車検を行う場合、ディーラー、車検専門店、整備工場、ガソリンスタンドなど、今では様々な場所で受けることができます。さらに、ひと昔前であれば車検と言えば最低2~3日、下手をすると1週間かかるなんてことが普通の時代もありました。
しかし最近は1日車検が当たり前となり、1時間以内で終わるというところも目にします。ですが過去にそこまで時間がかかっていたものが、そこまで急激に早くなることなどあり得るのでしょうか? 人によっては手を抜かれているのではないかと、出すこと自体に不安を覚える方も少なくないはずです。
そこで今回は、実際の車検にかかる時間はどうなっているのか、工場によってなぜ時間が違うのかについて紹介していきましょう。


車検に必要な時間の内訳
業者に委託して車検を行った場合、車検に必要な時間の内訳は大きく分けて3つのパートに分けて考えることができます。
・定期点検(24か月or12か月)
・その他の受付や見積案内および会計
上記の3つのパートを足した時間が、車検に必要な時間です。
完成検査にかかる時間
車検では陸運支局(軽自動車検査協会)の検査ラインを使用し、国が定めた最低限の安全基準に適合しているのかを確認することになりますが、指定工場では自社工場にある完成検査ラインを使い検査します。
陸運支局での検査でも指定工場の完成検査ラインでも、ここでかかる時間というのは、せいぜい10~15分程度です。
定期点検にかかる時間
この定期点検とは車検の本来の目的である検査とは違います。定期検査とは、車種ごとに国が定めた、期間ごとに点検をし、不良個所や、将来不具合や機能損失が起きると想定される箇所を発見することが目的の検査です。
指定工場や認証工場で車検を行う場合には、法定点検を必ず実施しなくてはなりません。車種により若干の違いはありますが、かかる時間は大体20~40分程度です。
その他にかかる時間
上記の完成検査と定期点検以外にかかる時間には以下のようなものが挙げられます。
・法定点検の結果に基づいた見積書の作成および案内
・完成検査後の書類作成(指定工場のみ)
・終了後の説明と会計
車の状態など様々な違いがあるため一概に何分とは言えませんが、大体トータルして15~20分ほどの時間が目安です。
依頼先による時間の違い
そろそろ車検を考えている場合、どこに依頼するかが悩ましいところです。新車で購入したディーラー、いつも行っているガソリンスタンド、ポストや新聞の折り込みにあった車検専門店など、いくつも候補があると迷ってしまいます。
そうなると欲しくなるのが、選定先の基準です。どこに依頼するかを考える上で、これは重要な指針になります。特に、店によって必要になる時間が変わってくるのなら尚更です。よってここからは、それぞれの依頼先でどの程度、時間が違ってくるのか紹介していきます。
ディーラー

写真引用:http://autoc-one.jp/
新車で車を購入したディーラーで車検もお願いする。ひと昔前は多くの方がそうしていた時代がありましたが、今では購入した店かどうかや、新車か中古車など関係なしに自宅近くのディーラーにお願いできるようディーラー側も間口を広げて車検を受けるようになりました。
ディーラーで車検と聞くと費用と時間がかかるイメージがありますが、実際に車検専門店などと比べると、時間と費用は多くかかる傾向にあります。
何故ディーラーで車検を依頼すると時間と費用が多くかかるのかというと、やはりそこにはメーカー名を掲げている矜持から、整備品質の確保や、車検後のアフターフォローをして手厚くしているからに他なりません。実際、車検を受けたあとに得られる安心感は随一です。
車検を受けたあとも安心して乗りたいというのが一番の要素であるなら、ディーラーで車検を受けることをオススメします。
中古車販売店

画像引用:http://nttbj.itp.ne.jp/0120194417/index.html
中古で自動車を購入して車検を受けようとした場合、購入した中古車販売店にお願いする方も少なくないと思います。販売店として考えれば新車ディーラーと大きな違いはありませんが、ここで重要になってくるのが、整備工場を併設しているかという点になります。
整備工場を自社で運営し、尚かつ併設しているような中古車販売店の場合は、新車ディーラーと同じチェック環境があると考えてよいでしょう。しかし併設していない場合や自社で整備工場を持っていない場合は、車検で預かったのち、車を工場に持ち込んで点検することになります。
そして点検後にユーザーへ点検結果を連絡し、内容決定後に作業と検査となる為、待ちで車検を受ける事はできませんし、場合によってはディーラーより時間がかかることもあるかもしれませんので整備工場が併設されているかどうか注意しましょう。
整備工場
ここでいう整備工場とは、どこの町にも必ずあるような、長年その街で営業し、あなたの街の自動車整備工場として存在するような整備工場のことです。こういった整備工場の車検にかかる時間は、ディーラーの次に時間がかかる傾向にあります。
理由としては、設備や機器の違いなどもありますが、最も大きな原因は今後のお付き合いを続けていくための手厚さです。その街で長年、店を営むためには、住民の皆さんからの信頼や親しみなどが必要不可欠になります。そのため、どうしても点検や見積後の案内などに時間がかかるのです。
特に時間を気にせず、今後も長きに渡って関係を続けていきたい整備工場があるのであれば、依頼してみるのもいいかもしれません。
ガソリンスタンド
普段ガソリンの給油や洗車など、車のことで最も多く来店する頻度が高いのが、ガソリンスタンドです。車検にかかる費用は比較的低めで、1日車検などを売りにしているところを多く見かます。
車検にかかる時間ですが、これは中古車販売店の時と同じです。認証工場や指定工場を併設しているガソリンスタンドでは早く終わり、整備工場を持っていない場合は時間がかかってしまいます。
しかしガソリンスタンドとは別に大きな整備工場を自社で運営していて、そこで車検を行っているところは別です。そういった場合、実際に預けるガソリンスタンドに整備工場を併設していなかったとしても、当日車検などに対応してくれますので、事前によく調査をしておく必要があります。
車検専門店
近年どの地域でも見かけることが多くなり、全国的にチェーン展開をしているのが車検専門店です。新聞の折り込みなどで目にする機会が増えてきましたが、「1日車検」や「最速○○分」などと広告をしているだけあり、費用は比較的安く、時間もかからない傾向にあります。
ただし、いくつか注意が必要です。実際の車検では法定点検を行い、その結果によっては部品の取り寄せや作業に数日かかることが十分考えられますので、一概に最速とは言えません。
また、故障内容によってはディーラーでしか作業ができない場合もあるため、そのような特異な不具合があった際にはディーラーで行うより時間がかかることがありますので覚えておいてください。
ユーザー車検代行
いわゆるユーザー代行と言われ、車検不適合箇所が全くなければ、一番安く、時間的には1日あれば終了することができます。しかし全く法定点検を行わないため、交換や修理が必要な項目の内容によっては、車検にかかる時間はもちろん、費用も大きく変わってきてしまいますのでオススメできません。ユーザー代行がダメと言うことではありませんが、読めない部分が多いのでやめておいたほうが無難です。
最速○○分車検のカラクリ
今では車検専門店のみではなく、ガソリンスタンド、ディーラーでも1日車検や1時間以外と謳っている工場も多くなってきました。ひと昔前まで数日から1週間かかることが当たり前であった車検が、なぜ今では1時間以内や1日などと短縮することができるようになったのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
実際に車検で必要な時間
冒頭で紹介したように、車検とは大きく分けて3つのセッションで構成され、その合計時間が車検に必要な時間となります。各セッションを仮に最短で行うと考えた場合、点検20分、検査10分、その他15分となるので、単純計算をすると45分になります。
つまり、何も不具合箇所や保安基準不適合箇所が無く、ユーザーへの案内や整備内容の決定に時間がかからない場合は、1時間以内で終了することが可能なのです。
もちろん不具合箇所や保安基準不適合箇所がある場合はこの限りではありませんので、気軽に依頼すると痛い目に遭う羽目になります。自分の乗っている車の年式や走行距離と相談した上で店を選ぶことが、一番大切なことになりますので覚えておいてください。
最短での車検は可能か
上記のように、理論上では車検にかかる時間最短時間は40分程度で可能ですが、本当にそんな短い時間ですべて終了させることができるのかと言うと、かなりレアなケースと言わざるを得ません。
実際の車検では、ユーザーの依頼や、推奨項目としてオイル交換を同時に行うことが多いと思いますが、単純にエンジンオイルの交換だけでも最低5分程度かかります。
何より納得して安心できる車検を行うためには、点検結果に基づく見積もりをしっかりと案内し、ユーザーと工場でしっかり話し合うことが不可欠です。それを無視すれば達成することも夢ではありませんが、それが安心に繋がるかどうかには疑問符がつくでしょう。
以上のことを踏まえると、絶対に1時間以内で終わらないということはありませんが、必ず1時間以内に終わるという保証はないと理解しておくことが必要あります。
余計な時間をかけない工夫
なかなか予定通りに終了することが難しい車検ですが、余計な時間をかけずに行う工夫が工場側でも行われています。その工夫についてやポイントについて紹介していきましょう。
まず工場側の工夫として「事前点検」があります。これは車検のセッションである「点検」と「検査」を別の日に行うというものです。事前に法定点検を行って不適合箇所がないかの確認をし、点検内容に基づく見積案内までしておいて、作業は後日に回します。
簡単な整備内容であれば後日、修理作業と完成検査を同日に行う方法です。トータル時間としては1時間以内とはいきませんが、工場で預かっている時間を短くできるため、時間を有効に使うことができます。
ユーザー自身で行える工夫と注意点
ユーザー自身の工夫や注意する点としては、日頃の日常点検やメンテナンスを怠らないことです。何気なく行うエンジンオイルの交換でも、車にとっては各部の劣化を防いでくれる効果があります。また、何か変だなと感じた場合は近くの整備工場やガソリンスタンドに相談することも重要です。
つまり日頃からしっかりメンテナンスをしておくことで、車検時にまとめてかかる時間を分散させ、余計な故障をさせないようにすることが重要になります。こうして未然に故障を防ぐ努力をしておけば、車検にかかる時間を短縮することができる可能性が高くなるわけです。
まとめ
車検を行っている店と、かかる費用や時間は店によって異なります。また、モットーとしている点などもあるため、一概にどの店が一番とは言えません。そのため自身が求めている内容に沿った店を選ぶことが、車検への第一歩になります。故障を未然に防ぐためには日頃のメンテナンスが重要であることと合わせて、覚えておいてくださいね。