自動車税とは1年に1度必ず納付しなければならず、車検を受ける際には納付されていることが必要です。ここでは、自動車税のあらましや注意点など詳細な解説をしていきます。
自動車税の具体的内容
一般の方の中には、車検の際支払う自動車重量税と混同してしまい、「あれ?春あたりに払ったのに・・・。」と思われることが少なくありません。自動車に課せられる税金のメインとも言える自動車税とは、いったいどんな税金なのでしょうか。
自動車税の概要
自動車税は、その年の4月1日の段階での所有者に支払い義務が生じ、一部を除き5月末日までが支払い期間となります。また、ローンで車を購入され支払い中の場合、所有者はローン会社となりますが、この場合支払い義務は所有者ではなく、使用者となります。

自動車重量税との大きな違い
よく混同されがちな自動車重量税との大きな違いはいくつかありますが、違いとしてあげられるのが、まず第1に区分の違いです。
自動車重量税は車両重量(貨物は車両総重量)によって区分されますが、自動車税は、その車の用途、さらにはその総排気量、総積載量及び乗車定員により変わります。
違いの2つ目は自動車重量税は国税なのに対し、自動車税は車検証に記載された使用の本拠地を管轄する各都道府県の地方税であるということです。
3つ目の違いとしては、その成り立ちに違いがあります。
自動車重量税については、戦後高度経済成長に必要な道路整備の財源確保を目的として制定されましたが、自動車税の起源は、1873年(明治6年)に作られた車税であり、当時は自動車に課せられたわけではなく、対象は馬車や人力車に課せられていました。
その後1940年(昭和15年)に自動車税として統一されました。特に昭和に入ってから統一された自動車税の目的は、太平洋戦争の資金調達であったと言われています。
つまり、車や車社会のために限定的に使用する目的ではなく、日本全体のための税金であり、今現在も使途を特定しないで徴収される普通税という扱いになっています。
そして一番の大きな違いは、購入時や車検の時などに支払う自動車重量税と違い、例え車庫に保管され、一切使用していなくとも、その年の4月1日の時点で登録されている、つまりナンバーがついている車両を所有していれば必ず課税の対象となるということです。
車検を受けていない際の課税保留(自動車税課税保留制度)
車両を使用していなくとも所有している場合は課税対象ですが、車検の未継続、つまり車検を受けておらず使用していない場合、「自動車税課税保留制度」という所有者(使用者)の申告を元に課税を保留するといった処置が取られることがあります。
納税義務者(所有者)の申告が必要であり、また、各都道府県や課税担当者により見解や必要とされる要件に違いがあるため注意が必要です。
そして、一時抹消(一時的に使用を中止する申請)及び抹消手続き(解体など一切の使用を中止する申請)が申請された場合納付義務は消滅します。
一時抹消後再び登録(車検を通す)し車を使用する場合、は当然自動車税の納付義務が復活します。すなわち、まったく車を使用していないことをきちんと申請していれば自動車税の納付義務は消滅または保留されることになります。
ただし、車検期間が有効であった期間の納税は保留ではなく未納とされ、納付義務は消えないばかりか、延滞金も含め支払いの義務がありますので注意が必要です。
実際の自動車税額はいくら?
自動車重量税が車両重量(貨物は車両総重量)によって区分されているのに対し、自動車税は車の用途、さらにはその総排気量、総積載量及び乗車定員によって変わることは、先述しました。では実際の具体的な区分を見ていきましょう。
乗用車
まずこのサイトをご覧になっている方の中で一番多いであろう、自家用乗用車についてご案内します。
自家用、事業用問わず、乗用車は排気量が1.0リッター超から6.0リッターまで0.5リッター刻みで区別され、排気量が大きくなるほど高額に設定されています。
以下一覧表を作成しました。
排気量 | 自家用 | 事業用 |
1000cc以下 | 29,500 | 7,500 |
1000cc超~1500cc以下 | 34,500 | 8,500 |
1500cc超~2000cc以下 | 39,500 | 9,500 |
2000cc超~2500cc以下 | 45,000 | 13,800 |
2500cc超~3000cc以下 | 51,000 | 15,700 |
3000cc超~3500cc以下 | 58,000 | 17,900 |
3500cc超~4000cc以下 | 66,500 | 20,500 |
4000cc超~4500cc以下 | 76,500 | 23,600 |
4500cc超~6000cc以下 | 88,000 | 27,200 |
6000cc超 | 111,000 | 40,700 |
表を見ていただくとわかる通り、自家用に比べ事業用の方が安く設定されています。
また例外として、ロータリーエンジンについては、「単室容積(654cc) × ローター数(2ローター) × 1.5=1962cc」という計算が適用され、代表的な13Bというエンジンの場合税法上は1.5リッター超2.0リッター以下に属します。
貨物車
続いて、近年自家用車として一般の方にも愛用者が増えてきた貨物車(バン)についてです。
こちらも自家用、事業用ともに最大積載量が増えるほど税額が高く設定されています。最大積載量が1トン超から1トン刻みで8トンまで税額が設定されており、最大積載量が増えるほど高額に設定されています。
以下一覧表です
排気量 | 自家用 | 事業用 |
1トン以下 | 8,000 | 6,500 |
1トン超〜2トン以下 | 11,500 | 8,500 |
2トン超〜3トン以下 | 16,000 | 12,000 |
3トン超〜4トン以下 | 20,500 | 15,000 |
4トン超〜5トン以下 | 25,500 | 18,500 |
5トン超〜6トン以下 | 30,000 | 22,000 |
6トン超〜7トン以下 | 35,000 | 25,500 |
7トン超〜8トン以下 | 40,500 | 29,500 |
8トン超 | 40,500+1トン毎に6,300 | 29,500+1トン毎に4,700 |
乗用車同様事業用の方が自家用に比べ安く設定されているのがわかると思います。
この他には、貨客兼用車、三輪の小型自動車、牽引車、被牽引車、特種用途車、キャンピングカーなど用途に応じた自動車税が設定されており、バスという区別も存在し乗車定員により設定されていますが、このサイトをご覧の皆さんにはあまり関係ないと思われるため、割愛させていただきます。
自動車税のグリーン化税制
自動車税には、地球環境を保護する観点から、排出ガス及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車に対して自動車税を軽減されるというもので、2002年から実施されました。
また、新車登録から一定期間が経過した車に対しては、ガソリンエンジン車13年、ディーゼルエンジン車11年経過したバスを除いた乗用車、税率を約15%割増(重課)、貨物車は約10%割増(重課)する特例措置が取られています。
この政策はもちろん排ガス性能や燃費の向上による環境保護という名目ではありますが、買換え需要を促進することでの経済対策としての側面も含まれていたと思います。
しかしながら、同じ車を長期間保有したい方、特にビンテージカーユーザーなどから大きな反発があるのも事実です。
諸外国との比較と国民の負担問題(二重課税説など)
日本の自動車税については、自動車重量税と同じく諸外国と比較し割高であるとの指摘があります。
同条件で比較した場合、ドイツの約2.4倍、イギリスの約1.4倍、フランスの約6倍、アメリカ合衆国の約14倍(州により違いあり)と言われ、フランスに至っては2000年から個人所有の自動車に対する自動車税は廃止されています。
もちろん、自動車だけではなくその国の国民が支払う税金はさまざまあり、北欧圏においては消費税が25%であるなど大きく見た税負担という観点や、自動車を所有・使用するうえで発生する税金はガソリン税などさまざまあり、すべてを鑑みた場合、必ずしも日本だけ特別高いとは言い切れないとは思います。
しかし国民の負担が大きいという点では、自動車重量税とセットで議論に上がり、自動車税も自動車重量税は、納付のタイミングや方法が違うだけで自動車を所有することで納付義務が課せることは同じであり、二重課税ではないかとの批判が多くなっています。
また有料道路の使用や先述したガソリン税、自賠責など自動車を使用する上で、特に登録車両(普通車)の自家用乗用車においての負担が大きいことは否定できず、自動車業界の衰退に繋がるとの指摘が業界団体から提言されているのも事実です。
車検時には自動車税の納税証明書を再確認しよう
このサイトをご覧の皆さんは、自分の車がもうすぐ車検という方も少なくないでしょう。
数年前までは車検の際、もっとも多い書類の不備は自動車税の納税証明書でした。単純に納付を忘れていた方、納付はしたけれど証明書を持参し忘れた、もしくは、証明書ではなく領収所を持ってきてしまった、電子納付などで別途証明書の発行をし忘れたetc.・・・。
とにかく多かったことを記憶しています。
また、車検該当年の4月以降に中古車を購入され、販売店から前所有者の納税証明書をもらっておらず、且つ県外からの移転などとなると問い合わせや郵送の手配などで数日から、場合によっては1週間程度時間を要したなど、とにかくユーザーも業者側も苦労させられました。
2015年4月以降、運輸支局等の窓口で自動車税の納税状況の把握が可能容易になったことで、以前のように無駄に時間がかかることは少なくなってきましたが、納付直後の場合、納付方法により差はありますが、システムに反映されるまでおおむね2週間~4週間程度の時間を要する場合がありますので注意が必要です。