前回までに車検(軽自動車車検)前、査定前の点検として外装編、内装編をお話ししてきましたが、今回は引き続き査定前点検エンジン編をお届けします。


エンジンは車の心臓です。この心臓部に不調があれば、当然のように軽自動車の売却査定にも影響するのは想像できるかと思います。従って、売却査定前には必ずエンジンの点検もしておきましょう。
エンジンのメンテナンス頻度は?
あなたは車検時以外に車屋さんで定期点検、点検整備をしてもらっていますか?していない人は注意が必要です。査定士はきちんと日常メンテナンスの有無をいとも簡単にに見破るからです。
「この車、メンテナンスされていないな」と思わせると印象も悪いですし、海千山千の査定士の中には、エンジンメンテナンス不備に何かと理由をつけて、減点査定に持ち込んでくる「手練れ」もいます。
反対に、日常からエンジンがメンテナンスされている車は印象が良いので、年式が古くなった軽自動車でも、思いがけないプラス査定が期待できます。
「査定のために普段のメンテナンスをしっかりとしましょう」というのがメンテナンス必要性の理由すべてではありません。
普段からエンジンのメンテナンスをしっかりとしていると、軽自動車車両の寿命も延びるのですから、最低1年に1回、理想は半年に1回ペースで、整備のプロフェッショナルに点検整備をお願いするとよいですね。
エンジンはオイル管理が全て
車のエンジンメンテナンスはオイル管理が全てだと思って下さい。定期点検に出す理想のペースを半年に1回とお話ししたのは、エンジンオイルの交換周期がちょうど半年に1度だからでもあります。
エンジンはオイル管理で寿命が大きく変わります。5,000キロ、もしくは半年に1回エンジンオイルは交換しましょう。早々に壊れるエンジンの大半はオイル管理の悪さが原因とも言えます。では、なぜエンジンオイルがそれほどまでに重要なのかご存知ですか?「定期的にオイル交換をしておかないとエンジンの寿命は短くなりますよ」と言われるだけではその重要性を理解するのは難しいと思うのでまずはエンジンオイルの役割についてご紹介しておきます。
エンジンオイルは血液の役割
冒頭で「エンジンは車の心臓です」と言いましたが、エンジンオイルは血液にあたります。
テレビでは毎日のように「血液サラサラ」や「血液の質を良くすれば病気知らず」などといったことが言われておりますが、正に車も同じでエンジンオイルを綺麗にしておけば、心臓部であるエンジンに送られるオイルの質も上がるので、エンジンの寿命が長くなると言えます。
ではエンジンオイルの役割について簡単に説明しておきます。
冷却作用
エンジン内部は燃焼や摩擦によってとても高温になります。エンジンオイルには燃焼や摩擦を繰り返して高温になったエンジン内部を冷やす働きがあります。オイルポンプによって組み上げられ、各部に行き渡ったエンジンオイルは熱を吸収してオイルパンへ戻ります。このようにエンジン内部を冷やす働きがあります。
防錆効果
エンジン内部は高温になると言いましたが、高温になるということは外気温の差が生じることになります。わかりやすいのは冬ですね。冬は外気温も低いので高温なエンジン内部と温度差が生じ結露が発生しようとします。
家庭でも冬場は暖房をつけるので、外気温との差で窓ガラスの内側に結露が発生していると思います。まさにこれと同じで、エンジン内部でも外気温との差で水分が発生しやすくなっているのですが、水分が発生するということは錆も発生しやすくなります。
そして錆はエンジンの寿命を短くします。エンジンオイルはこの錆を発生させないように予防する働きもしているのです。
洗浄作用
エンジン内部は燃焼などによって、カーボンやスラッジという汚れが発生します。この汚れを一定の場所に留めないように、エンジンオイルで吸着や分散ということをしています。エンジンオイルが黒くなるのは汚れを吸着しているということになります。
潤滑作用
エンジン内部は高速回転運動を繰り返しています。この時に金属同士が摩擦するのですが、この摩擦を減らすために油膜を作り、滑りをよくする働きもあります。
密封作用
エンジン内のシリンダーという筒の中では、ピストンという部品が上下運動を繰り返しています。しかし、このシリンダーとピストンは完全に密着しているわけではなく、僅かな隙間があります。
この隙間をピストンリングという部品で防いではいるのですが、完全には防ぎきれません。そしてシリンダー内では燃焼ガスが発生します。さらにピストン運動で混合気を圧縮させます。
エンジンオイルの質が悪いと密封不足となり、燃焼ガスの漏れや混合気の漏れを起こすのでパワー不足の原因などにつながります。
以上、エンジンオイルは5つの役割を果たしております。他にも緩衝作用といってクッションのような役割もあります。
エンジンオイルの特徴として家庭用のサラダ油などと比べても粘度があり硬いです。密封する必要があり、クッション性も必要なため粘度のあるオイルを使用しています。
いつまでもエンジンオイルを交換しないでいると、オイルが汚れるだけではなくドロドロにもなりますが、これはオイルが硬くなっているわけではなく、むしろ粘度が低下しているので誤解のないようにお願いします。
エンジンオイルの定期交換をサボると…
エンジンオイルの役割を理解できたと思うので、定期的なオイル交換をしないと、エンジンには下記のように深刻な悪影響が発生してしまいます。
エンジンオイルの定期交換をしないと…
- 燃費が悪くなる
- パワーロスを起こす
- アイドリングが不安定になる
- 白煙が出る
- エンジン異音の発生
- エンジンの焼きつきが発生する
これらがよくあるケースです。症状の軽い順に記述しましたが、最後の「エンジンの焼きつき」を起こすと、エンジンそのものを新品と交換しなければならなくなります。
査定直前にもエンジンオイル点検する
では、査定直前に行ってほしいのエンジン点検方法のご説明です。できるだけ一般の軽自動車ユーザーでも出来る簡単な対策について、お話ししていきます。
まずは、エンジンオイルの量を点検して下さい。オイルレベルゲージを一度抜き、ウエスなどで拭き取ってからもう一度奥まで差し込みます。そして、また抜きます。
その時の量が現在の正しい量なのですが、注意点として必ず平坦な場所で確認して下さい。
レベルゲージの見方ですがL(LOW)とH(HIGHT)と書かれ、それぞれ線が引かれていると思います。
通常はH(HIGHT)の線より少し下の位置に合わせるのですが、半分程度で合わす人もいるので半分〜Hラインより少し下くらいであればOKです。
この時、レベルゲージにオイルがつかない、またはオイルはつくが、Lラインより下となればどこかから漏れているか消費している可能性があります。
通常、エンジンオイルが減ることはありません。しかし、オイル管理が悪いとオイルの減りや消費を起こすことになります。
漏れていると場所によっては、査定時に大幅な減点となりますが、修理するのもお金がかかるのでそのまま査定してもらいましょう。
他にできる対策ですが、レベルゲージを綺麗にしておくことも大切です。
オイル管理の悪い車は、レベルゲージの一部が焦げているような汚れが付着している可能性が高いので、これは是非綺麗にしておきましょう。
後は、エンジンオイルのフィラーキャップの裏もドロドロになっていないか確認して下さい。ここがドロドロということは、オイル管理が悪いという証拠ですので査定士に気付かれてしまいます。
チェックする査定士とチェックしない査定士といるようですが、こういった細かい点についても念のため綺麗にしておきましょう。
冷却水の点検
冷却水も水漏れしていないか点検しておきましょう。
冷却水の量を確認するには、必ずエンジンが冷えた状態で行って下さい。エンジンを切った状態で1時間は放置しましょう。
冷めたことが確認できれば、ラジエターキャップを開けて下さい。
開け方は少しコツが必要なので、女性などのように「自分には無理だ」と思うのであればガソリンを入れるついでにでもスタッフに「ラジエターの水減っていないか見てもらえませんか?」とお願いしましょう。
量の確認くらいであれば無料でしてくれます。ご自身で確認したい場合、水が減っているようであれば足しておきましょう。
そして、確認が終わったらキャップを閉めるのですが、必ず二段階で閉めて下さい。開ける時は気付かないかもしれませんが、ラジエターキャップの開閉は二段階になっているのでこの点は気をつけて下さい。
定期メンテナンスをしていれば査定時も安心
エンジンオイルを中心にご紹介してきましたが、それだけオイル管理は重要だということです。これを機に「エンジン=心臓」「エンジンオイル=血液」と覚えておきましょう。
エンジンオイル管理が悪いことが原因で、エンジンに様々な府食いあ症状が出てしまってからでは査定にも大きく関わってきますので、これからは定期的にメンテナンスをすることをお勧めします。