BMW車に乗っている方で車検を受けようと考えている場合、まず依頼先の候補に上がるのは購入した店舗か、近所のBMWディーラーだと思います。
けれどディーラーの車検には、どうしても高くなるというイメージが否めません。
そのせいで、ディーラーでの車検を躊躇している方もいるのではないでしょうか?
しかし、ディーラーの車検が他の整備工場などと比べて高いのには、相応の理由というものがあります。
その点を理解すれば、きちんと納得して車検を通すことに繋がるというものです。
そこで今回は、BMW系列ディーラーでの車検の詳細と、実際の相場について紹介していきますので、ディーラーで車検を受ける方は参考にしてみてください。

BMWディーラーの車検への取り組み方
自動車メーカーにとって大切なアフターサービスは数多くありますが、中でも一般ユーザーの関心が最も高いのが車検です。
まずは自動車メーカーBMWとしての車検への考え方、取り組み方について見ていきましょう。
まずは、日本でBMWの正規輸入元である、BMW Japanの車検への考え方、取り組みを見ていきましょう。
BMW独自の点検項目
車検とはあくまでも、国が定めた最低限の安全及び環境基準に適合しているかを確認するだけであり、車検に合格したからといって必ずしも安心して乗り続けられるものではありません。
BMW正規ディーラーの整備工場では法定点検項目のほか、コンディション・ベースド・サービスの表示時には、BMW 独自の点検項目を実施し、車検を通すだけの整備ではなく、クルマの性能を再び取り戻すための整備をしてくれます。
BMW正規ディーラーだけが提供できるメンテナンス・サービス
昔からBMWと言えば、最新鋭の技術を多く取り入れていることで有名です。そのため現代のBMW車には多くの最新技術が採用され、高度な電子制御システムにより複数のコントロールユニットを駆使して制御されています。
これにより過去の細かな不具合なども確認や、人の目に見えない部分まで診断する必要がありますが、BMW車のために開発された専用診断機を使用することにより、迅速で正確な診断が行うことが可能です。
また、BMWではモデルごとや部位ごとに、専用のスペシャル・ツールを用いて整備します。BMW正規ディーラーには700種類ものBMW専用のスペシャル・ツールが用意されており、信頼のメンテナンス作業を実施してくれます。
BMWの車を熟知したサービススタッフ
BMW正規ディーラーに勤務する整備士には、世界共通の資格制度があります。神戸と千葉にあるBMW Japanのトレーニングセンターでは多くの研修が行われており、年に1回開催される筆記試験や実技試験をパスすることで上の資格へと進級していきます。
その最高峰の資格である「BMWマイスター」は、全国にいるBMW正規ディーラーの整備士のうち10%程度しかおらず、非常に難易度の高い試験が行われ、選定されているのです。
また、それぞれの資格ごとのコンテストなども多く開催され、BMW車の最新技術だけでなく、日々の整備業務に活かすための教育をしっかりと受けているので、安心して点検や整備をお願いすることができます。
安心のメーカー保証
新車購入から3年間は、無償のメーカー保証が付帯され安心ですが、3年を過ぎてしまうと、万が一の故障が起きた時の費用は、ユーザーの自己負担となります。
BMW系列ディーラーでは、「BMW新車延長保証プログラム」に加入することができ、最大で新車登録から5年間まで延長することが可能です。
また、BMW認定中古車を購入した場合には「BMWプレミアム・セレクション保証」があり、2年間の保証が付帯され、さらに「BMW新車延長保証プログラム」に加入することで保証期間を延長できます。
各BMW系列ディーラー車検基本料金
BMW系列ディーラーは、国産車ディーラーと大きく違います。
まずはBMWの代表的なディーラーの車検基本料金について触れていきましょう。
国産車との違い
一般的に輸入車の車検金額は、国産車と比べると1.5倍高いと言われています。
BMWなどの輸入車と国産車では単純な比較は難しいですが、大きさやエンジンの排気量などで同格の車種で比較してみましょう。
マークX車検基本料金(トヨペット店)
24か月定期点検料・・・¥21,960
継続検査料・・・¥9,720
検査代行手数料・・・¥9,720
合計・・・\41,400
335i車検基本料金(モトーレン店)
基本工賃・・・\37,066
総合検査料・・・¥10,800
車検代行費用・・・¥9,720
合計・・・¥57,586
同じ都道府県内で比較してみたところ、巷で言われる1.5倍ほどの金額差はないものの、約1.4倍の違いが出ました。
特に一番の違いは24か月点検に当たる部分です。その金額差は約16,000円の違いがあります。
レバレートの違い
では、何故このようにディーラーによって金額差が発生するかについて、解説していきます。まず基本的な考え方として、どんな整備工場でも標準作業時間に、1時間あたりの工賃を乗じた金額を、工賃や基本点検料に含んでいます。
今回のケースで見てみると、モトーレンの1時間あたりの工賃は14,256円、トヨペットでは1時間あたりの工賃は8,640円です。
そしてモトーレンでの基本点検料金は37,066円ですので、約2.6時間となります。トヨペットの工賃で2.6時間を乗じてみると、22,464円です。
少々わかり辛いかもしれませんが、要するに、「同じ作業時間の作業で計算して生じる金額差は、その工場が定めている1時間あたりの工賃の差」となります。
BMW系列ディーラーの特徴
国産車はトヨタ、日産などの自動車メーカーが開発や製造を行い、○○トヨタや○○日産などの各ディーラーが販売とアフターサービスを行っています。
しかしBMWなどの輸入車は、メーカーとディーラーの間にインポーターと呼ばれる輸入会社が介在しているため、国産車とは少々事情が異なります。
日本での販売構図
日本国内においての販売網は、BMWジャパンが正規輸入元(インポーター)となり、各BMW系列ディーラーが販売しています。BMW正規ディーラーには、輸入車には珍しくメーカー直系ディーラーと、各地域の地場系ディーラーがあります。
BMW株式会社とは
BMW株式会社、通称BMWジャパンは、ドイツBMW社が100%出資する完全子会社として1981年に設立され、日本国内への輸入や販売などを手がけています。
メルセデスベンツとの大きな違いとしては、「BMW東京」と「BMW大阪」という100%出資の直営ディーラーを子会社としていることです。
このBMWジャパンの成功によって、本国自動車メーカーが日本法人を設立して直接輸入・販売を独占・管理する手法が、他の外国自動車メーカーにも広まったとされています。
BMW地場系ディーラー
BMW東京やBMW大阪が設立される以前は、ヤナセなど複数の正規輸入代理店が輸入と販売を行っていました。
現在もBMW東京やBMW大阪以外のBMW系列ディーラーは、各地域の有力者や企業などが運営しており、国産車ディーラーや中古車販売などを運営している販社が多く存在しています。
まとめ

引用:http://www.bmw.co.jp/ja/topics/service-and-accessory/maintenance/check.html
BMW系列ディーラーに限らず、輸入車を扱う正規ディーラーは、国産車ディーラーに比べて車検の費用が高いです。
理由は先に述べたように工賃レバレートの違いや、部品代などが割高であることが挙げられますが、他にもう一つ大きな理由が存在します。
それは同じ自動車であっても、国産車と輸入車では全く違う視点で作られているということです。
簡潔に言うならば、国産車は使用する過程で消耗・劣化する部分を極力減らすような設計がされている反面、代償として車本来の運動性能が損なわれている傾向にあります。
しかし輸入車は逆です。ある程度の消耗と劣化は織り込み済みで、定期的な交換や修理をすることが前提で設計されています。
そのため維持費が国産車と比べて割高になってしまうわけですが、各メーカーの特徴やコンセプトが色濃く反映されることで車の運動性能が引き上げられ、結果的に所有することへの満足感が高くなるわけです。
輸入車の中でもBMWは日本国内ではメジャーですので、BMW系列ディーラー以外での車検も比較的受けやすい傾向にあり、BMW系列ディーラーより安く車検ができるかもしれません。
しかしBMW系列ディーラーの車検は使用環境に合わせ、BMW系列ディーラーの整備士としっかり相談することができます。
今後も長く乗り続けるために安心感と保証を考慮するならば、少し値段が張ったとしてもディーラーで車検を受けるのがオススメです。