自動車を所有していれば、必ず避けては通ることができないもの。それが車検です。
国が定めた安全基準、正確には保安基準に適合しているかを一定の期間を設けて確認することであり、自動車を使用する上で最低限の安全を確認すること。
必要であることは誰しもが認識していることですが、その出費は決して無視できません。
かと言って、費用が抑えられるユーザー車検では不安が残ります。
こうした問題を前にした時に、多くの人が委託先の候補として考えるのが「車検専門店」ではないでしょうか。
ここでは代表的な車検専門店である「チャレンジ車検」の特徴などをご紹介していきたいと思います。


チャレンジ車検とは

チャレンジ車検 島根店(引用:http://challenge-sanin.com/)
「チャレンジ車検」は、平成6年に大阪で発祥した老舗、関西を中心に加盟店舗を増やしてきたボランタリーチェーンです。
しかし近年では日本全国に支部と加盟店があるため、関西地域を問わず、車検の委託先として候補に入れてもよい車検専門チェーンとなりました。
ここではそんなチャレンジ車検の特徴について、紹介していきましょう。
運営企業情報
グループ名 チャレンジ・グループ
所在地 大阪府大阪市
店舗数 119店舗(2016年時点)
グループ運営方式 ボランタリーチェーン
ニーズに合わせた車検メニュー
100人の人がいれば100通りの価値観や要望があり、100台の自動車があれば程度や不具合箇所も100通りになります。
そのためチャレンジ車検の大きな特徴として挙げられるのが、ニーズにあわせて特徴を持った、5つの車検メニューが用意されていることです。
チャレンジ車検
チャレンジ車検とは社名と同じ名前の車検メニューであり、「究極の1時間車検システム」と打ち出していることからもわかる通り、チャレンジ車検のメインメニューであり、一番人気の車検メニューです。
内容は無料見積り、立会い車検、整備保証付きと、もっともオーソドックスなメニューと言えます。
もちろん車検を通すために必要な交換部品以外の交換は、ユーザーの了承を得てからの作業となるため、過剰な修理費がかかる心配もありません。
また、担当の国家整備士から交換しなかった部品やその他のアドバイスを受けることができるため、車検は安いほうが良いけれど、何も整備をしないのは心配と思われる方には、バランスがとれたおすすめのメニューです。
C-up車検
C-up車検は、チャレンジ車検よりもさらに安く・早くを目的に作られた車検システムですが、無料見積りや整備保証もつくなど、ただ安い車検とは一線を画す車検メニューになります。
車検に必要な交換部品や、オススメ項目などは必ずユーザーの了承を得てから行われることは当然ですが、追加の整備箇所が特にない場合には、検査・事務手数料・基本車検料金を合わせたポッキリ価格になるので安心です。
走行距離の少ない比較的高年式の車にお乗りの方には、オススメのメニューになります。
ピッカ・ピカ車検
自動車のメンテナンスには車検以外にもお金がかかりますが、何より時間と手間がかかります。
そのため何かと面倒に感じることも少なくありませんが、そんなメンテナンスが車検と同時に、しかもお得に行うことができれば言うことはありません。
そんな願いを取り入れて用意されたのが、車検メニューがピッカ・ピカ車検です。
ウインドウの撥水コーティングやボディーコーティング、抗菌消臭などの車をきれいにできるメニューだけでなく、納車引き取り、エンジンオイルのボトルキープなど、あったらいいなという項目をユーザーの希望に応じてプラスでき、さらにチョイスした項目の数に応じて、車検金額の割引があるため大変お得なメニューになります。
パーフェクト車検
パーフェクト車検は、女性の方やあまり自動車に詳しくない方にオススメの車検メニューです。
特徴はパーフェクト車検終了から、次回車検までの2年間を保証してくれるだけでなく、万が一のときのロードサービスも付帯されています。
まさに、その名の通りパーフェクトなサポートを受けることができる内容で、6か月ごとの点検が義務付けられますが、プロの目でしっかり点検を行うことで、さらに安心です。
今では安い・速いだけが注目されがちな車検専門店ですが、安心して車に乗りたいというニーズも根強く、各加盟店工場として本来持っている自動車整備業としての技術や経験に裏打ちされたメニューになります。
初年度登録から10万Km未満であることや、車種および車両状態により加入できない場合がありますので、各加盟店工場への問い合わせは必要です。
チャレンジ・エコノミー車検
チャレンジ・エコノミー車検は、低価格・短時間を実現したメニューです。
代車不要、専用チェックシートの作成、同乗試運転カット、入庫日を指定、車検証の引き渡しは来店のみなど、メインのチャレンジ車検をさらに効率化しているためユーザーによる手間がありますが、都合に合う場合はお得な車検メニューになります。
ニューサービス車検の完全実施
チャレンジ車検をはじめ、車検専門店が登場するようになった背景には、平成6年の道路交通法の規制緩和が関係しています。
それまでは整備事業者の責任に重点をおいて点検整備が実施されていましたが、この規制緩和によって、ユーザーへ自動車の情報提供を行い、ユーザー自らが整備箇所の選択ができるように定めた指定整備として、ニューサービス車検が提唱されました。
チャレンジ車検では、このニューサービス車検を100%実施し、ユーザーの満足度を一番に考えたシステムを開発し、常に改善に取り組んでいるのです。
地域密着型整備工場
少し裏情報的な内容になりますが、既存の整備工場が新たにチャレンジ車検のグループに加入を希望する場合の取り決めとして、すでに近隣地域でチャレンジ車検が実施されている場合、新たな入会はできないことになっています。
コンビニエンスストアなどとは違い、車検で来店するユーザーは無数に存在するわけではありません。
そのため当然、近距離に同じブランドの車検専門店があるようでは、お客様の取り合いになってしまい、健全な工場経営が難しくなり、実際の車検や整備作業などにシワ寄せがいってしまうわけです。
そういったマイナス要因を回避し、地域に根差した整備工場の経営ができるような仕組みが決められているというのは、愛車を任せるユーザー側から見ても安心材料になります。
チャレンジ車検の車検基本料金
チャレンジ車検は一般的なディーラーと比較してどの程度金額差があるのか、具体例をもとに見ていきましょう。
※チャレンジ車検はメインメニューである「チャレンジ車検」の金額です。
※例:小型自動車(~1.0t未満、ヴィッツやフィットなど)で、同県内での比較です。
国産ディーラーA 車検基本料金
基本点検・・・¥13,371
検査費用・・・¥14,364
手続き代行費用・・・¥4,536
合計・・・¥32,271
国産ディーラーB 車検基本料金
24ヶ月点検整備・・・¥19,656
保安確認検査料・・・¥5,400
検査手続き料・・・¥16,200
合計・・・¥43,956
チャレンジ車検A店 車検基本料金
基本車検料金・・・¥8,316円
車検諸費用(印紙代1,100含む)・・・¥11,900
合計・・・¥20,216
チャレンジ車検B店 車検基本料金
車検基本料・・・¥8,085
車検諸費用(印紙代1,100含む)・・・¥11,600
合計・・・¥19,685
ディーラーに若干の金額差がありますが、3万数千円~4万数千円はディーラーの基本料金としてはよくある金額です。
チャレンジ車検のA店とB店では、ほとんど金額に差がないという結果になりました。
サンプルとして抽出したA店とB店以外の店舗も、ほとんど金額の違いはありません。
この結果は少し意外だと感じるのですが、チャレンジ車検は制約の多いフランチャイズチェーンではなく、自由度の高いボランタリーチェーンなので、もう少し各工場で差が出ても、何ら不思議ではないはずです。
そして、もう一つほかの車検専門チェーンと違う特徴は、ディーラー看板を掲げている整備工場が加盟している点になります。
以上2つの点からわかることは、ただ縛りが少ないというだけでなく、ボランタリーチェーン本来の特徴である横のつながりが強固であり、加盟企業同士がしっかりと理解し合い運営されていることがわかるわけです。

まとめ

引用:http://www.challenge.gr.jp/
私は関東生まれ関東育ち、国産ディーラー、車検工場、中古車販売会社もすべて関東でしたので、正直チャレンジ車検についてはほとんど知りませんでした。
しかし、チャレンジ車検について様々なことを調べていく過程で、強く感じたことがあります。
それは自動車整備工場を取り巻く現状に対する、一つの答えであるということです。
長年自動車業界に身を置き、日々お客様の車を触ってきましたが、今の時代は自動車整備工場を経営していくのはとても大変で、思うような収益が出せていません。
しかし、自動車の登録台数が減ることはなく、私たち自動車整備士はお客様の命と財産をお預かりしているという認識で仕事をしています。
つまり、「収益は上がらないけれども、仕事は完璧にこなす」という状況にあるのです。
そんな苦しい状態でも各企業が協力し、大量仕入れによるコストの削減や、知恵を出し合って新しいサービスを提供できていることは、命と財産を守らなければならない自動車整備工場にとって、とても良い形態なのかもしれません。
それこそが、チャレンジ車検が示した1つの答えの形なのだと思います。