が定めた安全基準、正確には保安基準に適合しているかを一定の期間を設けて確認することであり、自動車を使用する上で最低限の安全を確認すること。
必要であることは誰しもが認識していることですが、その出費は決して無視できません。
また、手間がかかるというのもユーザーにとっては手痛い要因になります。
しかし、いつも訪れているガソリンスタンドで車検を行えば、高額な費用はもちろん、手間を省くことが可能です。
今回はそんなガソリンスタンドの中で大手として有名な、出光で行われている車検の内容や、特徴などを紹介していきます。
出光の会社概要

出光興産ウェブサイトより
出光は、出光興産株式会社が運営する日本を代表するガソリンスタンドブランドで、2016年現在まで合併や再編などが行われてきた石油産業の中において、創業当時から変わっていない老舗企業でもあります。
日本国内におけるシェアも、ENEOSを運営するJXエネルギー株式会社についで2位となり、その差は大きいものの、その長い歴史から、「ガソリンスタンドと言えば出光」という印象を持っている方も少なくありません。
元売企業情報
名称 出光興産株式会社
所在地 東京都千代田区
ガソリンスタンド数 3,725店舗(2015年時点)
出光リテール車検
通常、街中にあるガソリンスタンドは、元売り各社が子会社を通じて運営している「直営店」と、地元の有力企業などが元売り会社と契約を結び運営している「特約店」があります。
まず、ここからはいわゆる「直営店」として、出光リテール販売株式会社が運営しているガソリンスタンドで行われている車検の特徴を紹介していきます。
ムダな整備をしないから車検が安い
車検にかかる費用の総額は法定費用と、車検整備費用(法定点検料含む)の合計です。
店頭のポスターや新聞の折り込みチラシに書かれている値段に飛びついて車検をお願いしてはみたものの、思っていたほど安くなく残念な思いをされた方も少なくないでしょう。
例えば、エンジンオイルが漏れている、タイヤの溝がほとんどない(1.6mm以下)など、根本的に保安基準に満たない項目は致し方ありませんが、まだ使える部品まで交換されてしまっていた場合は、無駄に費用が掛かったと感じるかもしれません。
そこで出光リテール車検では事前車検を行い、車検を通すために必要な整備箇所と、2年間安心して乗るために整備をした方が良い箇所をしっかり区別して説明をしてくれるため、予算に合わせて整備箇所を相談できるほか、無駄で過剰な整備を回避できます。
また事前点検であらかじめ金額がわかるため、車検終了後に愕然とする心配もありません。
車検時は工賃が安い
車検の総額を安く抑えるポイントとして、作業工賃があります。
例え事前点検をし、予算に合わせて整備箇所を相談できるとはいえ、保安基準に適合しない箇所については整備せざるを得ません。
また、車検は通るものの、今後を考えて整備しておきたい箇所や、ずっと気になっていた不良箇所を車検のついでに直したくとも、金額が高ければ諦めなくてはなりません。
出光リテール車検では、「作業工賃」と「部品代」を抑えることで、総額が安くなるようにしています。
作業工賃とは、1時間あたりの工賃を設定し、その作業で決められている時間を乗じて算出されるものです。
1時間あたりの工賃は一般的な国産車ディーラーが約9,000円であるのに対し、出光リテール販売では約6,000円となっているため、1時間かかる作業では3,000円、2時間の作業なら6,000円、5時間かかるような大作業ともなると15,000円もの差が生まれます。
また、交換に要する部品にも違いがあり、ディーラーでは新品部品を使用することが多いのですが、出光リテール車検では、希望があれば部品によっては中古品やリビルト品などを使用し部品代を抑えることも可能です。
カーディーラー同等の設備
車検を最終的に終了させるためには、完成検査といわれる検査を受けなくてはなりません。
完成検査とは、ヘッドライトの向きや光量、ブレーキの利き、排気ガス濃度など多岐にわたる項目を、専用の機器を使用し検査し、この一連の設備を「完成検査場」や「検査ライン」と呼ばれているものです。
指定工場と呼ばれている整備工場は、完成検査場を有し国の基準をパスした工場にのみ与えられる資格であり、出光リテール車検は全国に多くの指定工場を保有し、自社工場で検査を行なっています。
そのため、現在、出光リテール車検はガソリンスタンドという既存の設備を活かし、全国で年間5万台の車検を実施するまでになり、本格的な車検専門店にも引けを取らない規模となっているのです。
指定工場を持つメリット
指定工場ではない認証工場の場合、点検と整備作業終了後に陸運局の検査ラインまで車を持ち込み、最終的に車検を通すという流れでます。
しかし、そうなると陸運局に車を持っていく時間と人件費がかかってしまいます。
その点、自社で指定工場を持っていればその分の人件費や時間をかけず車検を行うことができ、さらに車検を行う整備士がその場にいるため、ユーザーが整備箇所を一緒に確認し、説明を受けることができるのです。
車に触れるのは国家資格整備士のみ
あまり知られていないかも知れませんが、出光グループには出光スタッフを対象にしたトレーニングセンターが全国に10か所、存在します。
技術や知識研修を効率的に重ねることで、早ければ入社2年目で国家整備士の資格が取得できるほどのプログラムを組んでいて、その結果、すべての車検受付店に国家資格整備士を常駐させることができ、そのうち10人に3人は検査員の資格を保有しているとのことです。
出光リテール車検は車検を通したら終わりではなく、何かあったときに気軽に相談でき、安心して乗り続けられるよう、末長くサポートしてもらえる体制が整っています。
出光車検の車検基本料金

引用:http://idemitsu-rh.shaken-spider.com/course.html
出光車検は一般的なディーラーと比較してどの程度金額差があるのか、また、直営の出光スタンドと、特約店の出光スタンドなど、具体例をもとに見ていきましょう。
※例:小型自動車(~1.0t未満、ヴィッツやフィットなど)、での比較です。
国産ディーラーA 車検基本料金
24ヶ月点検基本料金・・・¥17,280
継続検査料・・・¥10,800
手続き代行料・・・¥9,720
合計・・・\37,800
国産ディーラーB 車検基本料金
24ヶ月点検整備・・・¥30,240
保安確認検査料・・・¥6,480
検査代行手数料・・・¥2,160
合計・・・\38,880
出光 C店(直営店) 車検基本料金
車検基本料・・・¥25,800
合計・・・¥25,800(割引特典最大適用時\9,800)
出光 D店(特約店) 車検基本料金(指定工場)
車検基本料・・・¥28,260
合計・・・¥28,260(割引特典最大適用時\16,260)
出光 E店(特約店) 車検基本料金(認証工場)
車検基本料・・・¥26,460
合計・・・¥28,260(割引特典最大適用時\19,980)
国産車ディーラーそれぞれと比較すると、どの出光でもかなり安く車検が受けられることが分かります。
上記の直営C店は、すなわち出光リテール販売のガソリンスタンドなのですが、最も安い結果となりました。
ただし上記の特徴でも書いている内容なのですが、実はすべての出光リテール販売のガソリンスタンドが、必ず指定工場を持っているまたは利用しているわけではないのです。
もちろん認証工場が技術的に劣るということは全くないため、認証工場だからと言って心配する必要はありません。
強いて違いが出るとすれば、やはり「時間」です。直営店舗に限らず、認証工場ではどうしても時間がかかってしまう傾向にあるのは致し方ありません。
まとめ – 出光スタンドの常連なら1度試してみたい

引用:http://media.kddi.com/
車検と少し話がズレてしまいますが、環境保護や低燃費車、電気自動車などの登場により、近年ガソリン需要の低下によりガソリンスタンドの数は、年を追うごとに減少しているのが現状です。
そんな中、各ガソリンスタンドや石油元売り企業は、ただでさえ利益率の少ないガソリンの増販を追い求めるのではなく、油外収益と呼ばれる、ガソリン、軽油、灯油以外の商品を拡充し、増販するような取り組みを行っています。
少し値の張る洗車コーティングメニューのノボリやチラシを良く目にするようになったのも、油外収益を伸ばす目的なのです。
そして車検もガソリンスタンドにとっては大事な油外商品の一つと考えられているため、各企業とも、それまでのあまり良くないイメージを払拭し、車検の増販に力を入れています。
車検をもっと手軽に安く済ませたいユーザーと、車検台数を増やしたいガソリンスタンドの関係は、ある意味お互いにとても有益な関係と言えるのではないでしょうか。
しかし、ガソリンスタンドの整備技術に不安を持っているという方もまだまだ多くいらっしゃいますし、ディーラーや車検専門店、民間車検場と比べ、まだまだ未熟と言わざるを得ないガソリンスタンドが存在するのも事実です。
特に整備技術は、一般の方が見て見極めるということは、ほぼ不可能だと思います。
そのため見極めるには、いつも行っているガソリンスタンドの常連になることが不可欠です。
ガソリンスタンドのスタッフに、どんな些細なことでも相談し、時間がある時は無駄話をするなどすることで見えてくるものは必ずあります。
そのスタッフやガソリンスタンドが車検などで、お客様の車を預かることをどの程度、重要に捉えているのかが見えて初めて、安心して車検をお願いできるのです。
もしも身近にある行きつけがあるのであれば、今度は車検の行きつけになるかどうかを見極めてみてはいかがでしょうか?