オートオークションとは厳しい条件をクリアした企業または個人が参加できる車を専門に売却する競り市場のことですが、そもそもオークション会場はどこの企業が主催しているのでしょうか?なぜ、個人での参加はできないのでしょうか?またどういった企業が参加していてどのような流れで取引きされているのでしょうか?
今回はそんなオートオークションの基本となる点をまとめてご紹介したいと思います。
オークション会場の主催企業

引用:http://www.toyota-usec.co.jp/taa/
オートオークションを利用して車を売買する企業は非常に多いですが、ではオークションを主催する運営元は気になりませんか?規模の大小の違いなどそれぞれ特徴がありますので比較的大き目のオークション会場と運営元をご紹介いたします。
- TAA会場(トヨタ)
- NAA会場(日産)
- ホンダ会場(ホンダ)
ディーラー系オークションです。
この中で日本で初めてオークションを開始したのがトヨタです。当時は下取り車を売りさばくための存在でした。TAA会場、NAA会場、ホンダ会場の全てに共通してい言えることはメーカーが資本を出資しています。
メーカー資本のため信用性は高いといえます。しかしながら、その分出品できる条件も非常に厳しいのかなという印象です。
JU(日本中古車自動車販売協会)
中販連系オークションです。各都道府県にそれぞれオークション会場を有していますが加盟店のみが参加できます。組合組織ですのでこちらも比較的信用できるオークションと言えます
USS(中古自動車販売商工組合)
企業系オークションです。80年代に創業し今では業界最大手とまで呼ばれるようになりました。初めて中古車オークションを手数料ビジネスとして確立させたのがUSSです。現在、中古車オークションと言えばUSSと言われるくらい有名です。
他にもまだまだオークション会場はありますが今回は規模の大きい会場をご紹介しました。それぞれ大きな違いとして言えるのは週の競り台数が少ない会場は数百代、多い会場では10000万台、15000万台など会場ごとにこれだけの差があります。
業者オークションに参加するには?
オークションに参加するにはまず会員にならないといけません。
業者オークションと言われるくらいなので参加しているのも法人が中心です。個人でも参加できないこともないのですがかなり敷居が高くなっているのであまり現実的とは言えません。
法人であれば登記情報、個人であれば個人事業の届出番号から始まり、古物商の取得から1年以上の実績、保証金10万円、連帯保証人が必要(個人事業主は用意する保証人数も多くなります)、店舗や在庫用駐車場が必要等、オークションによって若干の違いはありますが基本はこれらを用意する必要があります。
この審査をクリアした選ばれし企業のみがそれぞれのオークションの会員として会場を出入りできるというわけです。見てお分かりの通り個人ではとても厳しい条件ですよね?こういった事情があり個人では参加できないと言われているのです。
オートオークションの参加資格は?
オークションにより異なる点もありますが、一般的にオートオークションへの参加資格には下記のような条件を満たす必要があります。これを見るだけで、一般的には「業者向け」であることがお分かりになるかと思います。
- 古物商資格の保有(取得後1年以上などの制限あり)
- 中古車販売業を営み、且つ、店舗運営実績が一定期間以上あること
- 在庫展示場所(モータープール)所有と実店舗の所有
- オートオークション既存会員の推薦状
- 担保用不動産を所有する人物による連帯保証
- 入会保証金と入会金
- 入会者の資産証明書(銀行残高証明書など)
オートオークションの仕組み
さて、次は各会場ではどのように運営されているのかについて触れていきましょう。
会員になる条件を厳しく設け誰でも気軽に参加できないようにしていますが、運営サイドは他にも当然様々なルールを設けています。
盗難車やニコイチ車の出品禁止など誰もが当たり前と思うところから非常に細かな要素まで実に厳しくルールを定めています。もちろん、違反すればペナルティを受けることになります。
非常に厳しくルールを定めていますが危険な一面もあります。
オークション会場では出品された車両を検査員が記載票を元に検査していくのですが、その時の検査にかけられる時間は1台あたりおよそ5分〜10分程度です。10分でできる検査など限られています。
この時、出品側が故意である、ないに関わらず記入漏れがあっても検査員はその全てを見抜くことはできません。このような検査員側の事情を知ってわざと記入しない業者もいます(発覚した場合はもちろんクレーム対象となります)。
検査員による検査を通過してしまえば、後は不具合や見落としのまま出品コーナーの適した場所へ並べられてしまうのです。
どの会場でも共通して言えることですが、「検査結果はあくまで目安です」と表記票に記載しています。つまり、言い方は悪いかもしれませんが「現車確認して判断してくださいね。あなたもプロでしょ。それで見抜けなくてもこちら側に責任はありませんよ」と言われているようなものですね。
業者間取引が前提であるため仕方のないことなのかもしれませんが、非常に細かなルールを設定しているにも関わらずこういった課題がまだまだ残っているというのも事実です。
結局はルールを無視して出品してくる業者もいるので落札する側は目利きが必要ということですね。
では、オークション会場ではどのような流れになっているのか、一連の流れを簡単にご紹介しておきます。
まず、出品側は買い取りした車両を出品票と共に持ち込みます。
持ち込む方法ですが積載車で持ち込む業者もいれば、陸送を使う業者もいますし、割と近い場所であれば仮ナンバーを装着して自走で持ち込む業者もいます。
搬入された車両はオークション会場の検査員によって出品票を元に検査が行われます。検査を通過した車両は適したコーナーへ並べられます。
そしてオークション当日、出品側は調整室という価格を調整する場所へ移り、開始価格と売却価格を担当者へ伝えます。これは事前に済ませておくこともできます。
この時、入札側にこの金額を伝えられることはありません。競りが開始されると購入希望者は応札を繰り返します。
最終的に売却希望金額まで達すれば最後に応札をした業者が落札することになりますが、もし、売却希望価格まで達しなかった場合、翌週にもう一度出品するか、商談によって売買に持ち込むか、オークション会場から車両を引き上げるかの選択をすることになります。
オークションが中古買取店の買取価格に与える影響
買取店は買取した車両のほとんどをオークションで売却しています。前項でお話しした通り、オークション会場まで車両を移動させる必要があるなど意外と手間だったりします。
そして、軽自動車はなによりも回転率を重視しているため、買取業者は出品した車両はできるだけその週の内に売却してしまいたいというのが本音であります。
以上を踏まえた上で買取店の買取価格にはどういった点が影響するのかをみていきましょう。
まず、大前提として買取店は売却しやすい車両を好みます。
軽自動車は車検(軽自動車車検)残存期間に関わらず市場の需要高いために、どの車種でもオークションでは落札されやすいですが、その中でも特にオークションで落札されやすい車両というのは、走行距離の少なく年式も比較的新しい定番カラーの修復歴や修理歴もなく、内装も目立つ汚れや傷もなく異臭のしない車両です。
これらがあることはマイナスの要因となるため落札されにくくなります。逆の言い方をすればマイナスの要因が少なければ少ないほど買取店は高値で買取りしてくれるということです。
いかがでしたか?今回はオークションの仕組みについて、また買取り価格に与える影響についてざっくりとですがお話ししてきました。
日々至る場所で組合や大きな企業によって開催されているオートオークションも年々改善されてきていますが、まだまだ課題が残されていると言えます。
それでも現在、業者が主流で売買しているのはオートオークションです。出品側は多くの企業にアピールでき、購入側もまた選べる枠も増えたました。
これは我々ユーザーにとっても非常にありがたいことですね。なお、買取り価格に与える影響はまた別途詳しくご紹介したいと思います。