あなたと買取店が車の売買をするということは、必ず契約書に署名、捺印をすることになりますが、買取店によって契約書の内容は異なります。ある程度の内容は同じなのですが、中には買取店独自の内容が記載されているケースがあることも。ここが非常に危険なポイントになります。
何故なら多くの場合、契約書を隅から隅まで読んでいる人が少ないからです。あなたは契約する時に、あの細かい文字で記載してある難しい内容を全て読んでいますか? 例えばスマホや保険等ではしっかりと読まなくても、後に問題になるということはあまりありません。
けれど車の売却時は違います。買取店が用意する契約書にしっかりと目を通しておかないと、思わぬ独自ルールに翻弄されて痛い目をみることになってしまいかねません。そうならないために、今回は契約前の確認すべきことについて紹介したいと思います。
契約書の罠
契約書は絶対です。例え詐欺まがいの契約をさせられたので法的措置をとろうとしても、署名と捺印のある契約書があれば買取店は圧倒的に有利になります。
例え口で言っていることと契約書の内容が違っていても、最終的に契約書に署名と捺印をしてしまえば、契約書に記載されている内容が絶対となるためユーザーは不利です。そして、買取店は多くのユーザーが契約書の内容をしっかりと目を通さないことを知っています。
営業トークで気分をよくさせ、他愛もない話をしながら上手に契約書に署名をさせたり、契約書を見せて早口で説明したりながら署名を促してきますので要注意です。
車の売却時に交わす買取店との契約書には罠がたくさん仕掛けられていますので、細心の注意を払う必要があります。
それではここからは、契約時に陥れられないための確認項目について触れていきましょう。

確認項目1:営業マンの説明と契約書の内容が一致するか
まず最初に注意すべきなのは、買取店の営業マンが口で言っていることと、約款に記載されている内容が同じかどうかをチェックすることです。
買取店によっては、必ずしも契約書の内容と口で言っていることが一致しないことがあります。よくあるのは二重査定(再査定)という手口です。
二重査定とは?
査定時に美味しい金額を言っておきながら契約し、後日になって突然「改めて査定させて頂いた結果、不具合が発見されたので減額します」や「事故車とわかったので減額します」と手のひらを返して減額を要求してくるやり口を指します。
要は、もともと安く買い叩くつもりで用いられる悪徳買取店の罠です。
二重査定を隠す業者は口で言っていることと契約書の内容が違うケースが多く、大手でも二重査定をしている会社は0ではありません。
だからこそ必ず契約書の内容は一文一文、表面はもちろん、裏面まで確認して下さい。
車検証(軽自動車車検)だけを見て安心してはいけません。

確認項目2:キャンセルの可否
罠が張り巡らされている以上、保険としてキャンセルができるかどうか確認しておくのは重要です。ただし当然のことではありますが、一部の大手を除いては、契約後のキャンセルを受け付けてくれる店はほとんどありません。
これも契約書に記載されていることが多いですが、記載されていなければ口頭でもいいので必ず確認して下さい。
多くの店においてはキャンセルを受け付けない、もしくはキャンセル料を支払うという形で受け付けるというスタンスがほとんどです。
取引をする買取店がどちらのパターンに該当するのか、この辺りも細かく確認してください。一部の大手では無料キャンセル期間を設けている会社もありますが、期間が1〜2日間と非常に短いのでアテにしないでおきましょう。
確認項目3:金額の内訳
売買契約の真の目的である金額の内訳は、絶対に確認して下さい。何故かと言うと、提示された金額がリサイクル料込みの金額なのか、それとも車両だけの金額か曖昧にする業者がいるからです。
リサイクル料は一般的に込みにしている業者が多いのですが、説明をしてくれる業者としてくれない業者がいるので注意しましょう。
リサイクル料はあくまで預託しているだけなので、持ち主が変われば返金されます。その金額が含まれていないのはおかしな話ですので、含まれていない場合は絶対に確認して下さい。
ただし廃車にする場合は、リサイクル料は返金されませんので間違えないようにしましょう。売買契約を結んだ後に入金されることになりますが、買取店によって入金されるまでにかかる日数は違います。早い会社では3〜4日でされますが、遅い会社はいつまでも入金がされません。
あまりに遅いと不安になりますので、そうならないためにも契約前にいつ入金されるのか、具体的な日付まで教えてもらうようにしましょう。
特に、そのお金を次の車を買う頭金にしようとしている人は、忘れずに確認してください。
確認項目5:名義変更の時期
契約をする際、名義変更がいつされるのか必ず確認しましょう。もしも名義変更が行われていなかった場合、翌年の自動車税があなたの元に届くことになります。
自動車税は、その年の分を先払いするものなので当然支払う必要はありませんが、理解していないと払わなくてはいけないのかと不安になりますよね? こうならないためにも、名義変更がいつされるのかを確認するとともに、名義変更が済んだら証拠を見せてもらうことを契約書に追記してもらい約束させましょう。
業者の中には、名義変更をせず平気で乗り回しているようなところもありますので、名義変更の時期は必ず確認して下さい。
万が一にでも「うちは名義変更の期限を決めていないので、はっきりとお答えできないです」というような相手であれば、その買取店には売却しないようにしましょう。後々、面倒くさいことになるのが目に見えています。


確認項目6:代車の有無
この確認項目は、車がなくなっても問題ない人は省いてもらって大丈夫な項目です。本来、代車を借りるのは次の車を購入する販売店になると思いますが、中には車を買うよりも先に売却してしまう人もいるでしょう。
その場合、常に車がないと支障が出るという人は、必ず無料で代車を借りれるかどうか確認しましょう。繁忙期になると、販売店も買取店も「代車がない」ということが頻繁にありますので、今の車を売却する買取店と次の車を購入する販売店の両方で確認するのがオススメです。
まとめ
とにかく今回のまとめとして言いたいのは、「契約前には絶対に契約書を細かく確認する」ということです。恐らく当日は査定金額などに意識がいってしまって、細かな点にまで頭が回らない可能性もあると思います。
それでも、折角の高額査定も確認が漏れてしまえば、安く買い叩かれて痛い目を見てしまい本末転倒です。予めメモをとっておき、カンニングペーパーのようにポケットに忍ばせて忘れず確認しておきましょう。
ただし、1点注意があります。これまで多くの確認項目を紹介する中で、悪質な店であることを前提に話してきましたが、二重査定をする店がすべて悪ではないということです。どういうことかというと、悪い店があるのと同じように、ユーザーにもタチの悪い人間が数多くいます。
例えば修復歴があるのを隠して「修復歴なし」の車として申告したり、他にも「悪質だ」と判断されるようなケースで車を買い取らせようとしてくるわけです。
こうしたユーザーから身を守るために導入されたのが、二重査定だったりします。だからこそ、買取店に査定へ出す際には、必ず車両の情報を正確に申告して下さい。
もし誤った申告をしてしまえば返金を要求されてしまいますし、こちらもそれに応じなければいけません。となると余計な手続きが必要になりますし、既に振り込まれた金額を使い果たしてしまっていたら、工面するのに多大な労力を使うことになってしまいますから絶対に避けましょう。
しかし二重査定に限らず、悪質な手口でユーザーを陥れようとする店舗が、未だ存在するのも事実です。だからこそ「契約前には絶対に契約書を細かく確認する」という注意点を忘れず、すべての内容に納得した上で契約書に署名と捺印をするようにしましょう。