軽自動車を長持ちさせるための日常メンテナンスについて、あなたはどのぐらい知っていますか? 「車は日頃のメンテナンス次第で各機構の寿命も変わる」とよく言われますが、定期的な車検(軽自動車車検)対策ではなく、日頃のメンテナンスといっても何をすればいいのかがわからなければどうしようもありません。そこで今回は、誰でもできる簡単な日常のメンテナンスについて紹介します。
取扱説明書を開いてみる
中古で軽自動車を購入する場合は取扱説明書が付属していないこともありますが、新車で購入した場合は必ず付属されています。一度も開かない人も多いですが、取扱説明書には各機構の説明の他に日常のメンテナンスの方法も記されていますので、実はかなり重要なものです。
例えばメーカー推奨のオイルやオイル量など、重要な事が丁寧に記されているので、メンテナンスについて調べる上では必須のものになります。そのためメンテナンスをする前に、一度は開いて中を確認しておきましょう。
意外に思われるかもしれませんが、実はこの取扱説明書はプロの整備士でも整備をする上で参考にすることがあります。特にミッションオイルはグレードを間違えると故障の原因になるので、ミッションオイルの交換をする場合や、何かしらの理由でオイルを補充しなければいけない時は一度、取扱説明書を見て確認してから交換、補充作業に入ることもあります。
つまり取扱説明書には、プロの整備士も必要な情報が記載されている上に、一般ユーザーにとっても必要なことが記載されている重要なアイテムということです。
空気圧の点検
簡単にできるメンテナンスとして、まずはタイヤの空気圧を点検してみましょう。空気圧の点検は専用のゲージが必要なのですが、ガソリンスタンドに行けば借りることができますので使い方を教えてもらってから点検してみましょう。もちろん、お願いすることも可能なので気軽に聞いてみてください。
さて、タイヤには適正の空気圧が決まっているのですが、車種によって値が違います。適正空気圧の確認方法ですが、取扱説明書に記載されていますのでそれを確認するか、運転席のドアを開けたセンターピラー部にも「タイヤ空気圧」というラベルが貼ってありますのでそこを見て確認してください。
このラベルには純正のタイヤサイズと適正圧が記されていますが、応急タイヤを除いて2サイズ記されていることもあります。もし2サイズ記されている場合は、いま装着しているタイヤのサイズを確認するようにして下さい。
余談ですが、昔の軽自動車はタイヤの適正空気圧が2.1〜2.2kPaほどでしたが、今は2.8kPaほどが適性圧となりました。年配の方は「これ間違えているぞ」「こんなに高いわけないだろ」と言う人もいますが、これはメーカーが燃費を上げる対策として高い空気圧を設定しているだけですので、間違いではありません。
一般的にタイヤの空気圧が高ければ接地面が少なくなるので、転がり抵抗が下がります。となれば燃費が良くなるので、敢えて燃費が少しでもよくなるようにメーカーも適正圧を高めに設定するようになったという背景があります。


エンジンオイルの交換
エンジンオイルの交換を自分でするのは難しいですが、エンジンオイルの管理次第でエンジンがどこまで長持ちするのかが決まるほど重要な項目です。そのため走行距離に関わらず、1年に2回は交換するようにして下さい。
そして忘れてはいけないのが、オイルフィルターです。こちらも1年に1回交換して下さい。近年、エンジンとエンジンオイルの性能が飛躍的に上がったため、メーカーも交換目安の距離を10,000キロとしていますが、オイルは走行距離5,000キロ、オイルフィルターは10,000キロを目安に交換することをオススメします。
過去に10,000キロに1回の交換で、早々にエンジンが故障してしまったという例がありますので、やはり交換目安は5,000キロ毎にしておくのが無難です。ちなみに新車で購入した車で一度もエンジンオイルを交換せず、30,000キロ弱で再生不能になった例もあります。原因は言わずもがな、エンジンオイルを交換しなかったからに他なりません。
エンジンの調子が悪い車の原因は「オイル管理が悪いから」、つまりエンジンオイルの交換を疎かにしていたからということがほとんどです。オイルやオイルフィルターの交換を自身でするのは骨が折れるため、車屋さんでこまめに交換してもらうようにして下さい。
エンジンルームの点検
エンジンルームの点検は目視での点検が中心となります。点検すべき項目は以下の通りです。
・ウォッシャー液の残量を確認する
・冷却水量の確認
・エンジンオイル量の確認
・ブレーキオイル量の確認
この程度であれば誰でもできる範囲の点検ですので、洗車をする前にでも確認するようにしましょう。注意点としてウォッシャー液以外は、エンジンが冷えた状態で確認してほしい点と、平坦な路面で確認するようにしてほしい点が挙げられます。
エンジンが冷えた状態で確認する理由は、単純にヤケドの危険性があるからです。特に夏場はエンジンもなかなか冷えないので、動かした後に確認するのであれば十分に時間を空け、冷えたことを確認してから点検するようにしましょう。こうしたリスクを避けたいのであれば、車を動かす前にやってしまうことをオススメします。
平坦な場所で点検する理由は、傾斜がついている路面上ではエンジンオイルなどの量を確認しても、正確な量が確認できないからです。正確な量を確認するためにも、平坦な路面に車を駐車した上で確認するようにしてください。

月数回の洗車
今回の紹介する項目の中で、誰でも簡単にできることが洗車です。「コーティングをかけているから洗車はしなくても大丈夫」と思っている人もいますが、これは勘違いですので間違いのないようにして下さい。
コーティングを施工していても、月に最低1回は洗車しないと効果を発揮しません。むしろ無駄なお金になってしまいます。極端な話をすれば、コーティング未施工だけど月に2回ほど洗車している車と、コーティング施工車だけど普段は洗車をしない場合では、3〜5年後のボディの状態は圧倒的に前者のほうがいいです。
もしもコーティングしているのをいいことに、一度も洗車をしていないのであれば月に一度でも良いので洗うことをオススメします。面倒であればコイン洗車という選択肢もあるので、まずは実践してみてください。
そして洗車をする際に特に気をつけてほしいのは、冬場に凍結防止剤が散布される地域に住んでいる方です。凍結防止剤が散布される地域に住んでいる方は、2週間に1回、できれば週に1回は洗車をしておくようにしないとサビの早期発生に繋がります。
ボディはもちろんですが、下回りも綺麗に流すようにして下さい。沿岸部にお住まいの方も、同じくサビが早期発生しやすいので、こまめに洗車をするようにしましょう。腐食の激しい車は、売却時にも「価値がない」と判断されてしまいます。手間かもしれませんが、定期的な洗車を習慣にして、ボディを長持ちさせるようにしましょう。

まとめ
誰でもできる点検というのは限られていますが、その積み重ねが重要です。何をすればいいのかは軽自動車メーカーが親切に取扱説明書へ記載してくれていますので、一度も開いたことがないという場合は是非この機会に確認して、実践してみることをオススメします。