軽自動車は全般的に値落ちしづらい部類に入りますがでは、不慮の交通事故や災害、予期せぬ故障など予想だにしない出来事が理由で廃車にせざるをえない場合どうなると思いますか?
車検(軽自動車車検)切れ廃車=無価値なのか?それとも僅かでもお金になるのか?今回はそういった点にスポットを当ててご紹介したいと思います。
廃車になりやすいケース
1.交通事故
交通事故に巻き込まれるのは避けたいものです。単独での事故の場合「自分でやったことだから」と諦めもつきますが相手がいる場合はそんな簡単には納得できません。
免許を取得してから一度も交通事故にあったことのない人がいる反面、何度も何度も経験してしまう人もいます。そうなると「なんで自分ばかり・・・」とつい嘆いてしまいますね。
そんな交通事故で廃車になるケースですが何パターンかにわかれます。相手がいるのか?いないのか?相手がいる場合過失割合が大きいのは相手なのか?それともこちらなのか?現在、任意保険加入率は全国平均70%程度ですがどこまで補償してくれる保険に加入しているのか?また、こちらの加入している保険は対物対人限定なのか?それとも車両保険まで加入しているのか?等いろいろな要素が絡み合ってくるので、まずは1番単純な相手がいない単独事故でみてみましょう。
〜単独事故〜
相手のいない単独事故の場合、車両保険に加入しているか加入していないかにもよって変わってきます。
車両保険も、相手がいる事故に限定して補償される車対車限定保険と、相手がいるいないに関わらず、とにかく事故であれば補償される一般車両保険と2種類ありますが、今回は単独事故で保険が認められる場合なので一般車両保険に加入しているということを前提で進めていきます。
一般車両保険、車対車限定保険に関わらず保険契約の際に対象車にいくら保険をかけるのかを決めます(車種や保険会社によっては車が古すぎて車両保険の契約ができないといったケースもありますが今回は一般車両保険に加入しているということを条件で進めます)。
この時、契約車両と年式や損傷程度など同じ程度の車の市場価格(時価)を目安にその範囲内で設定することになります。これを協定保険価額または車両保険設定金額といいます。
なお、協定保険価額は各保険会社によって差異があります。あくまで市場価格が目安となっているためその範囲を超える金額は設定できないようになっています。
では、一般車両保険に加入している人が単独事故によって廃車になるケースとはどういった時でしょうか?それは保険契約時に設定した協定価額を超えてしまうケースです。
例えば、協定保険価額を30万円に設定していた車両が単独事故を起こしその修理にかかる金額が50万円だったとします。この時設定した30万円までしか補償されないため残り20万円は自己負担となります。つまり保険会社側としては全損として処理されます。
更に細かいことを言うと保険契約時に免責を0にしておく必要があります。
仮に免責を0にしていなかった場合、免責金額を支払う義務が発生するため協定価額金額を超えた修理費20万円+免責金額を自己負担することになります。
こうなった時、修理せずに新しい車両を購入するという選択をする人もいるため事故車両が廃車されることになります。
仮に新しい車を購入するという選択をした場合の注意点をあわせてお話しておきます。車両保険で補償されるのはあくまで契約時に設定した協定保険価額に限定されます。
つまり、税金や手数料などの諸費用は含まれません。こういった点も踏まえよく検討して、廃車にするか修理するかを決定して頂ければと思います。
次に車両保険の契約をしていない車両が単独事故を起こしたケースです。
この場合、例えば修理費用が50万円かかる事故であれば全額を自己負担する必要があります。
「修理費に50万支払うくらいなら新しい車に買い換えよう」という選択をする人が多いため廃車への道を辿ることになります。
〜対物事故(任意保険)〜
次に相手がいる事故のケースです。
相手がいる事故の場合、こちらの過失割合が大きいのか?相手の過失割合が大きいのかで変わりますが、わかりやすいように過失割合100対0の相手に非があるケースを例に挙げたいと思います。もっとわかりやすい言い方をすれば、相手に非がある100対0の事故=弁償してもらう事故だと考えて下さい。
弁償してもらう事故は基本的にこちら側の持ち出し費用はないため金銭的な損失は受けません。しかし、例外もあります。その例外とは、こちらの車両の修理費用が時価額を超えてしまうケースです。
この時価額は保険会社共通で使用されているレッドブックによって車両ごとに非常に細かく定められています。車両保険の場合、契約時に設定した協定保険価額でしたが対物保険の場合このレッドブックを基準に判断されます。
仮に修理費50万円の事故でレッドブックでの時価額が30万円だった場合、相手保険会社から支払われるのは30万円に止まります。こうなってしまうと修理費用の一部をこちらが持ち出す必要があるため金銭的な損失を受けることになります。
さらに、時価額と修理費用の差が大きくなれば必然的に損失額も大きくなるため廃車も検討しなければいけなくなります。
2.災害(地震、台風、火事、他)
では次に災害で廃車になるケースをみてみましょう。
昨今の日本は集中豪雨や竜巻、地震などの災害が相次いでいますが災害によって廃車になるケースで多いのは冠水車でしょう。
冠水とは水に浸かってしまうことですね。車はある程度の冠水には耐えうるように設計されていますが集中豪雨や洪水などで冠水してしまう場合があります。
車で冠水車扱いになるのは車両の床面まで水が達した時です。
床面の高さまで水が達してしまうと電気系統ももちろんですが吸気系から水が侵入してしまい最悪エンジンを破損してしまいます。この現象をウォーターハンマーと言います。
少し難しい話になりますがガソリン車は空気とガソリンの混合気を圧縮し、着火させ、燃焼エネルギーを運動エネルギーに変換しています。
空気とガソリンの混合気は比較的圧縮しやすいのですが水は非常に圧縮しにくい物質のためエンジン内の部品を破壊してしまうことになります。
すごく簡単にわかりやすく言うと、エンジン内の各部品の強度は水を圧縮する力には負けるということです。軽自動車の部品は普通自動車の部品に比べて安いとはいえエンジン本体を交換するとなると20万円以上かかります。
これに加えて電気系統の不安も残るため廃車にするという選択をせざるをえなくなります。
3.軽自動車車両の故障
あなたは普段からマメに愛車のメンテナンスをしていますか?昔に比べて最近の車は壊れにくくはなっているのは事実ですが普段から定期的にメンテナンスをしている車としていない車では寿命も変わってきます。
定期的なメンテナンスをしていても壊れる時は壊れます。
車という乗り物は良い言い方をすれば技術の結晶ですが悪い言い方をすればただの機械です。では、廃車になるほどの故障とはどういった時でしょうか?それは修理代が高額になる時です。
例えば、エンジンやミッションを交換しなければいけないとなると部品代で20万前後必要ですし、そこへ作業工賃が加算されます。
比較的新しい車であればお金をかけてでも修理する人が多いと思いますが、10年以上経った車では廃車にするという選択肢も出てくるわけです。
その他の廃車になるケース
ここまで交通事故・災害・故障で廃車にするケースをみてきましたが単純に車が必要なくなった時も廃車となります。廃車にするということは古い車であるという前提になりますがこういったケースも珍しくありません。
廃車=0円ではない
一昔前は廃車にするにはお金がかかるという時代がありました。ですが今はそんなことはありません。なぜなら査定のつかない車でも解体業者が鉄くずとして買い取ってくれるからです。
地域や業者などにもよりますが10年落ちで追突事故を起こされ全損扱いで廃車になった車両でも2万3万程度で買い取ってくれます(その時の鉄の相場で金額は変動します)。
当然廃車をするには費用がかかるため残るのは微々たるものですが廃車=0円というわけではありません。今では車屋さんを通さずに直接取引きしてくれる解体業者も増えていますので相談してみると良いかもしれませんね。
9月までに廃車処理をすれば半年分の税金が還付される
もしも廃車を決断したならば、できるだけ9月までに廃車処理を行うとよいでしょう。9月中に軽自動車を廃車すれば、既に支払った自動車税が半年分還付されることになります。これはぜひとも知っておいてください。
どんな状態の軽自動車でもできるだけ現金化する
カスタムしている車両であれば社外品を外して単体売りするというのも1つの策です。但し、その部品が不具合なく使えるということが前提です。
一時期は軽自動車のカスタムがブームとなっていましたが、現在では落ち着いているので、どちらかと言うとノーマル車の方が多いですがもしカスタムをしている車両をお持ちで廃車にするのであれば、こういったことも検討してみるといいと思います。念のためお話しておくと、純正部品をわざわざバラして単体売りするメリットはあまりないのでやめておきましょう。
ここまで廃車についてお話してきましたがいかがだったでしょうか?
廃車になるにはそれなりの理由があり廃車でも現金化は可能であるということですね。
少しでも負担をなくすためにできる限りの策は試してみましょう。では、今回のお話が僅かでも参考になればと思います。