車業界では「リセールバリュー」という言葉が頻繁に使われていますが、リセールバリューとは何かご存知でしょうか?あまり聞き慣れない言葉ですが、査定士もよくリセールバリューという言葉を口にしますので、今後のためにもリセールバリューとはどういう意味なのか知っておいて損はありません。
ということで今回は、リセールバリューとは何なのか、知っておくとどんな得があるのかをテーマに紹介していきます。
リセールバリューってどういう意味?
リセールバリュー(Resale Value)とは書いて字の如く、再販時の価値を意味します。中古車業界に関して言うのであれば、新車登録されて一度市場に出た車を、買取業者が買取して再販する時の価値を指すわけです。だからこそ、中古車業界ではリセールバリューという言葉が頻繁に使われています。
目安は3年3万キロで40〜60%のリセールバリューと言われていますが、これはあくまで目安です。それ以上に評価されるのは以下の項目になります。
・人気のあるメーカーか?
・人気のある車種か?
・人気のあるボディカラーか?
・人気のあるボディタイプか?
上記が重要視されるリセールバリューです。中古車市場で人気の車種と、あまり人気のない車種では、同じ3年3万キロだったとしても買取価格に大きな差がついてしまいます。つまり3年3万キロであったとしても、リセールバリューは必ずしも40%〜60%あるというわけではないのです。


リセールバリューが高くなる軽自動車の特徴とは?
リセールバリューは重要視される項目がある程度わかっているため、新車で購入する時点で、ほとんど確定します。となると気になるのは、リセールバリューが高くなる車の特徴です。これから新車を購入予定であれば、この特徴を理解しておくと売却時に価値が下がりにくい車を購入することができます。
もちろん車は安い買い物ではありませんし、リセールバリューを気にするがあまり自分の欲しい車が買えなくなってしまっては元も子もありません。そのためリセールバリューだけで判断するのは賢い車の選び方ではありませんが、どの車を買おうか悩んでいる時などには実に効果的です。
例えばあなたが新車を購入する際、トールワゴンを購入しようとしていたとしましょう。そうなると候補としては、ダイハツ・タントやスズキ・スペーシア、ホンダ・N-BOXという選択肢が出てきます。
この3台は非常に評価が高く、どれを選んでいいかわからない時などにはリセールバリューが高いものを選ぶと効果的です。このようにリセールバリューを知っていることで、悔いが残らない選択ができるようになるため是非、覚えておきましょう。
それではここからは、重要視される項目について詳しく見ていきましょう。
メーカーの人気
メーカーの人気について紹介するにあたって大きく関わってくるのが、OEMというシステムです。OEMをわかりやすく説明すると、違うメーカーの車を自社メーカーのエンブレムなどに変えて、形もそのままに製造・販売することを言います。何故こんな事をするのかというと供給元、供給先それぞれメリットがあるからです。
製造、供給する供給元のメリットは「自社以外での販売ルートを確保できる」「販売台数の増加が見込め、大量生産できるので生産コストを下げることができる」といった点が挙げられます。他にも供給先からの手数料が貰えるというのも大きなメリットです。
反対に供給先のメリットは新車開発費用が抑えられ、販売した車は全て自社の売り上げになるといった点が挙げられます。上記の理由から、軽自動車界ではOEMが各メーカーで積極的に行われているわけです。
そのため軽自動車は国内のメーカーから実に様々な車種が販売されていますが、自社で0から開発しているのは現在、スズキ、ダイハツ、三菱、ホンダのみになります。つまり他メーカーから販売されている軽自動車は、これらのメーカーとOEM関係を結んでいるということになります。
しかし、ホンダは軽自動車に限らず、他メーカーとOEM関係を結んでいません。三菱も、日産とのOEM関係を共同開発に発展させたため、実質、軽自動車界でOEMの供給元になっているのはスズキとダイハツの2社のみになります。
さて、何故これまでOEMについて説明してきたかと言うと、OEM生産された軽自動車というのは供給元の車と見た目も何も同じでも、比較するとリセールバリューが下がってしまうからです。
これまで軽自動車界を牽引してきたのは、OEMの供給元であるスズキとダイハツです。そのため軽自動車としての人気も高く信頼もあるため、どれだけ見た目を同じにしてもその人気は販売元には勝てないのです。
例を挙げてみましょう。OEMの代表的なものとしてスズキ・ワゴンRとマツダ・フレアがありますが、新車販売台数が多いのはスズキ・ワゴンRです。販売台数が多いということは人気があるとも言えるため、同じ形をしていてもメーカーが変わればリセールバリューも変わってしまいます。
この事から、購入する際はOEM供給先の方が安い場合もありますが、リセールバリューを加味するならば多少は高くても供給元のメーカー車を購入する方がオススメです。
車種の人気
同じタイプの車種でも、人気の有無によってリセールバリューは大きく変わります。例えば、ダイハツ・タント、スズキ・スペーシア、ホンダ・N-BOXなどは、後席にスライドドアを搭載したモデルで屋根の高いトールタイプに分類されますが、この中でもリセールバリューは変わってきます。
軽自動車は全体的にリセールバリューも高く、トールタイプに限って言えば、軽自動車の中でもリセールバリューはかなり高いので大きな差はありません。しかし同じような装備で、同じぐらいの金額で買ったとしても、やはり車種の人気があるかないかによって査定金額に違いが出てきますので、購入する際は中古市場でどの車種が人気があるか調べて選ぶことをオススメします。
ボディカラーの人気
ボディカラーの人気も、リセールバリューが変わる大きなポイントです。一部の車種を除きますが、ボディカラーは一般的に黒、または白(パール)を選択する人が多いため人気が高くなります。軽自動車の中でもタントはメーカーとしての人気もありますし、車種としての人気もあります。しかし、ボディカラーによって価格に大きな差があり、その金額はおよそ10万円〜20万円も変わってくるのです。
そのボディカラーの人気ぶりから、白(パール)や黒のトールタイプというのは、営業しなくても黙って売れてしまいます。しかし人気のない色ではそうはいきません。同じ金額で販売していたら人気のボディカラーの商品に敵うわけもなく、売れ残ってしまう可能性が濃厚なので、ボディカラーで価格差をつけるしかないのです。
これとは対照的に、その車種ならではの定番色というのもあります。最近の車で言うと、スズキのハスラーですね。ハスラーはオレンジやブルー系の人気が高く、これらの色はリセールバリューも高くなるため、単純に白(パール)や黒を選べばいいというわけではありません。ハスラーに限りませんが、定番のカラーを調べた上で購入するようにしましょう。
グレード(装備品)
グレードは装備品の違いを意味すため、リセールバリューを分かつ大きな条件の1つとなっています。例えばトールタイプの軽自動車では後席にスライドドアを採用していますが、電動かそうでないかでも金額が変わってきます。
スライドドアには両側電動、片側電動、電動なしの3種類がありますが、世の中の人たちが求めているのは両側電動>片側電動>電動なしの順番になります。つまりスライドドア1つを取っても、わずかこれだけの違いでリセールバリューに大きく影響を与えるということです。
グレード全般に言えるのは、やはり需要と供給のバランスが鍵となるという点でしょう。需要と供給のバランスがとれている車はリセールバリューが高いと言えますし、逆に供給過多になればリセールバリューは低くなります。
見極めるのは難しいところではありますが、定番と呼ばれる装備を外さなければ、ある程度はリセールバリューを期待できるので選択することをオススメします。
リセールバリューが当てはまらない例外
一般的なリセールバリューとは関係なく、例外的に年数が経過していても価値が下がらない車種もあります。その代表的なものが、スズキ・カプチーノやホンダ・ビートです。カプチーノやビートは登場してから20年以上経過している古い車ですので、中古車市場でもあまり見かけることはなくなりましたが、たまに販売されているのを見かけます。
もし中古車情報誌などで見かける機会があれば、その販売価格を確認してみて下さい。その異常な価格設定に驚くことになると思います。
本来、20年以上も前の車となると価値がつきません。しかし、これらに共通するのは今でも人気が高いという点です。所謂プレミアというやつですね。これにより例え絶版車であっても状態がよければマニアは喉から手が出るほど欲しがります。極端な言い方をすれば、法外な金額をつけたとしても欲しい人は買うわけです。
まとめ
これまでリセールバリューについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?「車検(軽自動車車検)有無にかかわらず、ボディカラーによって売却する時の価格は違う」という話はどこかで聞いたことがあるかもしれませんが、こうした理由があることをわかって頂けたのなら幸いです。
もし、これから新車を購入予定で、乗り潰すまでは乗らないという場合はリセールバリューも考慮して検討するのもいいかと思います。ただし、リセールバリューに拘りすぎて欲しい軽自動車を買えなくなってしまっては意味がありませんので、あくまで選択に困ったら使うなど1つの指針として使って、良い車選びに役立ててくださいね。